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社員が育つ組織の特徴(1/2)

安澤武郎

安澤武郎

テーマ:人材育成

社員が育っていない組織には育っていない原因があります。
一つの事例をもとに考えてみましょう。

担当者を成長させるためには、成功体験をつませることが重要です。
一つの成功体験で得た知見はその人の一生ものの宝になります。
そこで、「本年中に担当者にどのような成功体験をつませるか」
というテーマで議論がなされたマネジャー会議がありました。
ある営業マネジャーは入社2年目の担当者を
「お客様の担当者や責任者から感謝される存在に成長させたい」と
目論んでいました。

そのマネジャーに対し、別の方から提案がありました。
「感謝されるためには、どのような営業をすると良いのか項目出しをしてあげてはどうか?
 自分がその年次だったとしたら、そこまで示してもらわないと
 感謝をされるために何をして良いか分からないと思う」との投げかけがありました。

じゃあ、実際にどんなことができたら良いのか考えてみよう、ということになり、
「しっかり挨拶をする」
「お客さんの話を覚えている」
「お客さんのことを分析している」
「売上を伸ばす方法について提案を持っている」など、
数多くのポイントが出てきました。

このようにして、その日のMTGでは、
「その成功体験を得るためには具体的にどんなことができたら良いか?」という視点で、
各部門の担当者が成功するために必要な行動を具体化していきました。

活発な議論が終了した後で、部門長は
「今までは抽象的な話で何が変わったか分からなかったが、今度は変わりそうな気がする」
という振り返りをされていました。

私はその議論を拝見していて、
「答えは現場の皆さんの中にある」ということを改めて感じました。
また、「他者へのアドバイスは的確なのに、自分のことになると見えないものだな」
とも感じました。
例えば、「具体的に項目出しをしたら?」という提案をしていたマネジャーは、
自部門の担当者に必要な行動を具体化できていませんでした。
他人に対してだと、冷静に考えて意見ができるからでしょうか?
「わかっているけど、実践できていない」という人間の弱さもあるのでしょう。

人がモノゴトを身につけていくときに、スキルを分解したり、具体化することは定石です。
ただし、骨が折れるのです。
当たり前にスキルが身についている人でも、
いざ自分のしていることを具体化するのは面倒なものです。
「やってみよう」と自分の中で小さな意思決定をしないとできません。
そのような意思決定を互いに後押しすることで、チームとして前に進んで行けます。


議論を拝見していて、もう一つ良いと感じた点は、
参加者が素直に他人の意見を受け止め、受け入れようとしていることでした。
同じ質問や提案であったとしても、受け手が「攻撃・批判」と受け取るケースと、
「自分のための助言」と受け取るケースがあります。
「攻撃・批判」だと受け止めていると防衛本能から緊張し、体は萎縮し、本来の力を発揮できません。
話の内容など頭に入ってこないでしょう。「自分のための助言」という前提で、
自然体で相手の質問や提案に対して考えることができている良い議論でした。
まだアクションはこれからですが、とても期待が持てています。

このように人を育成できる組織は、
互いの弱さを補って「実行」する力があります。
自然体で意見が言い合える土壌があります。
若手を戦力にする力の高い組織はそれだけで業績は上向きます。
業績が上向いていると企業の雰囲気が良くなり、さらに若手が育ちます。
鶏が先か卵が先か、人を育てる組織力を身につけた企業だけが永続的に繁栄できます。

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安澤武郎
専門家

安澤武郎(経営コンサルタント)

株式会社熱中する組織

どのような組織にも「常識の壁」「アクションの壁」「スキルの壁」「仕事のやり方の壁」「コミュニケーションの壁」「情熱の壁」があり、能力を活かしきれていません。その壁を取り除き、組織を生まれ変わらせます。

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