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新任営業マネジャーは思考の方向性に気をつけろ

安澤武郎

安澤武郎

テーマ:マネジメント(ケース)

ある営業部門長の悩み
「今回自分の部署に配属になった新任課長は自分で考える力がない。
 担当者とMTGをしてもヒアリングをしているだけで問題を解決していない。
 担当者が『あのお客さん難しいんです』と言ってきたら、「そうだよな」で終わっている。
 担当者との関係は良いんですよ。仲良くやっているから職場は明るい。
 それは良いんだけど、業績は全然伸びない。
 なので、この前『まず10件顧客に電話をかけてみろ」と指示をしたんです。
 けれど行動を起こせない。『電話だけで営業をすると苦情になったことがある』
 と担当者に言われて納得してしまったとか。どう教えたら良いのかな?」
 
そんな相談を受けました。
どうしたら良いでしょうか?

その課長と直接話をしてみると、「考える力がない」わけではありません。
「考える力はある」のですが、考える方向が違うことに気がついていないのでした。
とても もったいない状態です。


営業マンの思考と管理職の思考には違いがあります。
売れない営業マンと売れる営業マンの思考パターンの違いと言った方が正確でしょう。

それは
「なぜ売れないか」と売れない理由を考える
「どうしたら売れるか」と売る方法を考える
の違いです。

営業マンは顧客を説得できないと上司を説得するものです。
「こういう理由で難しいのです」
「この地域の顧客の特徴はこうなので難しいのです」
人間は自分の能力が低いことを認めたくはありませんので、
その時の実力の限界まで頑張った時点で「なぜ売れないか」を説明する側に回ります。
誰しもある特徴です。

部門長クラスになると、
高い水準まで「どうしたら売れるか」という思考パターンを維持する力があります。

中間管理職になった営業マネジャーは、
部下側に立って部門長を説得する側に回るのか
部門長側に立って部下と顧客を説得する側に回るのか
という分かれ目があることを知るべきです。


上司を説得する習慣がついてしまっていた営業マンは
営業マネジャーになった際に簡単に下に降りていってしまいます。
居心地は良いですが、業績はどんどん下がるでしょう。


では、どうすればこの思考パターンを身につけさせることができるでしょうか?
①「自覚」させる
 まず、「できない理由」「売れない理由」を考える思考パターンになった際に、
 そうなっていることを教えてあげます。
 あらゆることでその思考パターンは出てきます。
 「この顧客にどんなシナリオで営業したら良いかな?」と聞けば、
 「まだ会ってないのでシナリオは考えられません」
 「この競合に対してうちの商品は何が勝っているかな?」
 「顧客に聞かないとわかりません」
 できない理由の世界に生きているので、それが正しいことだと思っています。
 「こう考えたらどうだ?」と考えられることを示し、違いをわからせることが第一歩です。

②心理的負担を受けない方法を教える=「行動」に着目する
 こういう思考パターンの人は実力がつかないので、自信を持てていないことが多いです。
 自信のなさから自己防衛をしているという側面もあるのです。
 そこに理解を示してあげないといけません。
 その人の存在や能力は認めた上で、「必要な行動」を教えてあげるのです。
 「できる行動」を増やしてあげれば、考える幅も広がり、自分で考えられるようになっていきます。
 本気度が足りなかった、と精神論に終始すると人間の問題になりやすいので注意です。
 アドバイスを攻撃と受け取られると何を言っても伝わって生きません。
 そもそも「できない理由」をこれだけ考えられるのですから、
 「できる理由」を考える力もあるはずです。
 もし、「どうしたら売れるか」の思考パターンで生きてきていれば、
 どれほど違っていたでしょう。
 過去を憂いても仕方ありませんが、これからは営業マネジャーです。
 その思考パターンは組織に広まりますので、絶対に修正をすべきです。
 部署のメンバー全員が毎日毎日「できない理由」を考えている組織と
 「できる方法」を考えている組織の差、物事を実現できる確率は100倍以上変わるでしょう。

③一緒に何度も反復する「密度」
思考パターンは習慣です。違いを理解しただけでは変わりません。
何度も自覚させ、行動を見つけさせる伴走者の役割が大事になります。
四六時中横に張り付くわけにもいかないでしょうから、道具を活用します。
日報や議事録というものに、「できない理由を取り除いた事例」
「新たに試そうと決めた行動」を記録させるのです。
人間は明確にアウトプットをすることで自分の姿を自覚できます。
「内勤を増やしたくない」「営業は外に出ることが仕事だ」と
また「できない理由」を言われるかもしれません。
しかし、今の思考パターンではいつまでたっても売れないでしょうし、
長い目で見たとき思考パターンを転換してしまうことはとても重要です。
一度どっぷりと浸かって自分のために取り組ませることです。

部門長は
その記録を見てあげて一言をかけてあげたり、精神的な応援をすること、
気がついたヒントを提供し、営業的な補強をすること、
小さな成長を認め、本人に変化を認識させていくこと、
などをすることが役割です。
まず1ヶ月、次にもう1ヶ月とスモールスタートで挑戦してほしいと思います。

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安澤武郎
専門家

安澤武郎(経営コンサルタント)

株式会社熱中する組織

どのような組織にも「常識の壁」「アクションの壁」「スキルの壁」「仕事のやり方の壁」「コミュニケーションの壁」「情熱の壁」があり、能力を活かしきれていません。その壁を取り除き、組織を生まれ変わらせます。

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