学びの多い組織は事例からどんなことを学んでいるのか?
ある社員寮の住人から相談を受けました。
あなたならどのように解決するでしょうか?
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【ある社員寮での問題】
「寮の台所が汚れている」という課題に対して、
私は厳格なルールとして、食べ終わったら皿を片付ける、
食器は元あった場所に戻す、などのように細かにルールを設定することを提案した。
それに対してAは、そのような細かなルールを設定することに反対し、
「普通の感覚として”綺麗だ”と納得できる状態にすること」
のような大きなルールの設定程度で十分で、
細かなルールを設定するのは社会人として相応しくない、と主張した。
Aの提案においては、台所をきれいにするということが目標としてありながらも、
その過程において住人のプライドも尊重すべきであり、
達成目標としての台所が綺麗になることと、
住人のプライドを傷付けないことのバランスを取ることが重要であると考えている。
現在の住人が台所を綺麗に使えていないことを認識していながらも、
「社会人であるならば細かなルール設定は不要だろう」との認識を強く持っている。
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あなたが寮の住人であったとしたら、どちらの意見を支持するでしょうか?
もしくは、代替案があるとしたらどのような案でしょうか?
どちらが正解とは断言できない状況です。
私は以下のように考えました。
「割れ窓理論」というのをご存知でしょうか?
ニューヨークの犯罪を減少させたアプローチとして有名になった理論です。
窓が割れたままになっていると、それが当たり前になり、
窓を破る人が後を絶たない。
しかし、一旦、綺麗な状態が作られ、窓が全く割れていない状態を維持すると、
窓を破ろうとする人は減り、犯罪も減少するというものです。
そういう観点から、地下鉄や路地の落書きを消して
綺麗な街に変えるところから犯罪は減っていったそうです。
一旦綺麗な台所にすることが必要だと考えられます。
また、この台所が汚れるメカニズムを深掘りすると、
食洗機の使い方にありました。
「食洗機に入れたまま放置されている食器があり、
次に食洗機を使う人が、その食器を出してから使えばいいのに、
前の人の食器を入れたまま食洗機を使うので、
食器がたまって汚れていた」ということです。
確かに、食洗機を使った人が食器を片付ける場合、
一定の時間をおいて片付けに戻らないといけないので、手間がかかります。
そこを「食洗機に入れっぱなしにしても良い。
次に使う人が中の食器を出してから食洗機を使う」
というルールを決めることで、一人当たりの手間を減らせます。
チームとしてのルールを持つことで、効率化されるということです。
これはビジネスの世界でも同じです。
例えば、「書面によるレポーティング」です。
上司部下のコミュニケーションを「都度」「思い立った時に」「口頭で」
というルールで運営しているチームがあります。
これは担当者からすれば自分の都合の良い時間に上司と話ができ、非常に便利に思えます。
しかし、実際は相談待ちの渋滞を引き起こしたり、
複数のメンバーがいるチームでは上司の仕事は非効率になります。
また、複雑な案件を口頭でのみ共有していると、
説明〜理解に時間がかかりますし、深く話すことができません。
そういう状況では「書面によるレポーティング」という仕組みを活用することが有効です。
全体像が見えていない担当者からすると、
「仕事が増えて嫌だ」と思ってしまうかもしれませんが、
担当者自身の頭の整理のために活用し、
上司に事前に考察してもらっておくと短時間でコミュニケーションができ、
チームとしてのパフォーマンスは高まります。
情緒的な意見に流されず、全体像を捉え、ルールの活用を考えることが必要な場合もあります。
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ペネトラ・コンサルティング株式会社
代表取締役 安澤武郎
公式サイト:http://penetra.jp/
お問合せ: info@penetra.jp
著書:『壁をうち破る方法』はこちら
http://www.amazon.co.jp/dp/4799314378/
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