フレームで考えるとは?
年始に『今年の目標』や『目標を達成するための作戦』を議論されることが多いかと思います。
今回はその際に大切な『聴く』というスキルに焦点を当ててコラムを書いてみます。
■君は『車間距離』を詰められるか?
先月、このようなやり取りを目にしました。
身近な事例のケースですので、少し考えてみて頂きたいと思います。
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営業で前の予定が長引き、次のアポに遅れそうになっている車中での会話です。
先方に「遅れる旨」の連絡はしてあるのですが、遅れる時間は最小限で止めたい状況でした。
(部下が運転し、上司が同乗している状況です)
上司 「車間距離あけすぎじゃないか?周りから入られたりするから危ないよ」
部下 「急いで事故を起こしたらどうするんですか?安全が優先じゃないんですか?」
上司 「そういう事じゃなくて、安全の為に『周りの車の流れに乗った方が良い』と言って
いるんだよ。車間距離が空きすぎると割り込まれたり逆に危険だから」
部下 「価値観の違いですよ。運転のポリシーとして安全第一なんです。いくら急いでいた
としても、そこで焦って事故を起こしたら負けだと思っているのです。ですので、
いくら急げと言われても急ぎません」
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話が噛み合っていませんね。どうしてでしょうか?
そして、どうすれば良いでしょうか?
まず噛み合わなかった原因を考えてみましょう。
部下は上司の意図をどのように理解したでしょうか?
部下は「上司が『急げ』と言っている」と認識したのだと思います。
しかし、上司が求めているのは『安全』です。
そして、部下も『安全』を大事に考えています。
目的は同じなのに議論が噛み合わないという現象が起きています。
では、なぜ部下は上司の目的を誤解してしまったのでしょうか?
それは『思い込み』です。
咄嗟に「上司が『急げ』と言っている」と判断してしまったのです。
そう判断させたのは「状況(文脈)」です。
もしかしたら、日常の上司の姿から部下は
「上司はせっかちな性格」「上司は顧客を最優先にする」
という『前提(文脈)』があったのかもしれません。
もう少し考えてみましょう。
会話の中で上司は誤解を解こうとしています。
しかし、部下の思い込みは解消されませんでした。
では、部下が『思い込み』から抜け出せなかったのはなぜでしょうか?
それは、『感情』です。
自分の大事にしていることを否定されたと思った瞬間に「怒り」が生じ、
聴く耳が持てなくなっています。
相手が話をしている間にも「反論」を考えていて、
相手の言っていることを聴けていないのだと思います。
冷静に考えてみれば分かることです。
文字にして目にすれば、誰もが理解できることでしょう。
しかし、「思い込み」で誤解し、「感情」で聴く耳が持てていない状況では噛み合いません。
こうなると、上司の方もイライラして、ネガティブな感情で接してしまいます。
「車間距離を詰めろ!」なんて怒鳴ってしまえばもう永遠に誤解は解けません。
いくら『思いやり』の精神を大事にしていても、『聴く』スキルが不足すればこうなります。
『聴く』スキルには3段階のレベルがあります。
①情報を正確に聞くレベル
②情報だけでなく、相手の意図を正確に理解するレベル
③情報・意図に加え、相手の感情までとらえて聴くレベル
です。
①の水準の人は②の訓練を、
②の水準の人は③の訓練をすると良いでしょう。
明日はその具体的な方法を紹介したいと思います。
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ペネトラ・コンサルティング株式会社
代表取締役 安澤武郎
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