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聴く技術(1/3)

安澤武郎

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テーマ:人材育成

年始に『今年の目標』や『目標を達成するための作戦』を議論されることが多いかと思います。
今回はその際に大切な『聴く』というスキルに焦点を当ててコラムを書いてみます。

■君は『車間距離』を詰められるか?
先月、このようなやり取りを目にしました。
身近な事例のケースですので、少し考えてみて頂きたいと思います。

**********事例**********
営業で前の予定が長引き、次のアポに遅れそうになっている車中での会話です。
先方に「遅れる旨」の連絡はしてあるのですが、遅れる時間は最小限で止めたい状況でした。
(部下が運転し、上司が同乗している状況です)

上司 「車間距離あけすぎじゃないか?周りから入られたりするから危ないよ」
部下 「急いで事故を起こしたらどうするんですか?安全が優先じゃないんですか?」
上司 「そういう事じゃなくて、安全の為に『周りの車の流れに乗った方が良い』と言って
いるんだよ。車間距離が空きすぎると割り込まれたり逆に危険だから」
部下 「価値観の違いですよ。運転のポリシーとして安全第一なんです。いくら急いでいた
としても、そこで焦って事故を起こしたら負けだと思っているのです。ですので、
いくら急げと言われても急ぎません」
**********************


話が噛み合っていませんね。どうしてでしょうか?
そして、どうすれば良いでしょうか?

まず噛み合わなかった原因を考えてみましょう。
部下は上司の意図をどのように理解したでしょうか?

部下は「上司が『急げ』と言っている」と認識したのだと思います。
しかし、上司が求めているのは『安全』です。
そして、部下も『安全』を大事に考えています。
目的は同じなのに議論が噛み合わないという現象が起きています。

では、なぜ部下は上司の目的を誤解してしまったのでしょうか?
それは『思い込み』です。
咄嗟に「上司が『急げ』と言っている」と判断してしまったのです。
そう判断させたのは「状況(文脈)」です。

もしかしたら、日常の上司の姿から部下は
「上司はせっかちな性格」「上司は顧客を最優先にする」
という『前提(文脈)』があったのかもしれません。

もう少し考えてみましょう。
会話の中で上司は誤解を解こうとしています。
しかし、部下の思い込みは解消されませんでした。
では、部下が『思い込み』から抜け出せなかったのはなぜでしょうか?
それは、『感情』です。
自分の大事にしていることを否定されたと思った瞬間に「怒り」が生じ、
聴く耳が持てなくなっています。
相手が話をしている間にも「反論」を考えていて、
相手の言っていることを聴けていないのだと思います。

冷静に考えてみれば分かることです。
文字にして目にすれば、誰もが理解できることでしょう。
しかし、「思い込み」で誤解し、「感情」で聴く耳が持てていない状況では噛み合いません。
こうなると、上司の方もイライラして、ネガティブな感情で接してしまいます。
「車間距離を詰めろ!」なんて怒鳴ってしまえばもう永遠に誤解は解けません。

いくら『思いやり』の精神を大事にしていても、『聴く』スキルが不足すればこうなります。

『聴く』スキルには3段階のレベルがあります。
①情報を正確に聞くレベル
②情報だけでなく、相手の意図を正確に理解するレベル
③情報・意図に加え、相手の感情までとらえて聴くレベル
です。

①の水準の人は②の訓練を、
②の水準の人は③の訓練をすると良いでしょう。
明日はその具体的な方法を紹介したいと思います。

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ペネトラ・コンサルティング株式会社
代表取締役 安澤武郎
公式サイト:http://penetra.jp/
お問合せ: info@penetra.jp

著書:『壁をうち破る方法』はこちら
http://www.amazon.co.jp/dp/4799314378/
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安澤武郎
専門家

安澤武郎(経営コンサルタント)

株式会社熱中する組織

どのような組織にも「常識の壁」「アクションの壁」「スキルの壁」「仕事のやり方の壁」「コミュニケーションの壁」「情熱の壁」があり、能力を活かしきれていません。その壁を取り除き、組織を生まれ変わらせます。

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