キャパシティ産業の変革【Part2】~コロナ後の飲食店の復活条件~

伊東久

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 2020年8月25日の日経新聞朝刊に「外食の客足 復活の3条件」という記事がありました。データを分析した結果から、①時間はランチ帯、②立地は住宅地周辺、③人数は1~2人、との復活の条件が提言されていました。夜の大人数での外食を控え、在宅でのストレスの解消には近場で静かに1人で食事という構図が浮き彫りになっています。私自身がそういう動きになっているので実感があります。

 今回はこの3条件にプラス、私が考える復活条件をお伝えします。

【条件1】テイクアウトの推進

 一言にテイクアウトと言っても、店舗にあるメニューをそのまま持ち帰りにできるということでは、そもそもテイクアウトしたいというお客様の動機にはつながりません。それには、テイクアウト専用のメニューを開発するのです。そのためのポイントは次の通りです。

1.店の特徴を活かした看板メニューを採用すること
 今までの利用客は、看板メニュー又は季節メニューが食べたくて来ていたのです。それが家でも食べれることが動機につながっていきます。

2.看板メニューに食事として成立すること
 単品ではなく、サラダやライス・パン、デザートなどを付け、それだけで一食として成り立つように設計します。単品だけでしたら総菜屋さんに負けてしまいます。持ち帰って食べるときの楽しさを想像させるようにします。

3.POPはシンプルに、価格は税込みで切りのいい数字にすること
 POPは目立つもの1枚でいいでしょう。できるだけ大きくメニュー訴求と特徴を打ち出してください。「〇〇サラダと〇〇ソースでさっぱりと!」のような打ち出しで食事のイメ―ジを提供しましょう。価格は1000円込みなどわかりやすい方がいいですね。

 詳しいテイクアウト対策はこちらをご覧ください。⇒コロナ不況を乗り切るための情報ネット「初めてのテイクアウト」

【条件2】感染症対策を人の動きでアピール

 数々の感染症対策が行われているようです。その多くは店頭に対策を掲示して、安心感を提供しています。入り口の除菌スプレー、客席の仕切り版、又は席間隔の確保など、多くの努力が見受けられます。ところがその対策も、設置だけで終わっていることが多いのです。除菌スプレー容器が汚れていて触るのが億劫になったり、客席を仕切っているアクリルパネルにドリンクが撥ねた跡があり、飛沫を連想します。テーブルにある箸入れの箱にはたくさんの箸が入っています。調味料にもトングが付いています。果して触っていいものなのか気になります。

 ある飲食店でこういう光景がありました。一生懸命テーブルを除菌スプレーで拭きながら、調味料入れを交換、清掃しています。一つひとつのテーブルを順番に回っています。その店員に声をかけました。「一生懸命除菌対策していますね」と言うと、「はい、お客様に指摘されないよう、清掃時間を決めているのです」とのことでした。通常の片づけ以外に時間を決めて清掃に回っているのです。とても安心できる光景でした。こういう店にお客様はリピートしてくるのですね。

 この記事に関してはシリーズでこちらでも提供しています。ブログおもてなし経営のすすめ「コロナ後の飲食店のあり方」

【条件3】集客よりも、今過ごしているお客様を大切に

 ソーシャルディスタンスの対策で使える客席も少なくなってしまいました。本来回転させて客数を確保する方法も取れません。これからの時代、今利用しているお客様にどう満足していただき、次につなげるかの対策が必要になってきます。そもそもそれが飲食店のあり方なのですが、目先の売上が欲しいばかりに、大切なことを忘れてしまったようです。

 一生懸命声を張り出してお客様を迎えるよりも、優しい笑顔を忘れていませんか?お客様は飛沫の関係で声に敏感になっています。大きい声を出す人を避けて通る傾向があります。それよりもお客様にしっかりアイコンタクトを取り、マスクの上からでもはっきりわかる笑顔でお迎えしましょう。

 注文を取る際の会話、近寄りすぎていませんか?ついついおすすめメニューをすすめるがあまり会話に夢中にならず、少ない言葉で魅力を伝える工夫をみんなで考えていきましょう。

 客席の巡回もできるだけ少なくする代わりに、いつでもお客様に目を向け笑顔で対応するようにしましょう。目が合ったらニコッと笑顔で寄り添う方が、お客様への安心感につながります。スタッフ同士がマスクをしながら近寄って私語をしていたら、感染症対策の根本が崩れてしまいます。

 次につなげるために、会員のおすすめや、割引券の配布などを積極的にすすめましょう。お見送りの挨拶が最後までしっかりできているか、見直すことも必要です。接客で満足したお客様は、割引券の利用率が上がることは実証済です。

 冒頭で紹介した日経新聞の記事の最後に、とても印象的なことが書いてありました。
 「苦境にあるときこそ、なじみの店を支えたくなるのが消費者心理だ。今後は広告宣伝を投じて新規客を開拓するより、つながりを深めて常連になってもらう努力が重要になる。」

 私たちおもてなし経営クリエイション・アカデミーでは、コロナ後の飲食店のあり方を根本から見直すコンサルティングをしています。お気軽にご相談ください。詳しくはこちらから⇒https://www.omotenashikeiei.co.jp/

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伊東久
専門家

伊東久(経営コンサルタント)

株式会社おもてなし経営研究所

現場での接客と、組織マネジメントの経験を併せ持った視点から、顧客に愛され支持される「おもてなし経営」を目指した組織づくりを支援。従業員の力を引き出すコンサルティングと豊富な経験談を交えた研修が好評。

伊東久プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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