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【はじめに】
最近「今の連中は昭和のやり方ではついてこない。」とか
「上司が部下に気を使うなんて令和(世代の部下の指導)はやりにくい。」
といった諦めにも愚痴にも似た声を耳にします。
確かに、昭和に育った私も新米社会人の時には
「やれるかやれないかじゃない!やるかやらないかだ!」
等など、上司から「厳しい」指導で育てられました。
ですが、昭和のやり方は今ではほぼNG行為とされました。
昭和の指導は全てパワハラ案件と一括りにしていいものでしょうか?
そして全ての若手はそれを是と考えているのでしょうか?
【中間管理職の悩み】
ある40代現役管理職の方から受けた相談と言うのが
「上からの指示で3年目以下の若手には否定しない、いい点を褒めることで
一人前の戦力にするように」と言われたものの、それが裏目に出てしまった。
という内容でした。
簡単にまとめるとその新人は「叱って欲しい時に叱ってくれない上司」に
大きな不満があると訴えられたのです。
「自分はまだ半人前でもないド素人、失敗をその場で指摘、注意をしてくれないと自分に
甘くなってしまう、そんなことも出来ない上司は尊敬出来ない。」
昭和世代の私から見れば「理想的な新人君」です。
優しく、叱らない指導と言う会社方針自体が彼には適用不適格だったのです。
実はこの方の事例以外でも
「新人社員の中でも出来る子は叱って欲しい、無駄に気を使わないで」
というように新人である自分の立場を弁えている。
それなのに不必要なほどの甘やかし指導の日々に
却って不満が鬱積していたという話を聞いていました。
一括りで「令和世代は・Z世代には」と言う
捉え方での指導における負の部分が出てきたと思います。
「ならば、出来る子にはそれなりの指導をすればいいのでは?
個人差があるのだから面倒でも個々の対応をしてあげれば?」
と話したのですが…
その方は速攻で
「それを差別、贔屓という見方をするんですよ、
出来ない子の方が!」というのです…
なぜにこんなに部下の指導、掌握に
指導する側が苦労することになったのでしょうか?
【まずは管理職側が意識する事】
我が悪友の経験談を紹介します。
「すみません! 全く別の対応策を考えていませんでした。」
20代と思われる若手社員が部長に平謝り、
その横に立つ指導役と思われる30代半ばの中堅社員が
「この部下のミスの穴埋めは、〇〇君に担当を替えて対処します!」
これに対して部長が言った言葉は
「〇〇君では穴埋めでなくもう一つ穴を開けるだけだ!
それが分からんのか!!」と大喝だったのです。
この時叱責された中堅社員が当の悪友本人です。
ただその後の部長の対応が違ってました。
「自分がキミの立場でも(ミスをした)彼に仕事を任せたと思う、
その判断は間違っていない、ある意味これで彼は成長できる、
ただキミ(悪友)とあろうものが次善の策を用意していなかったのは
まずかった、今も次善の策を持たないまま〇〇君に担当を交代して
事態が改善すると思うか? 焦らずに関係改善の最善手を考える事。」
30年以上前の出来事を昨日のことのように語る悪友は
実に幸せそうでした。 彼は得難い上司に仕えていたのですから。
また、その時のミスをした若手は
今や売上全国トップ3の主要支店の支店長に成長したそうです。
彼曰く、この部長、今ではパワハラ認定確実のような発言は
日常的だったようですが、その後のフォローが実に的確で
皆の前で叱る時も職場を変な空気にすることはなかったそうです。
決してしなかったのは私生活への介入や人格否定と取られるような
言葉は口にせずに、でも十分失敗を自覚させ言い訳をさせない迫力は
持っていたようです。
「今の若手は」云々で片付けようとする上司も、
裏を返せば「今の管理職は」と見られているのです。
【若手社員は皆同じではありません】
私と同じように転職や起業、再就職の相談を主にする方がいます。
その方との雑談の中で
「シニア世代が再就職や転職した際に起こす問題は
自分の経験を新会社でも押し通す、前の業績をハナにかける。」
ことで周囲との関係が悪化、結局早期に退職する羽目になり、
反省もなく再再就職してしまうこと。」だそうです。
入社早々に(この方の経験では入社16日目が最短)
「退職相談に来る若手は過大な自己評価を持っている、
学歴を盾に配属先に不満を持つ、職場になじめない、
なじまないことで退職を考える。」そうです。
共通するのはカタチこそ違え「自己評価の高さ」です。
シニアは過去の実績と前職場の看板に固執し
新人君は学生時代の輝きだけに執着するようです。
残念なのは実際に学生時代に勉学やスポーツ、研究等で
成果を挙げ、自負を持った方の中にもそれを善用する事が出来る
「これからの人」タイプとそれに縋るだけの「それまでの人」
に分類されます。
最悪なのは何の実績も根拠もなく、
例えばただただ国立大卒という過去の一点に縋り、
特別待遇を受けるのが当たり前と勘違いするタイプです。
私自身、何度もこういう考えを持つ勘違いさんに遭遇しました。
「今の会社では自分(のような優秀な人材)を有効に活用出来ない。」
「自分よりランクの低い大卒の上司の言う事なんて聞いてられない。」
未だにこういう考えが出来る人を理解出来ませんししたくもないですが
この年でこんな生き方を始めるということはこれからの長い人生を
望んで苦難の連続の道となる選択をすることに他なりません。
自分を活かせる仕事ではなく、組織、会社を活かす原動力になる。
シビアな現実では、
こういう考えを根底に持つ若手が少数派なのは否めません。
ですが、確実に存在はしているのです。
【終わりに】
以上、紹介した事案は
あくまでも私が遭遇した範囲での話ではありましたが
概ね間違ってはいないと考えています。
もちろん
部下の全員が同じ捉え方をすることはありませんが、
「パワハラだ」「押し付けだ」という声が特定の人物だけで
その他大勢の同僚からは全くそんな声が聞こえない。
こういう場合はその声に過剰反応することは無用でしょう。
そこで我も我もと同じ(批判、非難の)声が上がる場合は、
残念ながらやり方自体が間違っていたか
真意の伝え方に問題があったのでしょう。
理解力に乏しい部下をどう導くか?
うわべだけの慰めや叱らない指導では
却ってやる気のある部下からは侮蔑されるという
諸刃の剣ということは管理職はしっかり意識すべきです。
部下の指導、統率には絶対の正解はありません。
時にやさしく、時に甘く、時に激しく、厳しくを使い分ける。
昭和ど真ん中世代の私は、この点に秀でた先輩上司に恵まれた
いい時代を会社員として過ごせたおかげで今があると思っています。




