認知症対策としてのMCI検査
【はじめに】
最近の記事でしたが、
一部の大企業で役職定年制の見直しが始まったとありました。
今日はこの話題とこの動きが起業・独立志望に
どう関わってくるかについて考えてみました。
【役職定年制の明暗】
この制度はちょうど私がまだ会社員の後半戦の時代に話題になりました。
役職定年制、読んで字のごとく一定の年齢までに次のステップに移れなければ
今の役職を解かれ、一般社員となって以後の会社人生を歩むというものです。
(詳細についてはご存じの方が多いと思うのでこれ以上は踏み込みません)
今までフロア全体を仕切る場所にデスクがあり、
職場全体を見渡せる配置で陣頭指揮を執っていた「部隊長」が
ある日を境に今まで眺めてきた一般社員同士が向き合う形で座るデスクに移動、
場合によっては叱咤激励して育ててきた直属の部下が自分の上司に就く等
心情面での相当なストレスに加えて、給与面でも当然ながら手当の消滅で減給になり、
対外的な肩書や地位も白紙になる訳です。
当時は「上がつかえているから中核戦力の中堅社員のモチベーションに影響が」
ということが優先され、社内、組織の活性化の為の措置だったと言えるでしょう。
確かに、
そうなって当然といった「ブラ下がり管理職・上司」の排除には
それなりの効果はあったと思います。
反面「確実に有能で余人をもって代え難い」人材迄ひとまとめにしての処断には
当時から疑問の声は出ていました。
既に私も会社を去って15年近くを経過して
今の状況には興味もなく疎かったのですが、
ここに来て冒頭の記事を目にしたのです。
【時代の流れによる変化?】
パーソル総合研究所の調査によりますと
2022年の調査では調査した大手企業34社の結果は
役職定年の制度がありが31%、
1~2年前に新設が13%
制度廃止が16%、
廃止の予定が13%、
制度がなしが28%でした。
単純計算ですが
廃止と制度無しで44%、
廃止予定を加えれば過半数の企業で役職定年制と無縁となります。
一時期の風潮を知る身にとっては隔世の感があります。
具体的な動きの一部を紹介しますと
これまで56才で設定されていた役職定年を廃止、
59才以下に適用していた資格等級、評価、賃金制度を
65才まで継続するように変更。
60才に達すると
一律に管理職から外し給与をカットする役職定年を廃止、
もとの管理職に復職させたり、そのまま継続させたりして
同じ役職なら60才迄同じ水準の賃金を支払う等に変更したそうです。
この結果、当然ながら人件費は膨れ上がったものの
人出不足の解消に加えてシニア社員のモチベーションの低下防止の点からも
この動きに踏み切ったそうです。
【起業・独立との兼ね合いに変化?】
会社のこうした動きに対しては既に結果が出ているようです。
シニア社員は会社からの期待を感じますし
モチベーションの向上は言うまでもなく、
肩書や給与も復活したことで成果を出すという
気概を持つシニアが増えたとのことです。
こういう状況になりますと
シニア起業・独立の動きにも影響が及ぶのは必至だと思えます。
単なる先延ばしと言えるかもしれませんが
給与も肩書も今のままで定年まで会社にいられるとなれば、
よほど既に具体的な事業計画を完成させ、もうスタート直前、
という方は別でしょうけど、そこまで具体的でないのであれば
あえて早期退職で勝負に打って出る必要性があるのでしょうか?
といった慎重論を改めて検討する価値はあると思います。
残念ながら、今の処遇への不満や、起業して会社を見返したいといった
感情論が基となったような見切り発車的な早期退職からの起業・独立志向は
コロナ前にはかなり多くのケースがありました。
ですがあのコロナ禍である意味「不本意ながら」会社に残留を強いられた、
甘い事業計画を見直す時間を得ることになった等など、いろいろな理由で
起業・独立の相談は一気に減少しました。
コロナ禍も終息に入った昨年あたりから
再び早期退職からの起業相談がポツポツと増えてきた矢先に、
今度は会社の制度の変化でまた慎重に、冷静に仕事の選択を考える機会が生じたのです。
人によっては5年近い時間の猶予が与えられることもあるので
より退職後の起業計画に関して完璧を期すことに繋がります。
ただ、こういう時に必ず発生するのが区切りのタイミングによる明暗です。
どうしても制度の隙間世代というのが出てきてしまいます。
半年、1年の差で制度見直しの恩恵を受けられない世代が出るのは避けられません。
その際の対処についても
今後どういうフォローがされるのかは大いに気になるところです。
【終わりに】
本来の定年退職となる60才~65才になってからも人生は長く続きます。
役職定年制度の見直しでひたすら安堵する方、再びやる気を起こす方、
既に第二の仕事に人生を託すことを決めたため意に介さない方、
見直しの対象外の区分となって意気消沈する方
これと似た事例は過去にもありました。
長く固定化されてきた60才定年制の見直しです。
労働人口の確保を図る政府からの推奨もあって65才迄の定年延長や
再雇用等といった形で会社人生が延長になったものでした。
その時も、今と同じようにその後の人生への対応時間が
5年程度延長になったのです。
この時も上記したように
ただ単に今まで通りの日々を過ごすだけで
貴重な延長期間に何ら手を打たなかった方、
その間に勉強を始めて資格取得を図り、
退職後の設計図を書き終えた方、
ここでもタイミングの問題で
恩恵を受けることなく会社を去った方、
今と同じ状況がありました。
自身の置かれた環境の変化にどう対応していくか?
5年間の猶予時間をどうその後の人生に活かしていくか?
ますます自己決定と自己責任による行動が求められてきます。