シニア起業・独立で抑えておきたいポイントとは?
【はじめに】
最近の全国紙でもシニアの資格取得からの起業・独立に関する特集記事が
掲載されたように、「公的資格取得が失敗しない起業・独立の決め手」と思う
相談者が目立ってきてます。
何度も何度もこのコラムでも紹介してきましたが、
資格取得はゴールではなく、スタートラインに着いた証明でしかありません。
改めて転職を含め、起業・独立と公的資格の取得の関係について
紹介したいと思います。
【何故資格取得を目指すか?】
さて、資格の取得を目指す方は全て資格起業を目指す訳ではありません。
主な資格取得を目指す動機としては以下の4つが挙げられます。
1)副業をする際に必要だったから
2)転職・就職時に有利になるから(と思ったから)
3)自分のスキルアップの為
4)資格取得後に起業する為
このうち1)と2)を合計すると約57%で、過半を占めていました。
では、本当に資格を取れば副業や転職・就職時に有利になるのでしょうか?
少なくとも私が面談した範囲では、
資格を取れば再就職や転職に有利に働く、だから取得する。
といった「取得自体が目的」になっていたケースが多かったと思います。
相談が進む中でスキルアップにも繋がると口にするケースもありました。
ですが、その後の展開についてはあまり具体性は無く、
結局は安易に資格があれば有利になるという考えの方が多かったようです。
敢えてこの場で言うまでもないことですが、
例えば転職=中途採用の基準は
「即戦力」
「実務経験」
「蓄積されたスキル」
であることに疑問の余地はありません。
単なる資格保有という肩書だけでは、先方の採用基準を満たさず、
期待を持たれることもまずあり得ません。
採用に必要なのは、
その資格で身に着けた豊富な実務経験やノウハウが会社に有益なものかどうか?
この一点に限られるのです。
資格を取得したら採用に有利ではなく、
その資格を今までどう活用してきたかの実績が重要なのです。
【目的意識の希薄なセミナー受講やスクール入学】
現在はIT関連(Webデザイン、プログラミングなど)や
公的資格取得を目指す方を対象にした各種講座やビジネススクールが人気です。
ここでも見受けられるのが「自分はやっている」「具体的に行動している」
ことで満足しているケースです。
当然ながら受講だけで資格が取れるものではなく、試験に合格してようやく
資格取得という「入門編」に辿り着いただけなのです。
確かに身銭を切って時間を費やして受講していることは評価出来ます。
ですが、何のためにこの資格取得を目指すのかという段階で、早くも
前段で説明したような「取得がゴール」といった考えというケースが目立ちます。
極端な話ですが、
「資格を取ってから、資格を活かせる業界で就職活動すればいい。」
というケースもありましたが、冒頭で述べたように先方の要望は
その先のレベル(経験値の有無)で採用を決めているのです。
【新規の資格であれば期待出来る?】
資格取得にしても、ある種の寄らば大樹で老舗の資格や、
難関の資格等に注目は集まり、合格率も厳しいものになっています。
その反面、今はあまり認知度が高くなく、競争率も比較的低い資格の中に
今後注目される資格も出てきています。
不動産関連に関しては、
今後の空き家問題やおひとり様の終の棲家、コロナ後も在宅勤務の常態化等、
今までなかった新たな需要が長期にわたって期待出来るとされてます。
「賃貸不動産経営管理士」は2008年にスタートした新しい資格です。
賃貸マンションやアパートオーナーから当該物件の管理を受託します。
その後、適正な運営をするための専門家というものです。
2021年4月には国家資格になり、
同年6月に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が施行されました。
これによって、一気に注目度の高い資格になったのです。
少子高齢化や不動産投資の人気向上で賃貸物件が急増、
今や過当競争の時代と言ってもいいでしょう。
現状でもオーナが直接物件の管理をするというケースは少なく、
多くの場合、不動産管理会社に管理の全てを任せているのです。
この管理の専門家が、この資格保有者となります。
既に宅建やFPの資格を既に保有している方なら、
新たにこの資格を取得することでより幅広いビジネスチャンスを手に出来ます。
公的資格は常に変化しています。
新しい国家資格に関する情報等にも目を配り、期待出来そうなものには
自分から積極的に情報収集に動くことが大切です。
まだ目新しい資格ということは経験知の差が出難いということです。
ここではスキルの有無が大きくものを言うかもしれません。
繰り返しになりますが、
この場合も取得した資格を具体的にどう活かすかまでの青写真を描くこと、
前述した賃貸不動産経営管理士を目指すならば、管理士を必要としている
管理会社についても調査し、需要の動向を把握することで、取得後の求職活動に
具体的行動の目安が出来ます、それはそのままモチベーションのアップになります。
資格の取得で転職や再就職を考えるならば、
「きちんとした目的意識」を持っての資格取得であることです。
この仕事をしたいからこの資格が必要だ、だから取得したい。
という流れで研修受講やビジネススクールへの入学なら問題はありません。
単に人気の資格という噂なので今のうちに取得だけしておけば?
と言った考えだけでは、仕事との明確な結びつきが見えてきません。
最近の新聞記事等では従来の資格のうち、いわゆる士業に関連する仕事の大半は
遠くない将来にAIが担うことになるとありました。
手続き、申請、届出、法解釈など等、士業分野の仕事に限らず、
色々な分野の仕事に今後AIはどんどん進出するでしょう。
苦労して取得した資格自体が、早々に無価値なものにならないように
今後どういう分野の仕事ならAIに脅かされることなく安泰なのかといった
見極めに関しても、十分な関心を持たなくてはいけないでしょう。
【資格を取得して独立・起業を目指す】
資格で取り扱いが出来る業務に精通することはもちろんですが、
更なる目標として「セミナー開催=講師」になるというテーマを持つことも
個人的にはお薦めします。
まずは、将来は商工会議所からセミナー講師の要請が来るような専門家になる。
その為に、専門知識を身に着けるといった段階を踏みます。
同時にSNS等でコラムやブログを開設し、最初は開業直後の悪戦苦闘ぶりを
ブログ日記の様に投稿するのです。
その中に最初は一つでいいので、
業界ミニ知識や、ちょっとしたうんちくの披露、
世間の動向についてのコメント等を定期的継続的に発信するようにします。
これが軌道に乗ると、
実際の雑誌等から(電子書籍も含め)記事執筆の打診や依頼となります。
私自身が試行錯誤の末に、この様なステップを踏んでいきました。
その結果「個別セミナーやコンサルの実施での顧客の獲得」に行き着いたのです。
あるテーマのセミナーを開催するとします。
そのテーマに関連した記事をタイムリーにSNSで発信しておきます。
タイミングを見てより詳しい内容を今度セミナーで紹介しますと告知します。
セミナーの開催にこぎつけたら、出来れば自身の経験に基づいたものや、
参加者も過去に経験していそうなあるある事例を盛り込みましょう。
経験上では、一般的・抽象的な事例紹介よりも
多少狭い範囲であってもより身近な実例に参加者は関心を持つものです。
このパターンが2,3回持続出来ますと
次第にセミナー参加者やコラムの読者の中から「もっと詳しい話を聞きたい」
「自分の話を聞いて欲しい」といった「見込み客」が自然発生してきます。
この様な状態になれば、次の段階では
「個別コンサル」の実施を告知し、「個別相談」の客を獲得していくのです。
とはいえ、最大の焦点は
まだ無名の貴方のセミナーにどうやって第三者を呼び寄せるかです。
ここも私の個人的経験の話になりますが、
将来セミナー開催を実現すると決めてからは、ブログやコラムに注力しました。
当初は(ほぼ半年間)最低週2本のペースで記事を投稿・更新しました。
ネット上で悩み相談や解決方法などを検索する場合、
検索している自分の情報は明らかになりません。
なので安心して気になるワードであいまい検索を繰り返せるのです。
この手の「隠れ悩み相談者」は相当な数になっているようです。
今度は、こういった浮動層を獲得することを目指します。
ここで検索で上位に表示されるようなキャッチコピーや
身近な問題提起に繋がるワードをタイトルに含まれるよう設定しておけば、
半自動的に自分のブログやコラムに行き着き、自然にクリックするのです。
ここまで書いてきますと、
私は苦も無くブログで集客が出来、予定通りにセミナー開催を実現し、
計画通りに顧客獲得が叶ったと思われるかもしれません。
実際は私が目論んでたテーマのブログやコラムには関心が薄く、
ついでに書いた起業までのプロセスや苦労譚が起爆剤になったのです。
詳細は省きますが、私自身はどこにでもある履歴と思っていたことが
実に多くの方の関心の的になったのです!?
結局、その記事がきっかけで講演会のお誘い迄受けるまでになり、
その後は個別セミナーの開催も可能なほどになりました。
結局、資格が役に立ったのは自分では想定外の起業支援や終活指導で
認められた後に、資格を活かせる相談が発生したのです。
あの時、私が行政書士の資格に固執して業務関連の記事ばかり掲載していたら…
たぶん、早々にブログ閉鎖、仕事の見直しといった末路を辿ったでしょう。
この時ばかりは私のずぼらな性格がいい方向に作用したようです。
資格起業を目指す貴方も、資格で食べていくにはいろいろなう回路があることを
認識し、柔軟な考えで資格を活かす方策を考えるようにしてみては如何でしょうか?