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寺田淳プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

生産年齢人口の減少とおひとり様世帯の増加

寺田淳

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【今日のポイント】

 今年も残すところ1か月、その12月1日の日経新聞朝刊に出ていた記事です。

 ご存じの方も多いかと思いますが、タイトルにあるように、
働き盛りの年代は減少を続け、おひとり様世帯は増加の一途という内容でした。

 1日の朝刊の一面がこれか!?
いきなり出鼻を挫かれたような記事でしたが、業務にも関連する情報でしたので、
今回はこの調査内容について簡単に紹介したいと思います。

【生産年齢人口の減少】

 総務省発表の「2020年の国勢調査の結果」によりますと、
15~64才の「生産年齢人口」は約7,508万8千人で、
5年前の調査時より約226万6千人の減少となったとありました。

 1995年のピーク時の生産年齢人口は約8,716万5千人で、
これと比べると約14%の減少と言う結果だそうです。

 ちなみに総人口は約1億2614万6千人で
これも5年前に比べ約96万9千人の減少となります。

 この総人口に占める生産年齢人口の比率は60%を切っており、
これは1959年以来、70年ぶりの結果となるそうです。

 2010年代には女性の社会進出や高齢者の就労の増加によって
2020年の就労者数については約6,676万人となっており、
2010年の時点より6,0%増となっています。

 とはいえ、女性や高齢者の就労増加だけでは就労者数にも限度があります。
今後はどれだけ少ない人手で生産性を維持、向上させるか事が出来るかが
大きな課題となるとありました。

 働き手の減少の影響をもろに受けることになる企業側の対応としては、
すでに多くの企業で65歳までの定年延長・雇用延長に加え、一部の企業では
65才定年制自体を撤廃したり、1年単位の契約にはなるものの、事実上定年を撤廃といった
有能なベテラン社員のノウハウやスキルを最大限活用する動きが始まっています。

 とはいえ、これも時間の経過とともにいずれは第一線を退くことに変わりはなく、
いつかは限界に直面することは避けられません。 

 自動化や無人化による省力化、効率化が最も有効な解決策ではありますが、
ここでは現行の法規制等によって即時の導入が出来ないケースがあり、
今後の規制の緩和や撤廃という手続きの問題が出てきてしまいます。

【少子高齢化とおひとり様世帯の増加】

 今回の国税調査でもう一つ浮かび上がったのが少子高齢化の拡大に伴う問題です。
 65才以上の人口は、5年前の調査時に比べて約6,6%増で、約3,602万7千人。
これは、過去最多の数字で、反対に14歳以下の人口は過去最少の約1,503万2千人とありました。
 高齢化比率は約28,6%で、これも過去最高となっています。
 更に一人暮らし世帯も拡大の一途で、世帯全体の中で約38,0%を占めています。
なかでも単身高齢者は、約671万7千人と5年前から約13%の増加となっています。

 65才以上の一人暮らし世帯は、高齢者のうち1/5を占めており、
内訳では女性のひとり暮らしが約440万9千人、男性が約230万8千人となっています。


 今はひとり暮らし世帯でも、過去に結婚したものの配偶者に先立たれた、
または離婚したというケースもありますし、別居中でも子供家族がいる、郷里に兄弟姉妹がいる
といったケースもあるでしょう。

 最近の傾向で、今後の課題となりそう何のが、
結婚経験のない「未婚・非婚者のひとり暮らし」の増加が目立つことです。

 調査によりますと、
45~49才と50~54才の未婚率の単純平均から算出した50才時点での未婚率は
男性で約28%、女性で約18% とありました。

 これは2000年の調査時の男性12,6%、女性5,8%に比べると
20年間で男性は倍増、女性は3倍増以上という結果となります。

 おひとり様高齢者の直面する問題としては、
やはり孤独死、放置死のリスクであり、体調悪化の際の介護支援の問題があります。

 前述したように、
別居中でも親族が健在な場合にはまだ異変に気付く可能性は高いのですが、
身内がいないおひとり様世帯ではそれが叶いません。
 
 加えて地方在住の場合には、通院や日常の買い物の場合の公共交通網も不便な場合が多く、
結局は、自ら運転して出向くしか方法がなく、今度は交通事故のリスクが懸念されます。

【調査結果を見て】

 生産年齢人口の減少を補って終了人口を維持するには現実的に65才以上の就労を増やす以外に手はありません、14才以下を就労させることは、まずあり得ませんから。

 この2年にわたるコロナ禍によって、業種によっては若年層の働き手ですらリストラせざるを得ない惨状となっていますし、リモートワークや働き方改革によって業務の効率化や自動化が促進され、雇用形態の見直しも始まっています。

 ですが、長年蓄積されたノウハウやスキルは職種によっては容易に自動化出来るものではありません。専門知識や語学力に自信と実績がある方であれば、逆に転職や再就職の追い風になるとも言えます。

 緊急事態の解除などでコロナ禍の終息がやや見えてきた中、飲食や小売業では通常営業の再開に伴って改めてスタッフの再募集に前向きという状況に代わりつつあるようです。人材派遣業は既に派遣要請が活況と言う記事もよく見受けられます。

 業種や職種の見極めを慎重に行えば、シニア世代にも就労機会は大いにあるのではないでしょうか?

 

 次項の高齢者の一人暮らしに関しても、コロナの影響をより感じられます。
少子化、核家族化の拡大で血縁関係での支援が難しい為、最近は地域住民による支援や、知人・友人との交流促進を図ることで孤立化、孤独化を防ぐ方向に移行しつつありましたが、この2年にわたるコロナの影響で不要不急の外出自粛が慣例化してしまい、やや後退気味なのが現状と言えます。

 さらに高齢者は感染後の症状が重症化し易いなどとなれば、外出や外部との交流を強いる事も出来ません。

 ようやく新規感染者数が激減し事態の好転が期待されていたものの、ここにきて再び新型の変異株の登場、日本上陸によって12月以降の状況も予断を許さなくなってしまいました。

 一人暮らしシニアの問題については、現状は事態の推移如何と言わざるを得ないような気がします。



 2つとも12月最初のコラムでわざわざ採り上げるような話題ではありませんでしたが、
特に60代のシニア世代が直面する問題でもあり、私自身がひとり暮らしをしている当事者という点からも、この状況を正確に把握しておくべきと考え、紹介した次第です。
 

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寺田淳
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寺田淳(行政書士)

寺田淳行政書士事務所

 起業・独立や転職、再就職を考えるシニア世代に対して、現時点での再就職市場の動向や起業する際の最低限の心構えを始め、私自身が体験した早期退職から資格起業に至るまでの経験やノウハウを紹介します。

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