第二の仕事の相談にある対照的な2タイプ
【今日のポイント】
なかなか普及率が向上しないマイナンバーカード、
この4月時点で未だに30%台の交付率に留まっているのが現状です。
今後の普及拡大を目指してデジタル改革関連法案において、以下のような内容が公開されています。
今日はこの内容について、時系列順に紹介したいと思います。
【利便性の向上】
今年2021年5月が予定時期とされているもので、具体例としては、従来は各自治体の窓口でしか発行と更新は出来なかった電子証明書の発行や更新が郵便局でも可能になります。
電子証明は5年ごとの更新が必要なため、失念することも多く、慌てて手続きをしたいとなった場合に、郵便局という身近な存在が選択肢に加わることは確実に利便性の向上に繋がると言えるでしょう。
【公的給付の受取口座の登録制度】
「マイナポータル」での申請という前提ではありますが、予定では2022年度開始を予定とされています。
給付金の振込先をマイナンバーと共に登録することで、災害時などの場合に迅速な手続き、受取が可能になるというものです。
今回のコロナ禍で特別定額給付金の支給時に地域によって手続きから支給までの時間格差が問題になりましたが、自治体による口座番号の確認に手間取ったことがこのトラブルの要因の一つであったことから、この紐づけによって大幅な処理時間の短縮が見込めるというものです。
【預貯金口座管理制度】
予定では2024年度の実施と明言されています。
読んで字のごとく、自分が保有する全ての預貯金口座をマイナンバーと紐づけするというもので、この制度の最大のメリットとされているのは、相続手続きの効率化です。
故人が既に保有する金融機関の口座を網羅した遺言書を作成していれば問題はないのですが、殆どの場合、まず遺言書が用意されておらず、用意してあった場合でも当人の記憶違いや失念等で正しい口座情報が記録されているとは限らない場合が少なくないのです。
この結果、遺された遺族は相続財産の確定の為に片っ端から口座の有無の確認作業を強いられます。
これが紐づけされることによって、まず被相続人(故人)が生前に口座のある金融機関に住所・氏名・マイナンバーを届け出ます。これを受けて金融機関は口座管理をマイナンバーによるものとし、その情報を「預金保険機構」に通知、預金保険機構はその他の金融機関に被相続人の口座の有無を照会します。口座があった場合は被相続人のマイナンバーを通知します。
その後相続が発生し、相続人が口座の有無を確認する場合は取引のあることが確実な
金融機関に口座情報の問い合わせをします。すると金融機関からその連絡を受けた預金保険機構から被相続人が生前に有していた全口座情報が相続人に通知されるという仕組みです。
従来は全て相続人自身が汗をかいて収集する情報が、一元管理されることによって迅速に収集が可能になるのです。
またマイナンバーで個人の特定が可能になることで、キャッシュカードや通帳を紛失した場合でも口座からの現金の引き出しが可能にもなるということです
【その他】
上記の他にも、マイナンバーカードを健康保険証として利用する仕組みも当初の3月からは延期となりましたが、この10月には開始の予定となります。
これによって来年の確定申告からマイナポータルを通じて医療費控除が出来るようになります。
さらに戸籍システムの見直しもあります。
予定では2023年度からとなりますが、マイナンバーと戸籍情報を紐づけることで本籍地以外の自治体から戸籍謄本の請求が可能になります。これは本籍地から遠く離れて暮らす相続人にとっては、従来の様に直接出向くといった手間が無くなりますから大幅な手続きの効率化になります。
【なお残る課題】
やはり課題となるのは3)に関連する問題でしょう。
全ての口座情報を一元管理されることは国に個人情報を握られる、税務調査の拡大強化に繋がる、さらには情報漏洩した場合のリスクが尋常でないのではという懸念が残ります。
現状では国が個人の口座情報を閲覧することは法律で制限され、原則は不可とされています。税務調査に関しても別途脱税調査の方法があるとして調査の拡大強化には利用しないとされています。
ただ現在はマイナンバーの口座への紐づけはあくまでも「個人の意思に任されて」いますが、所得と財産の正確な情報の把握は税の徴収方法や社会保障給付のより公平なシステム作りには必須という意見は年々強まっているのも事実です。
いずれはマイナンバーの口座への紐づけが「義務」となることは避けられないかもしれません。
その場合は前述した「一元管理」のリスクである情報漏洩やハッキングへの完璧な対応を構築してからでないと、多くの国民の納得は得られないでしょう。
メリットと共にリスク面の配慮と十分な告知が望まれます。