私と百人一首のことなど~言問学舎・小田原漂情<下>

小田原漂情

小田原漂情

 ひきつづき、私と百人一首周辺ということで、お話しさせていただきます。

高校の百人一首大会とY先生


 高校は神奈川県下の進学校で、生徒に関しては理系優遇のきらいがあったのですが、1年生の正月休み明けに、学年全体(550名ほど在籍)の百人一首大会がありました。ここぞとばかりに臨んだ結果は、3位でしたが、賞品として古語辞典をいただき、それは今でも言問学舎の書棚にあって活躍しています。

 また百人一首とは異なるのですが、この高校では、文学にのめりこんで成績が低迷していた私を救い上げて下さった、お二人の国語の先生とも出会うことができました。その先生方、ことに2年生の時にご指導下さったY先生のお導きによって、独りよがりの世界から本当の国語の世界を知るにおよんで、まず国語の成績が飛躍的に伸び、ついで全体の成績も向上するに至ったという経験があります。

 そのY先生が昨年、鬼籍に入られたとのお知らせをいただき、父同様に別れは避けがたいと知りながら、相州大山の山頂近くでいろいろ文学のことをお話し下さった温顔が、しばらくまなうらに浮かんで消えませんでした。国語を教える職にある以上、国語を学ぶ意思のある生徒の力になることで、ご恩返しをするほかないと誓う次第です。

短歌とのかかわりと現在


 高校時代から書きはじめた短歌は、十代後半から三十代のなかばまで、私の表現活動の中心でありました。一時は短歌こそが、生きる道のすべてと考えていたこともあります。言問学舎創業の前後から、しばらく休筆せざるをえない時期があり、7年前に復帰してからは、小説が主になってはおりますが、自分自身のうちから短歌という詩形、五・七・五・七・七の音韻が消えることは、決してあるまいと確信しています。今でもその音韻に、えもいわれぬあたたかみを覚えますし、古来、この詩形と五・七・五・七・七の音韻は、数えきれぬほど多くの魂をなぐさめ、救って来たのです。

 現在私は、言問学舎で国語と百人一首を教えているほか、Web 文学サイト「美し言の葉」、および言問学舎を会場とする「桜草短歌会」の活動を通して、少しく短歌とかかわりつづけております。百人一首との出会いがもたらしてくれた多くのもの、とりわけ短歌という詩形と、ともに学ぼうという思いを持って下さる方々と、力を合わせ心を通わせて、歩んで行きたいと願うものであります。

高校生以降も、国語、短歌、百人一首は力強い味方です


 私自身の高校時代の、特に「成績」に関する部分は、もともと国語の好きだった高校生が、すばらしい先生に出会えたおかげでチャンスを生かすことのできた、個別の経験に過ぎないかも知れません。

 しかし、できるだけまんべんなく、オールマイティーの学力を身につけてゆくことが理想とは言いながら、得手不得手や、勉強以外の要因に足をとられることも多い年ごろですから、得意なもの、信じるところをつらぬくことで、全体が好転することもありうるのだということの実例として、恥ずかしながらお話ししました。

 また、そもそもの題材である百人一首についてですが、これを高校から学ぶことも、まことに是とすべきことであると考えます。人が人を思う心、それは多くは、異性への思いから知るものだとも思われますが、思春期も深まる高校生の年代こそ、百人一首にも多く含まれる恋の歌など、より理解しやすいものと言えるでしょう。

 さらに、高校卒業後、もっと言えば大人になって年齢を重ねても、百人一首にしろ、短歌を含む文学にしろ、いつ始めなければいけないとか、遅すぎるとかいうことはありません。「総合学習塾・言問学舎」としては、大学受験までの受験勉強、各教科の勉強と、SPI対策講座が定期講座ではありますが、その他の年代の方々の何らかの「勉強」、また塾としてではない、文学をともに学ぶ方々の集いと研鑽の場としても、ひろくみなさまのお越しをお待ちしております(詳細はおたずね下さい)。

 今年の百人一首大会のご報告をしたことから、私の百人一首との出会いと思いとを、周辺のことなども含めて、お話しさせていただきました。ありがとうございました。

※お問い合わせは、メール・電話で随時お受け致しております。お気軽にご相談下さい。


国語力に定評がある文京区の総合学習塾教師
小田原漂情
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小田原漂情
専門家

小田原漂情(学習塾塾長)

有限会社 言問学舎

自らが歌人・小説家です。小説、評論、詩歌、文法すべて、生徒が「わかる」指導をします。また「国語の楽しさ」を教えるプロです。みな国語が好きになります。歌集・小説等著書多数、詩の朗読も公開中です!

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