小田原漂情・言問学舎のWeb夏期講習⑦ 「読書感想文のツボ・具体例」

小田原漂情

小田原漂情

 生徒本人の了解を得ましたので、Web夏期講習④「読書感想文のツボ」でご説明した、「ディテール(細部の描写)まで突っこんでの検証」についてお伝えします。

 その生徒が選んで読んだのは、宮沢賢治の『注文の多い料理店』でした。二人の紳士が山へ狩りに行き、獲物はとれず道に迷って「西洋料理店 山猫軒」に入ると、そこは「注文の多い料理店」で、自分たちがクリームをぬれだの塩をもみ込めだの、あれこれ注文を出されてしまい、あやうく食べられそうになるお話ですね。

 当塾の生徒は、「自分が気に入った部分」として、この「たくさん注文がつづくところ」の全範囲を、ページと行だけでシートに記入してしまいました。そしてシートの下の段、「感じたこと、思ったこと」を書く時に、「どう書いていいかわからない」と言って、手が止まってしまったのです。

 これはいわば、当然のことでもあります。大ざっぱなとらえ方では、「感じたこと」すなわち感想も、書くのはおろか考えるのもむずかしいのです。

 そこで私は、すぐに指示をしました。「たくさん注文がつづくところ」の中から三つ、特に面白いと思った「注文」を書き出すこと。もちろんこの時、新しいシートをわたし、そこに書かせます。

 そうしたところ、やはり生徒は、一つ一つの「注文」について、すらすらと思ったことを書きつけました。たとえば、「クリームをよく塗りましたか、耳にも塗りましたか」に対して、「耳にまで塗ると言うのが不思議だと思った。耳なし芳一の話と関係があるのだろうか。」という具合ですね。これが「ディテールまで突っこんで検証する」、もっとかんたんに言えば、「きちんと読みこんで考える」ことの実例です。

 これから読書感想文を書き始めて、「何を書いていいかわからない」とお子さんたちが口にした時は、読んだ本の「どこが面白かったか(悲しかったか、興奮したのか、などなど)」ということを、細部の描写までよくチェックして、拾い出すようにしてみて下さい。

 そのほか、お困りのことがありましたら、何なりとおたずね下さい。

国語力に定評がある文京区の総合学習塾教師
小田原漂情
文京区の総合学習塾・言問学舎

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

小田原漂情
専門家

小田原漂情(学習塾塾長)

有限会社 言問学舎

自らが歌人・小説家です。小説、評論、詩歌、文法すべて、生徒が「わかる」指導をします。また「国語の楽しさ」を教えるプロです。みな国語が好きになります。歌集・小説等著書多数、詩の朗読も公開中です!

小田原漂情プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

国語力に定評がある文京区の総合学習塾教師

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ東京
  3. 東京のスクール・習い事
  4. 東京の学習塾・進学塾
  5. 小田原漂情
  6. コラム一覧
  7. 小田原漂情・言問学舎のWeb夏期講習⑦ 「読書感想文のツボ・具体例」

小田原漂情プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼