「卒業式」に思うことなど

小田原漂情

小田原漂情

 昨日、文京区立中学校で卒業式が執り行なわれました。皆それぞれ、新しい世界への夢を抱いて、晴れの式に臨んだことでしょう。

 言問学舎で、中3生を送り出す卒業パーティーの時は、毎年「中学から高校へ進むということは、いままでになく世界が広がることだ」と語りかけます。私自身、はるか昔の同じ時期、ある夕暮れに、ふと胸が激しく締めつけられるような感情の疼きを覚えたことを思い出します。それは「子ども時代」との決別の時を無意識に悟った、特段の理由のない青春の痛みの予感であったのかも知れません。

 また昨年は、私立学校を主として卒業式などの行事の中止・縮小が多くみられました。当時の情勢を考えれば、大人の目からは止むを得ないという空気が大勢でしたが、実際にその立場に置かれた子どもたちの中には、気落ちやあきらめが、かなり大きく心を占めたケースもあったかに仄聞しています。

 いずれにせよ、人生は一度きりのものであり、今年の子たちは昨年に比べれば(被災地以外では)、幸せな旅立ちであると言えるでしょうが、身の周りのできごとをどのように受け止めるかは、つまるところ本人次第であり、それぞれの心の持ちようが、場面場面で自らの人生の方向を決してゆくのです。

 ともあれ、15歳の旅立ちに拍手を送り、乾杯したいと思います(もちろん夕方以降の話です。午後は生徒が来ます)。卒業おめでとう!

 http://www.youtube.com/watch?v=UWuJJRqCtvQ 若人たちへの讃歌『新雪』

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小田原漂情
専門家

小田原漂情(学習塾塾長)

有限会社 言問学舎

自らが歌人・小説家です。小説、評論、詩歌、文法すべて、生徒が「わかる」指導をします。また「国語の楽しさ」を教えるプロです。みな国語が好きになります。歌集・小説等著書多数、詩の朗読も公開中です!

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