子どもの生活習慣
語彙力はアウトプットする機会があってこそ伸びるもの
昨今の子どもは、以前に比べて「言語能力が落ちているのでは?」と言われています。これは、家の中で会話をする機会が減っているからではないでしょうか。
子どもは日常会話以外でも、親がお友達やお客さんと話したり、誰かと電話でおしゃべりしたり、毎晩の読み聞かせなどのやり取りから自然と語彙力を身につけていきます。「人に伝えるためにどのような言葉を使えばいいか」「どんな時にどんな言葉を使うのか」など、本来、耳に入ってくる会話が子どもにとっての学びとなっていました。
ところが昨今、SNSやyoutubeなどの便利なツールの登場によって誰かと対話をする機会は減り、耳で聞いて感覚で養ってきた表現力や思考力が伸びづらくなっているのかもしれません。一方的に与えるばかりではインプットはできてもアウトプットする機会は得られず、気付かないうちにコミュニケーションの場を作ってあげられていないことが挙げられます。
「食事の時のごあいさつは?」と聞かれても「食事」の意味を知らなかったり、お友達のおもちゃを奪い取ってから「貸して」と言うなど、言葉の使い方がわからない子どももいます。また、それ以上に単語で返すだけになっていて会話に発展してしないのも、小学生になる(公共交通機関を利用して毎日登下校をするなら尚更)ことを考えれば心許ない気がするでしょう。
上に挙げた会話ですが、これが小学校入試なら「給食で嫌いな食べ物が出てきたらどうしますか」「食べます」としか答えられなかったり、行動観察考査で集団遊びを実施する中で自分から「一緒に積み木で遊ぼう」と声掛けができても、どんな遊び方でおこなうのかの説明ができず結局は意図と違った遊びになってしまうなどが挙げられます。人と豊かに交わり、感情を交わして互いに経験を分かち合うには、対話つまり他者とのやりとりが前提となります。家庭内で親子で過ごす時間を有効活用してみましょう。
家庭で実践したいこと
幼稚園に行くまでの時間や帰宅してからの時間は、受験に向けての教育に貴重なひとときです。ご家族がお子さんに簡単な指示を与えることで、聞く力を鍛えることができます。
【幼稚園に行く前に】
「お弁当を残さず食べて、何がおいしかったか教えてね!」など、親がその日の過ごし方を気にかけ励まして、なおかつ報告する機会を持たせてみましょう。子どもの純粋な気持ちを育み、些細なことに感謝する気持ちや、何事にもがんばる姿勢を養う会話を大切にしましょう。
【帰宅後】
お子さんと一緒にスーパーなどに買い物に行った際、買い物カゴに入れてほしいものをリクエストしてみましょう。
「リンゴとバナナをカゴに入れてくれるかな?」
お子さんはきっとゲーム感覚で楽しみながら、言われた通りの果物を探します。リンゴとバナナを見つけてきたら、少し大げさなくらいにほめてあげましょう。
聞く力を育てるためには、人の話に興味を持つことが一番です。人が話を始めたら集中して聞き逃さない姿勢を養うことが重要です。親は子どもがテレビを見ている時や、遊んでいる最中に指示を出しがちですが、手を止めて耳を傾けるようアプローチしましょう。
また、これも何度も聞き返すようでは逆効果。親子ともども、そこにおもしろい感情は芽生えません。また同じことを繰り返し言わないとできないようでは、初めから親の話を聞く姿勢ではないと言えます。「今から話すから、よく聞いてね」と、一度注目させてから話し始めるといいでしょう。これは幼稚園の先生もよくやる方法で、話し手に対して意識を集中する習慣が身に付きます。話の内容を一度で理解できるようになれば、受験でもかなり有利と言えるでしょう。
子どもの視点は自己中心に傾きやすいです。自他の区別がつき相手の存在を意識するようになった段階で、親は子どもの聞く力を伸ばせるよう、適切にサポートしていくようにしましょう。
聞く力は家庭で養うことができます。家庭での会話を増やすこと、お子さんと話す時はしっかり顔を見て話すことがポイントです。人の話を聞いて物事を吸収したり、言葉の持つ力を感じることはとても大切です。