勉強だけがすべてではない
小学校受験はペーパー考査だけが勝負ではありません。むしろ受験をする多くのご家庭ならば、ペーパー練習は自宅で習慣的に取り組んでいますから、それほど大きな差がつきにくいと言われています。よって、合否を分けるのが「実技考査」。制作絵画、体操、面接、グループワークなどを通じて受験生の行動を観察する考査が合否を左右します。今回は、試験当日に先生が何を見ているのか、どのような子どもが合格しやすく、どのような子が不合格になってしまうのか、傾向を探っていきたいと思います。
小学校の先生が見ているもの
行動観察でチェックされる項目は小学校によりますが、「ルールの理解」「積極性」「協調性」「創意工夫」「問題解決力」「表現力」「コミュニケーション力」「リーダーシップ」などが挙げられます。国立小学校や有名私立小学校でよく出題されるのは、グループワーク型の集団テストです。代表的なものには、5名で相談しながら積み木や紙コップを高く積む作業(東京学芸大学附属世田谷小学校など)、5名で相談しながら玉転がし(学習院初等科)などがあります。出題の多くは、数名のグループで相談しながら共同で何かを達成させるというルールになっています。これだけ聞くと単純で簡単そうに思いますが、まだ幼く個性もさまざまな初対面の5・6歳児同士がこのような共同作業をおこなうと、化学実験のように多様な人間模様が出てきます。
率先してリーダーを務める子、我先にと自分だけでやってしまおうとする子、輪に入りそびれて立ち尽くしてしまう子、一緒にやろうと言える優しい子などがいます。その中でうまくまとめりを持つグループもあれば、自分の思い通りにならずにケンカしたり泣き出す子が出て全く進行しないまま終わってしまうグループもあります。自己主張も大切ですが、どれだけ発言力に優れていても自分の考えを突き通そうとする姿は好ましくありません。お友だちが何をしているのかを観察し、その提案や行動を認められる姿勢が望ましいと言えます。入試では受験しにきている大勢の子どもたちの行動を観察し、効率的に自校にふさわしい子を選ぼうとしているのです。その数時間の間でケンカや言い争いをしようものなら、まず合格はいただけないでしょう。反対に、数時間の間で何か先生の目に留まるような良い行いをしよう、練習したセリフをグループ活動で言ってみようと思っても、子どもたちだけの状況下でそんな思惑通りに事が運ぶことはありません。その場しのぎの言い聞かせで優れたアピールが出来るものではありませんから、ありのままの自然体でありながら、先生の目に留まるような行動ができる「経験」が最も大切と言えます。
◆次回◆合格する子の行動