日本舞踊のいろは 〜発表会とおさらい会の違い〜
名取・師範の資格
このたび名刺を新しくしました。私は約30年前に師範の資格を取得しました。
その時から、師範であるということが自分の大切な核となっていることに改めて気がつきます。
名取にはどうすればなれますか?
つい先日弟子より聞かれた言葉です。
私は約10年かかります。尾上流では、初級、中級、上級を取得してから、名取になることができます。と答えました。
初級から上級まではそれ程大変なことはありませんが、名取になるにはお金もかかりますので、もし本当に名取になりたいならば積み立てしてください。と伝えました。
名取になる時に必要なこと
継続
まず最初に名取になる条件は、日本舞踊を小石を積み上げるようにコツコツと稽古を続けた方であるということです。
続けるということは何よりも勝る財産です。
稽古にてとても上達するような気分になることもありますが、大概は稽古を重ねてもなかなか上達できないと感じる時があります。その時にどう過ごし続けてきたかが問題です。
人格
私が名取になる際の師匠は、日本舞踊は体を使って表現することだから人格がそのまま踊りに出ます。と教えてくれました。本当にその通りだと感じます。いじわるなことを思うと、そのような踊りになります。
自分に自信がないと、踊りにも現れてしまいます。より高みを目指す人格者である必要があります。
これからの人生を輝かせる
名取になることによって、これからの人生が輝くことをイメージ出来る方がよろしいです。
ただの勲章として取得するのは、私はおすすめしません。
本当の意味で、自分の身となり肉となるような感覚の、これからの人生に必要なものであってほしいと願います。
私は名取だから〜
6年前に稽古所では2名の名取を出していますが、その一人がよく「私は名取だから」と口にします。
看板が人を作るとはよく言ったものです。時に着付の時であったり、踊る時であったり、人と人との関わり合いの中で、私は名取だから出来て当たり前と主張をします。まるで暗示をかけるような呪文のようでもあります。
何流で名取になるか?
もちろん名取になろうとしている方は、そのタイミングでこの流派で名取になってよいか?などと悩むことはないと思いますが、稽古を始める際には何流が良いかを真剣に悩んでほしいと思います。
何故なら名取になってしまってからやり直すのは並大抵ではないからです。
ゼロからやり直すことになってしまうからです。
名前の付け方
尾上の宗家が菊五郎氏ですので、名前に菊をつける方が多いです。
師匠によっては、自分の名前の一文字を入れるよう統一している方もいます。
最近は芸能活動をしている方などは、本名をそのまま芸名にする方もいます。
名前というのは本来親がつけてくれるもので、自分で名前をつける機会は普通はないので、私は一文字を探し選ぶことはとても嬉しいことだと感じました。
稽古所では特に決まりはなく、折角だから菊を入れることをおすすめしています。
気持ちが通じているのだから、私の名前は特に入れなくてよいと伝えています。
師範はどうすれば取得できるか?
師範はどうすれば取得できるかを今考え中です。
ひとつだけ決まっていることは、教えることを目標にしている方に取得してほしいと思います。
師範は家元とのつながりをもち、ともに流派を支えて進むイメージです。
生半可な思いでしたら取得はやめたほうがいいと思います。
私が師範を取得したきっかけ
若い頃の私は、正直に言うと師範を取得する気持ちまではなかったです。師匠が、兎に角教えるのに向いているから取りなさい。としきりにすすめてくださいました。これほど人からすすめられることもないと、やってみようという気持ちで取得しました。
その後はずっと踊りに夢中、試験で足りなかったことだらけだったと思いますが、今までずっと真剣に臨んできましたので、きっと今は亡き師匠もこれで良かったと思ってくれているに違いないです。
師匠の役割
時に待ち、時に励まし、時に支えながら弟子が成長することを見守ります。
常に少し先を見越して、少しだけ欲を出して、弟子の力を引き出したいです。
私が師匠にしてもらったように、弟子がより前へ進めるように、将来を夢見られるようにしたいと思って教えています。
これからの10年
私一人の力はほんの少しと実感しています。
これからの10年を見据えた時に、日本の文化や着物、そして日本舞踊を伝える方々を増やすことこそが、私の役割と思えるようになってきました。今通う弟子達が、それぞれの立場や方法で、広めていける心や技量を育てたいと思っています。
名取を目指しませんか?
日本舞踊を習い、楽しさを感じている方へ
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とても喜んでくれるはずです。