〈医学部生へ〉 医学を楽しむ具体的な方法
↑責任は、マイナスの面だけではないと橋本は考えています
こんにちは。「先生の患者さんはどういう人が多いんですか?」と聞かれた橋本です。そうですね、最近は「ファンです!」みたいな感じの患者さんが多いですね。顔を見ると、薬を飲むより元気になってくれるんですって。嬉しいですねえ。
医学部生さんから、「医学部に入って、責任感を重く感じるようになりました。なにか漠然とした不安に悩まされています」という相談を頂きましたので、コラムを書きたいと思います。
医学部生の心
まず、私のところに相談に来てくれる医学部生の言葉を挙げてみたいと思います。
「あまり責任感の自覚がないまま医学部に入ってしまいました。罪悪感さえ感じています」
「自分が医師にふさわしいなんてことはありません。僕よりもっと責任感の強い人が医学部に入るべきだったんじゃないかと思います」
「将来医者をやるイメージがわきません。周りには言えないが、医者として一生働きたいとは思わない」
「一生勉強になるって良くわかった。疲れた」
「周囲の期待が重い。自分はそんなに強くない。勘弁してほしい」
「浪人までして入った。辞めたくてもそんなこと人に言えない」
「僕はそんなに強い人間じゃない!」
「今まで自分のために頑張ることで頑張れました。これから人のために頑張るなんて出来るのでしょうか」
医者になった人のほとんど全員が、過去に頭をよぎった言葉があると思います。私も相談を受ける度に「なるほど。そんな風に悩むことがあったな」と思います。
では、このコラムでは切り口を変えて、責任感について「法律的・論理的」に考えてみましょう。(ちなみに私は昔、医療訴訟について考える「Medical &Law study」という団体にお邪魔して勉強していたことがありました。今でも勉強を続けています)
「曖昧なままきちんとやること」が責任
責任感の前に「責任」について考えてみます。
まず、法的な話しからしますと、責任は「診療契約」の際に生じます。病院に来た患者さんに対して、医師が診療行為を行うことを約束する契約です。
しかし、どの診療行為にどこまでの責任があるのか、逐一明記されたものはありません。なぜなら人の体は、年齢、性別、食生活、運動生活、職場環境や生活環境など、何から何まで違いがあるので、万人に共通の責任範囲を作ることができないからです。
そのため、責任自体の定義が曖昧なのです。これは、決して誰かが悪いわけではありません。また、もしそのような「完璧な基準」ができたとしても、日進月歩の医療では、すぐに古いものになってしまいます。
(神のみぞ知る)その患者さんの将来の可能性を、(神ではない)医師が言及する契約を結ぶ。どんな結果を保証する責任があるのでしょうか。そこで、診療契約は、結果を保証する「請負契約」という形態ではなく、プロセスを大事にする「委任契約」とされています。「曖昧なままでも、きちんとやること」が責任なのです。
そのような理由で、医師は責任が明確になっていない状態で医療をしなければなりません。結果は保証できませんが、やれることを精一杯やります、という契約です。これが日本の医療です。
橋本の中の結論
責任については概ね理解できました。
それでは「責任感」について考えてみましょう。ちなみに私、医師免許を取得してからも、医療訴訟については本当に勉強しました。
医療制度や医療崩壊、海外の医療制度の仕組み、失敗例、成功例、判例などなど、色々なことを学びました。その上で、「責任感とは何か」という私の結論は、「責任感はそれぞれの人がそれぞれ決めるものだ」というものでした。
責任感はなにか、という問いに対して、正しい正解や答えはありません。それぞれの医療従事者が、それぞれの価値観で考えて、決めるものではないかと思います。
これで終わりでは寂しいので、私の周りにいる医師の責任感の形を紹介してみます。理想の「責任感」を考える参考になればいいなと思います。
ある内科医Aの場合
①その人の悩みを解決するために、もがき続けるのが責任感。
もし自分がその病気だったら全力で治したいと思います。その気持ちを持ってその患者さんに接することが重要だと考えています。
治らないかもしれないけれど、治したい気持ちで動き続けます。分からない場合には他の先生にも相談します。学生の時以上に図書館に行きます。不安な気持ちを解消してあげるために、治せなくても、朝も夜も顔を出すようにしています。それが責任だと私は思って、医療を続けています。
ある外科医Bの場合
②自分の出来ることをはっきり伝えるのが責任感
できないことを約束しません。できることをしっかり伝えます。治療の選択肢と、選択した場合に想定される結果を、事前に説明しておきます。背伸びすることは誰も喜ばないと知っています。相手の気持ちをきちんと考えながらも、きちんと自分のできることをはっきり伝えるのが、私の責任感です。
ある外科医Cの場合
③技術を磨き続けるのが責任感
沢山の癌の患者さんを診てきました。そして、確かに話術があれば、患者さんが救われることもあることを知っています。ですが、癌の患者さんにむかって、どんなにきれいなことを言っても、その患者さんが本当に救われるのは「癌が治ったとき」でした。ですので、我々外科医の責任感は「技術を磨き続ける」事だと思っています。
ある匿名医師Dの場合
④笑顔でいることが責任、、、でも実は考えないようにしています
考えていたらおかしくなってしまいます。人には言えませんが、考えないようにするのも手だと思っています。だからなんとか続けられている気がします。患者さんの気持ちを考えると、笑顔でいることが患者さんの安心感につながることを知っています。だから、強いて言うのであれば、私が笑顔でいることが責任感です。
今日のまとめ
いかがでしたでしょうか。色々な形の責任感があっていいと思います。そして、それが患者さんの選択肢になるのではないかと思います。ちなみに私は少しずるいのですが、内科医の立場でうまく組み合わせている気がします。
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