趣味を仕事にするとき「値付けが難しい」と感じる人へ
頼む前に、自分で決めることがある
――チラシを作ろうとして、デザインを頼みたい人がいます。人に仕事を頼むのが初めてで、思っていたものと違う仕上がりにならないか心配しています。
新井:初めてなら、まずチラシのどこを自分で決め、どこをデザイナーに頼むか分けてみてください。たとえば、お客様に何を伝えるかは商売を始める本人が決めます。文字や写真をどう配置して読みやすくするかは、デザインを頼む部分です。「いい感じのチラシをお願いします」だけでは、相手は商品やお客様について想像するしかありません。最初のメールを書く前に、載せたい内容を一枚にまとめると話が進みます。
――ダビングの仕事を始めるためのチラシなら、何をまとめるのでしょうか?
新井:受け付けるテープの種類、料金、受け付ける地域、連絡先や受付時間です。写真を使うなら、何枚渡せるかも確認しましょう。料金がまだ決まっていないなら、デザイナーに決めてもらうのではなく、自分で検討してから伝えます。作りかけのチラシに文字を並べているなら、その中から使う情報を拾えますよ。
最初のメールは見積もりを頼むために書く
――その一枚ができたら、デザイナーへの最初の連絡はどう書けばよいですか?
新井:まず、頼みたい作業を一文で書きます。「近所へ配る片面のチラシのデザインをお願いしたい。印刷はこちらで手配する」という具合です。それから、渡せる文章と写真、欲しい納品データの形、希望する日、考えている予算を伝えます。最初から整った依頼書を作らなくても、この情報があれば相手は作業量を見積もれます。
――まだ決めていないことがあっても、メールしていいでしょうか?
新井:何が未定かをそのまま書けば大丈夫です。ただし、未定のまま作業を始めるかどうかは別です。たとえば、載せる料金が決まらないままデザインしてもらうと、後で文章の長さが変わり、配置を直すことになります。印刷を誰が手配するのかも、決めてから頼んでください。相手に見積もりを聞く段階と、作業を正式に頼む段階を分けて考えると、急いで決めなくて済みます。
仕上がりの食い違いを減らす確認
――見積もりの返事をもらったら、金額だけを比べればよいですか?
新井:金額と一緒に、どこまで作ってもらえるかを見ます。チラシの文章も書いてもらうのか、渡した文章を配置するだけなのか。写真の加工は含むのか。印刷できるデータを受け取れるのか。直しを何回頼めるかも聞きましょう。受け取ったデータを自分で印刷所へ渡せるかも確認します。同じ金額でも、作業の範囲が違えば比べられません。
――デザインの好みはどう伝えればいいでしょう?
新井:読み手に必要なことから伝えるのが先です。大きく見せたいのは料金か、受け付けるテープの種類か、電話番号か。配る地域や読んでほしい人も伝えます。そのうえで、参考になるチラシがあれば、色だけでなく「電話番号が見つけやすい」など、どこを参考にしたいのかを言葉にしてください。好みの説明だけで、必要な情報が抜けてしまうのを防げます。
頼む内容が決まったら、記録に残す
――この人に頼もうと決めたら、最後に何を確かめますか?
新井:仕事の内容、渡す材料、納品の形と日、金額、支払う日を双方で確認します。見積もりのときに未定だったことも、ここで決めてください。やり取りをメールなど読み返せる形にしておくと、「印刷まで頼んだつもりだった」「文章も書いてくれると思った」という食い違いを減らせます。直しの回数と、追加で頼む場合の費用も確かめておきましょう。
――最初の一通を送る前に、手をつけるならどこですか?
新井:作りかけのチラシから、載せる文字を抜き出してください。誰に配り、何を受け付け、いくらで、どこへ連絡してもらうか。その文章を一枚にまとめれば、相手に渡す材料が見えます。電話番号を載せるなら、電話に出られる時間も確認しておきます。受け付けられない種類のテープがあるなら、それも先に伝えましょう。デザインを頼む相手を探すのは、その後でも間に合います。まずは自分で決める内容を揃えることです。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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