同業者の講座を受けてから、自分の講座を作ってもいい?

新井一

新井一

テーマ:マーケティング

同業者でも受けられるかどうかは、申し込み条件で確かめる

――自分でも講座を開きたい人が、同じ分野の講座に客として申し込むのは、失礼にあたるでしょうか?

新井:同業者が参加できる講座なら、受講料を払って申し込むこと自体は、失礼ではありません。まず、申し込みページを読んで、「同業者の受講はお断りします」といった条件がないかを確認してください。参加を断ると書いてあるなら、その講座には申し込まないことです。条件が分からなければ、主催者に尋ねるのがよいと思います。

――講座の案内ページをいくつも読んでいる人なら、受講しなくても、内容を比べられませんか?

新井:案内から分かるのは、主催者が伝えようとしているテーマ、料金、時間などです。実際に受けてみて、説明のどこで理解が進んだのか、何が分からないまま終わったのかは、受講者になってはじめて気づくこともあります。自分でお金を払って最後まで受ければ、講座を買う人の立場で考えられるようになります。

人気講座の構成を写すために、受けるのではない

――受講中は、話し方や資料を細かく記録したほうがいいのでしょうか?

新井:そのまま真似するつもりで見るのは、違います。どの説明が役に立ったのか、どの場面で自分はもっと聞きたかったのかに注目してください。同じ題名、同じ順番、似た資料で講座を作っても、受講者から見れば、似た講座が増えるだけです。相手の資料や文章を持ち帰って流用することも、避けてください。

――自分が物足りないと感じたところを探す、ということですね。

新井:はい。ただ、「物足りなかった」で終わらせないことです。たとえば品質管理を教える講座なら、説明は分かったけれど、自社の不良の例に当てはめる時間がなかった、といった具合です。それが本当に受講者に必要かどうかは、自分の経験と照らして考えます。相手が扱わなかった部分なら何でも講座に足せばいい、という話ではありません。

自分が教えられる部分を選ぶ

――同業の講座との違いは、どうやって作ればいいでしょうか?

新井:自分の仕事で何度も説明してきたことと、受講しても十分には分からなかったことが重なる場所を探します。品質保証を長く担当した人なら、講義で聞いた知識を、現場のどの記録に当てはめるのかを、仕事の経験から説明できるかもしれません。ただし、勤務先の秘密や取引先の情報を、講座に出してはいけません。教えられる範囲を確かめてから、内容を考えてください。

――まだ講座を一つも作っていない段階なら、何を持ち帰ると役立ちますか?

新井:まず、自分が受講前に期待したことと、受講後にできるようになったことを、書き分けましょう。そのうえで、理解できなかった点を、具体的な作業や場面で言えるかどうかを考えます。案内文の言い回しを集めるより、自分の講座なら何を説明して、受講者に何を試してもらうのかを決める材料になります。

受講したあとに、自分の講座の問いを決める

――同業者の講座を何本も受けてから、自分の講座を作るほうが安心でしょうか?

新井:本数を増やすだけでは、開く内容は決まりません。気になっている講座を一つ選んで、申し込み条件を確かめたうえで、受けてみる。その経験から、受講者として足りなかった説明と、自分なら実務に基づいて話せることを、一つずつ挙げてください。そこではじめて、自分の講座で答える問いが具体的になります。

――講座を受けることを、開講を先延ばしにする理由にしてはいけないのですね。

新井:そうです。同業の人に遠慮して、案内を読むだけで終える必要はありません。受けられる講座なら、客として参加して、学んだ内容を自分の仕事の経験に照らしてみましょう。相手の講座を写すのではなく、自分が説明できることを見つけるために受けるのです。

――受講した講座が十分によかった場合、自分の講座を開く余地はありますか?

新井:よい講座だったことと、自分に教えられることがないことは、別の話です。受講者として感じたよい点は認めたうえで、自分の仕事で相談された場面を思い出してください。違いを無理に作るために、相手の講座を批判する必要はありません。

――その違いが、まだ見つからなければ、どうすればいいでしょうか?

新井:すぐに題名を付けようとせず、受講後に残った疑問を一つ選んで、自分が経験から答えられるかどうかを確かめましょう。答えられないなら、その分野は今の講座の題材にしない。人に説明できる範囲から始めればいいと思います。

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。

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新井一
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新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

会社を辞めずに始める起業だけを26年支援してきた起業18フォーラム代表。延べ6万人の相談に応じ、著書13冊は台湾・韓国でも翻訳出版。会社員のまま小さく始める実践手順を伝えています。

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