名簿頼みの営業を卒業する経理代行の信頼づくりと顧客開拓術
返事がない理由は、決めつけない
――商談の最後に「検討します」と言われてから、返事がありません。催促だと思われそうで、次のメールを書けずにいる方は、どうすればよいでしょうか?
新井:相手が何を迷っているのかは、返事がないだけでは分かりません。会っていない家族や共同経営者に相談しているのかもしれませんし、自分でやる案と比べているのかもしれません。今回は、商談で話した仕事の範囲、金額、納期を短く書いて、「使い道について私の理解が違っていれば教えてください」と尋ねてみましょう。相手が検討するときに必要な情報を渡すメールです。
――すでに商談で説明した内容でも、もう一度書くのですか?
新井:会って話した相手には伝わっていても、ほかの人が判断するなら、文字にした情報が必要です。たとえば、飲食店のメニュー表を作り直す仕事で、「3万円台」とだけ伝えていたとします。それでは、何品を扱って、何回まで直して、いつ渡すのかが分かりません。相手が誰かに相談するときに、そのまま見せられる内容にします。商談の話を、長く再現する必要はありません。
2通目のメールに書く範囲
――仕事の条件のほかに、どんな一文が必要ですか?
新井:「今回のメニュー表は、店内で注文を選びやすくするために使う、という理解で合っていますか?」のように、使い道を確認します。使い道が違えば、必要な作業も変わるかもしれません。相手の答えを聞く前に勝手に別案を作り込まず、理解が合っているかどうかを、一文で尋ねてください。
――相手が金額で迷っているなら、先に値引きを申し出たほうがよいのでしょうか?
新井:金額が理由だとまだ聞いていないうちは、値引きを申し出なくていいですよ。もし予算が合わないと言われたら、何品まで作り直すかなど、作業範囲を変えられるかを相談します。同じ仕事を安く受けてしまうと、あとから必要な時間が足りなくなるかもしれません。何を減らせば金額が変わるのかが、相手にも分かるように話しましょう。
相手が断りやすい言い方にする
――返事を促しながら、断る余地も残すには、どう書けばよいですか?
新井:条件を書いたあとに、「今回は見送る場合も、その旨を一言いただければ大丈夫です」と添えられます。もちろん、返事を強制する言い方にはしません。「その後いかがでしょうか」だけを何度も送っても、相手が判断するための情報は増えません。仕事の内容を補ったメールを一度送って、それでも返事がなければ、同じ催促を続けないほうがいいでしょう。
――3週間たっている場合でも、遅すぎることはありませんか?
新井:商談で返事の期限を決めていなかったなら、「先日はお時間をいただき、ありがとうございました」と始めれば自然です。時間がたったことを長く言い訳するより、相手が検討していた仕事を特定して、条件を示しましょう。すでに別の人に頼んでいたなら、その返事も判断材料です。次の仕事に時間を使えます。
送る前に、一度読み直す
――メールが長くならないか心配です。最低限、何が書いてあればよいですか?
新井:相手が何に使うのかという確認、引き受ける作業と金額、納期。この三つがあれば、まず送れます。長い自己紹介や、仕事への熱意を何段落も書く必要はありません。商談で相手が口にした目的を一文にして、その下に今回の条件を書いてみてください。
――返事が来なかったときは、どう考えればいいでしょうか?
新井:断られた理由まで想像して、自分の仕事の価値を決めつけないでください。今回のメールは、相手が判断できるように条件を伝えるためのものです。返事がなければ、今回の提案はいったん終えて、書いた仕事内容と金額を、次の相手に合わせて見直せます。まずは、商談で伝えた条件が、メールだけを読む人にも分かるかどうかを確認しましょう。
――メールの文面を、一度まとめてもらえますか?
新井:「先日はありがとうございました。メニュー表を店内で選びやすくするために使う、という理解で合っていますか? 今回は、対象の品数、作り直す回数、お渡しする日を、このように考えています。金額は、先日お伝えした範囲です。理解が違うところがあれば、教えてください」という形です。実際に送るときは、品数、回数、金額、日付を曖昧にせず書き入れます。相手の使い道を確かめて、仕事の条件を短く示すことが目的です。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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