SNS運用代行は、自分のフォロワーが少なくても引き受けていい?

新井一

新井一

テーマ:起業

頼まれたのは、誰のアカウントを動かす仕事か

――SNSの運用代行を頼まれたとき、自分のフォロワーが少ないと、引き受けられないのでしょうか?

新井:私は、自分のフォロワー数だけで断る必要はないと思います。頼まれているのは、依頼主のお店のアカウントへの投稿です。自分のアカウントを有名にする仕事ではありません。ただ、投稿を引き受けることと、お店のお客様を増やすと約束することは別です。そこは、最初の返事ではっきり分けておきたいですね。

――会社のアカウントで投稿を担当した経験はあっても、問い合わせが増えたとは言えない場合があります。それでも、仕事として受けていいのでしょうか?

新井:写真を撮って投稿を続けてきたなら、その作業は経験として伝えられます。一方で、「集客に成功した」とは言えません。できた仕事と、まだ確かめられていない成果を分けて話すのが、誠実です。依頼主にも、どんな投稿を何回行うのかを説明したうえで、判断してもらいましょう。

約束できる作業と、約束できない結果

――最初の打ち合わせでは、何を決めておけばいいでしょうか?

新井:月に何本投稿するのか、写真は誰が撮るのか、文章は誰が書くのか。コメントやDMへの返事まで含めるのかも、聞いておきましょう。写真を撮りに行くなら、その回数と場所も仕事になります。同じ「運用代行」でも、投稿文だけを作る場合とでは、必要な時間が違います。仕事の範囲が曖昧なまま料金だけを決めると、あとから頼まれる作業が増えたときに困ります。

――「フォロワーを増やしてほしい」と言われたら、人数を目標にしてよいのでしょうか?

新井:目指す方向として話すのはかまいませんが、その人数を達成すると約束しないほうがいいでしょう。投稿の回数は、担当者が管理できます。でも、フォローするかどうかを決めるのは、見る人です。お店への電話や来店も、商品や価格、周辺のお客様の事情で変わります。自分だけでは決められない結果を報酬の条件にすると、約束を守れたかどうかさえ、曖昧になってしまいます。

料金は、毎月の作業を出してから考える

――料金の相場を探して、その金額を提示すればよいですか?

新井:相場だけでは、自分が受ける仕事の量が見えません。投稿を作る時間、写真撮影や移動に使う時間、依頼主との確認に使う時間を、先に書き出しましょう。たとえば、投稿文だけを受ける場合と、撮影や返信まで行う場合とで、同じ金額にする理由はありません。毎月どの作業にどれくらい時間を使うのかを見たうえで金額を伝えたほうが、依頼主にも説明しやすくなります。

――本業のあとや週末に作業するなら、受ける本数も考えたほうがよさそうですね。

新井:そうですね。投稿の制作だけでなく、写真が届くのを待つ時間や、内容の確認を受ける時間もあります。予定が合わない日に急ぎの投稿を頼まれたらどうするかも、始める前に話しておきたいところです。できる量より多く引き受けて投稿が遅れるより、続けられる本数から始めるほうが、依頼主にも安心してもらえます。

最初の返事に、仕事の条件を入れる

――声をかけてくれた店主には、まずどう返せばいいでしょうか?

新井:引き受けたい気持ちを伝えたうえで、写真は誰が用意するのか、月の投稿本数はいくつか、返信対応は必要かを聞きましょう。その答えをもとに、作業内容と金額、支払日を文章で確かめます。口頭で話した内容も、あとから見返せる形にしておくと、行き違いを防げます。いきなり「お客様を増やします」と言う必要はありません。

――自分のフォロワーが少ないことは、隠さずに話したほうがよいですか?

新井:聞かれたら、事実を答えればいいと思います。そのうえで、個人アカウントの人数とは別に、写真撮影や投稿制作でできることを、具体的に話してください。依頼主がほしいものは何かを確かめて、引き受ける作業を決める。それで条件が合えば、始められます。投稿したあとに何を報告するかも、決めておくといいですね。約束した本数や、作った投稿を、依頼主と一緒に見返せます。次の月も続けるのか、撮影の回数を変えるのかは、その実際の作業を見て話し合えます。成果を保証する言葉より、実際に行う仕事を明確にした返事のほうが大切です。

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。

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新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

会社を辞めずに始める起業だけを26年支援してきた起業18フォーラム代表。延べ6万人の相談に応じ、著書13冊は台湾・韓国でも翻訳出版。会社員のまま小さく始める実践手順を伝えています。

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