シフト制の勤務でも起業準備はできる?

新井一

新井一

テーマ:起業

平日の昼に動けない人は、どう準備を進めるか

――日勤と夜勤が入れ替わる仕事を続けながら、起業の準備はできるのでしょうか? 役所や銀行が開いている時間に行けないのが不安です。

新井:できますよ。まず、やりたい仕事の準備と、窓口へ行く用事を分けてみてください。売るものを考える、お客様になりそうな人の困りごとを聞く、値段を考える。こうしたことは、役所へ行く前にも進められます。反対に、本人が出向かなければならない用事が何件あるのかは、数えておきます。「平日に動けないから全部できない」と考えてしまうと、夜や休みに進められることまで後回しになってしまいます。

――調べ始めると、開業届や口座開設など、窓口の名前が次々に出てきます。

新井:調べた手続きを、今すぐ必要なものと、商売の内容が決まってから必要なものに分けましょう。何を売るかも決まらないうちに、すべての窓口を回る予定を立てる必要はありません。商売によっては、許可などを先に確かめなければならない場合があります。そこは扱う商品やサービスを決めてから、管轄の公式案内を読みましょう。開業届の提出方法も、使えるオンライン手続きや利用時間を、国税庁の案内で確認してください。制度や受付時間は変わりますから、昔読んだ記事の時間をそのまま予定に入れないことです。

シフト表に最初に書くのは、休む時間

――夜勤明けの昼間に準備を詰め込めば、時間は作れそうです。

新井:夜勤明けは、体を休める時間にしてください。眠らないまま書類を読んだり、人と会ったりする予定を入れると、仕事も準備も続けにくくなります。シフト表を見て、しっかり眠れる日と、短い作業ならできる日を分けるのが先です。毎週同じ曜日の同じ時間を空ける方法は、交代勤務には合わないかもしれません。

――予定が週ごとに変わるなら、何を一つの作業にすればよいですか?

新井:たとえば「見込み客に聞く質問を三つ書く」「候補の取引先を一社調べる」のように、途中で区切れる作業です。休みの日にまとめて何時間も働く前提にはしないでください。相手との面談が必要なら、翌月のシフトが出てから候補日を伝えます。毎週火曜の夜に必ず出なければならない教室より、納期を相談できて、作業する時刻を自分で選べる仕事のほうが、今の勤務と両立しやすいでしょう。

窓口でしかできない用事は、まとめて済ませる

――どうしても平日の昼に行かなければならない先が残ったら、どうすればよいですか?

新井:何を聞くために行くのかを、先に電話や公式サイトで調べます。予約が必要なら、そのときに必要書類も聞いておきましょう。同じ日に回れる用事があれば、まとめます。ただ、銀行、役所、相談窓口を、必ず一日で回れるとは限りません。窓口の場所と予約できる時間を確かめて、休暇を取る前に予定を組むほうが確実です。

――オンラインで済む手続きもありそうですね。

新井:あります。ただし、提出できる時間、本人確認の方法、添付書類は、手続きごとに違います。オンラインと書いてあっても、その場で完了するとは限りません。自分に必要な手続きを選んだら、運営している機関の案内で条件を調べて、申請したあとに何を受け取るのかまで見てください。「窓口へ行かずに済む」と思って準備を始めたのに、必要書類が足りずにやり直しになるのは、もったいないですよね。

勤務時間に合う商売を、小さく試す

――交代勤務を続けることを前提に、仕事の案はどう選べばよいですか?

新井:お客様が連絡を待てる時間と、自分が返事をできる時間を比べます。日中に即答しなければならない仕事なら、今の勤務とぶつかります。一方、問い合わせを受けた翌日までに返事をして、納期を決めて進める仕事なら、予定を組めるかもしれません。食品工場での経験を生かす場合も、勤務先の資料や取引先の情報を勝手に使わず、自分にできる作業と会社の仕事を分けてください。

――まず一つ、何をすればいいでしょうか?

新井:次のシフト表を開いて、休む時間を除いたうえで、相手と予定を合わせられる日を二つ探しましょう。その日に、何を売るか相談したい人へ連絡できるかを考えます。平日の昼に毎週出られなくても、相手との約束を守れる仕事はあります。準備を進めながら、自分の勤務で続けられるかどうかを、小さく試してください。

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。

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新井一
専門家

新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

会社を辞めずに始める起業だけを26年支援してきた起業18フォーラム代表。延べ6万人の相談に応じ、著書13冊は台湾・韓国でも翻訳出版。会社員のまま小さく始める実践手順を伝えています。

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