就業経験ゼロの専業主婦でも起業できる。「主婦力」を武器に小さく始める3つのステップ
月3万円は少なすぎるのか
――新井さん、今日は「会社員のお小遣い月3万円で起業準備できるのか」というテーマです。正直、月3万円では少なすぎるのでは? と感じる人も多そうです。
新井:そう見えますよね。でも、僕はむしろ月3万円という上限があるほうが、起業準備の判断は鋭くなると思っています。お金がたくさんあると、講座、ツール、教材、広告と、使い道を増やしてしまうでしょう? でも最初に必要なのは、お金を使うことではなく、誰に何を小さく試すかを決めることです。
――「予算が少ないから動けない」ではなく、少ないからこそ順番が見える、と。
新井:はい。月3万円でできない起業もあります。店舗を借りるとか、人を雇うとか、在庫を持つとか。それは最初から選ばないほうがいい。会社員のまま始めるなら、経験や知識を相談、代行、講座、改善提案のような形に変える。この方向なら、月3万円でも十分に試せますよ。
学びに全部使うと、起業準備は進まない
――元記事では、学びに使うのは月1万円まで、残りは試走や外注に回すという考え方が出ていました。ここはかなり大事そうですね。
新井:大事です。3万円を全部セミナーや本に使うと、知識は増えます。でも、お客さんの前に立つ機会は増えません。起業準備で怖いのは、「勉強しているから前に進んでいる」と感じてしまうことです。実際には、誰にも見せていない、誰にも売っていない、誰にも断られていない。それでは現実が動きません。
――では、残り2万円は何に使うとよいのでしょう?
新井:たとえば、簡単な案内ページを作る、プロフィール写真を整える、テスト用の資料を作る、モニター募集の文章を添削してもらう。そういう「人に届く形」に使うのがいいですね。学びは1万円、試すことに2万円。この配分にすると、頭の中だけで終わりにくくなります。
月1万円以下で始められる仕事の見つけ方
――具体的には、どんな業種なら月1万円以下で着手しやすいですか?
新井:会社でやってきたことを、個人向けや小さな事業者向けに切り出す仕事です。経理経験があるなら、個人事業主の経理相談。人事経験があるなら、採用面談や職務経歴書の相談。営業経験があるなら、営業資料の見直し。編集や翻訳、整理収納、子どもの学習相談、写真撮影のようなものもあります。
――「自分には特別な才能がない」と感じる人でも、会社で身についたことを分解するわけですね。
新井:そうです。本人にとっては当たり前でも、別の人にとってはお金を払ってでも助けてほしいことがあります。ここで大切なのは、肩書きより困りごとに寄せること。「経理30年です」より、「個人事業主の月次の数字を一緒に整理します」のほうが相談しやすいですよ。
高額塾に行く前に守るべき線
――月3万円という上限は、高額な起業塾への防御線にもなるとありました。
新井:なります。高額な講座が全部悪いわけではありません。ただ、まだ商品もお客さんも決まっていない段階で、30万円、50万円、100万円を払うのは危ない。お金を払った安心感で、また準備が長くなることがあるからです。
――「払ったのだから何とかなる」と思ってしまう。
新井:そう。しかも、払ったあとに「元を取らなきゃ」と焦ると、判断が荒くなります。最初の3カ月は、月3万円を絶対に超えない。この線を引いてください。その中で反応が出るかを見る。反応が出たあとで、必要な投資を考えればいいのです。
最初の売上より先に作るもの
――では、今日から始めるなら、最初に何をすればいいですか?
新井:家計簿や口座明細を見て、起業準備に使える上限を決めることです。気合いではなく数字で決める。次に、自分が会社や生活の中で人から頼まれてきたことを10個書き出す。その中から、月額5,000円でも相談してくれる人がいそうなものを1つ選びます。
――いきなり立派なサービス名を作る必要はないのですね。
新井:ないです。最初は仮でいいですよ。「経理よろず相談」「片付けのオンライン相談」「営業資料の壁打ち」くらいで十分。大事なのは、月3万円の範囲で、実際の人に1回見せることです。起業準備は、財布を大きく開いた瞬間に始まるのではなく、小さく反応を取りに行った瞬間に始まります。
――予算が少ないことを言い訳にするのではなく、むしろ守る線として使う。今日からできそうです。ありがとうございました。
新井:こちらこそ、ありがとうございました。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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