会社に隠す起業準備を説明できる活動へ変える3つの視点とは
夫が会社を辞めると、妻の年金の種別も変わる
――新井さん、今日は退職後の年金手続きについてです。夫が会社を辞めて個人で仕事を始める場合、扶養されていた妻の年金はどうなるのでしょうか?
新井:夫が厚生年金を抜けると、扶養されていた妻は第3号被保険者ではいられなくなります。20歳以上60歳未満で国内に住所がある妻なら、基本的には第1号被保険者へ変わります。夫の退職日の翌日から14日以内に、市区町村の国民年金の窓口へ届出を出します。
――勤め先から案内が来るものだと思っている方も多そうです。
新井:そこが抜けやすいですね。会社にいる間は、健康保険も年金も勤め先がまとめて処理してくれます。退職したあとは、その担当者がいません。夫の手続きだけを調べて、妻の分が残ってしまうことがあります。
出す先は市区町村、届書は国民年金被保険者関係届書
――具体的には、どこへ何を出せばいいのでしょうか?
新井:住所地の市区役所、町村役場の国民年金窓口です。出す書類は国民年金被保険者関係届書、または申出書と呼ばれるものですね。本人が出してもいいですし、世帯主である夫が出せる場合もあります。
――持ちものは何が必要ですか?
新井:基礎年金番号通知書、またはマイナンバーカードです。退職直後なら、厚生年金の資格喪失日を確認できるものを求められる場合があります。離職票などですね。マイナポータルから電子申請を選べる手続きもありますが、迷うなら夫婦分を同じ日に窓口で確認するほうが早いでしょう。
――健康保険で任意継続を選ぶか、国民健康保険に入るかも同じ時期に決めますよね。
新井:はい。ただ、年金の種別は健康保険の選び方だけでは決まりません。夫が厚生年金の被保険者か、妻自身が厚生年金に入る働き方か、年齢はどうか。そこを分けて見ます。
第1号になると、妻の分の保険料も家計に入る
――第3号のあいだは妻の分の保険料を払っていなかったわけですよね。第1号になると、いくら見ておけばいいのでしょうか?
新井:令和8年度の国民年金保険料は月額17,920円です。夫も同じ日に第1号になるなら、世帯としては2人分を考えます。口座振替で1年分を前納する方法もあります。令和8年度の1年前納は210,530円で、毎月納めるより4,510円安くなる額として公表されています。
――退職が年度の途中なら、どう考えますか?
新井:加入した月から翌年3月分までを納めます。前納は途中からでも選べますが、初回の振替日で対象期間が決まります。どの納め方がよいかは、退職日、離職票が届く日、当面の現金の残り方を見て決めるといいですね。
――夫婦で起業準備を始める時期は、収入が不安定になりやすいです。
新井:だから、年金保険料を「あとで考える支払い」にしないほうがいいのです。2人分になると毎月の固定支出として大きい。事業の初期費用より先に、生活側の支払いをカレンダーへ入れてください。
払えない月を放置せず、免除や納付猶予を確認する
――もし納めるのが難しい場合は、どうすればいいのでしょうか?
新井:免除や納付猶予の申請を確認します。審査は前年所得が関係しますが、失業や事業の廃止などが確認できる場合には、失業した方の前年所得を除外して見てもらえる特例があります。離職票や雇用保険受給資格者証の写しなどが必要になることがあります。
――妻が申請する場合も、夫の前年所得が関係するのですか?
新井:関係します。免除は本人、配偶者、世帯主の前年所得を見ます。納付猶予は20歳以上50歳未満の方について、本人と配偶者の前年所得を見ます。どの区分まで通るかは家庭ごとの数字で変わりますから、窓口で確認してください。
――未納のままにするのとは違うのですね。
新井:全然違います。承認を受けた期間は受給資格期間に入る扱いがありますし、全額免除なら年金額にも一定部分が反映されます。あとから納める追納も10年以内なら可能です。苦しい月に放置しないことが大事です。
夫の進み方と妻の働き方で、答えは変わる
――夫が退職しても、妻の手続きが不要な場合はありますか?
新井:あります。夫が厚生年金の適用事業所に転職し、妻が引き続き扶養の条件を満たすなら、第3号のままです。ただし、加入する年金制度が変わるときには、転職先の事業所を通じた確認が必要になることがあります。
――妻自身が働き始める場合はどうでしょう?
新井:妻自身が厚生年金の加入要件を満たして働くなら、第2号被保険者です。その場合は勤め先が資格取得の届出をしますので、市区町村へ第1号への種別変更を出す話とは別になります。60歳以上なら、第3号や第1号の対象から外れる点も見落とさないでください。
――最後に、来月退職が決まっている家庭は、何から始めればいいですか?
新井:退職日の翌日をカレンダーに書き、その日から14日以内に市区町村へ行く予定を入れてください。妻の国民年金は、妻ひとりの手続きに見えて、家計全体の支払いです。夫の健康保険、夫婦2人分の年金、免除申請の要否を同じ紙に並べる。退職前にここまで見えていれば、退職後の最初の2週間で慌てずに済みます。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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