お客様の声はどう集めればいい?

新井一

新井一

テーマ:起業

「勉強になりました」だけでは、次の人に届きにくい

――新井さん、今日はお客様の声の集め方です。週末にオンライン講座を開いている方が、受講後に「ありがとうございました。とても勉強になりました」と言われる。でも、それを案内ページに載せても申し込みにつながる気がしない、という相談です。

新井:ありますね。感想をもらっているのに、実績欄に置くと急に弱く見える。これは、書いた人の表現力が低いからではありません。聞いているタイミングが、終わったあとだけだからです。

――終わったあとだけでは足りないのですか?

新井:足りないですね。読み手が知りたいのは、「受けてよかった」という満足より、申し込む前にその人がどこで止まっていたかです。そこがないと、自分の悩みと重ねられません。写真でビフォーアフターを見せられない仕事ほど、申し込み前の言葉が大事になります。

使える感想には4つの中身がある

――では、何を聞けばいいのでしょうか?

新井:4つです。申し込む前の状態、申し込みを決めた理由、受けたあとに本人がやったこと、いまどうなっているか。この4つが入ると、ただの褒め言葉ではなくなります。

――「すごく良かったです」より、申し込む前の状態が必要なのですね。

新井:そうです。たとえば文章講座なら、「何を書けばいいか分からなかった」だけではまだ広い。案内文の一段目で止まっていたのか、プロフィールが書けなかったのか、料金説明になると手が止まったのか。そこまで入ると、同じ場所で困っている人が「あ、自分のことだ」と感じます。

――受けたあとに本人が何をしたかも必要ですか?

新井:必要です。こちらが何かをしてあげた話だけだと、読んだ人は再現できません。受けたあとに、本人が案内ページを書き直した、講座名を変えた、募集文を1本出した。そういう行動があると、サービスの中身も見えてきます。

前半2つは申し込み時に聞いておく

――終わってから聞けばいい、では遅い部分があるのですね。

新井:はい。申し込む前の状態と、選んだ理由は、申し込みが入った時点で聞くのがいちばん自然です。終わったあとに聞くと、本人はもう分かってしまっていますから、当時のつまずきをきれいにまとめてしまうのです。

――具体的には、どう聞けばいいでしょうか?

新井:返信メールか申し込みフォームに2問だけ足します。「いま、どんなことで困っていますか」と「ほかにも方法があるなかで、なぜこの講座を選びましたか」。長い説明は要りません。相手の言葉で一文か二文、書いてもらえば十分です。

――「一文で書いてください」と頼むほうが、後で使いやすそうです。

新井:そうですね。こちらが要約しすぎると、どこにでもある実績文になります。多少ぎこちなくても、本人が書いた言葉のほうが強いですよ。

後半2つは受け終わったあとに聞く

――受講後には、どんな質問をすればいいですか?

新井:ここも2問でいいです。「受ける前と比べて何が変わりましたか」と「まだ残っている課題は何ですか」。うまくいった話だけを並べる必要はありません。まだ残っている課題が書いてあるほうが、むしろ信用されることもあります。

――いいことだけの声は、少し広告っぽく見えることがありますね。

新井:その通りです。特に形の残らないサービスでは、変化を大きく見せようとして盛ると逆効果です。受けたあとに自分で何をしたのか、どこまでは変わって、どこはまだ途中なのか。そこをそのまま出したほうが、読み手は安心します。

――並べる順番も4つの順でよいですか?

新井:はい。困っていたこと、選んだ理由、そのあとやったこと、いまの状態。この順番です。案内ページでは、感想を作品のように飾るより、申し込みを迷っている人の不安に答える場所として置いたほうが使われます。

作っていない声を載せない、切り取りすぎない

――実績が少ないうちは、載せ方にも迷いそうです。少し文章を直して載せるのはどうでしょうか?

新井:読みやすくするための誤字修正くらいならありますが、意味を変えるほど直すのは危ないですね。景品表示法のステルスマーケティング規制では、事業者が表示内容の決定に関与したかどうかが見られます。自分のホームページでも、第三者の客観的な意見に見える形で自作した声を並べるのは線を越えます。

――届いていない感想を、自分で作ってはいけない。

新井:もちろんです。評判が上がるところだけ抜き出し、都合の悪い部分を落とすのも注意が要ります。一人の結果を「受ければこうなる」という約束に変えてしまうのも違います。本人の許可を取り、文面を変えず、必要なら名前や属性の出し方だけ確認する。地味ですが、このほうが長く使えますよ。

次の申し込みから2問だけ足す

――最後に、今日からできることを教えてください。

新井:次に申し込みが入ったときの返信文を直してください。日程や支払い方法の案内に入る前に、「いま困っていること」と「選んだ理由」の2問を入れる。すでに受け終わった方には、「変わったこと」と「残っている課題」の2問を聞く。まずはそれだけです。

――4問全部を一度に聞かなくてもいいのですね。

新井:一度に聞くと、相手も重いですからね。申し込み時に2問、終わったあとに2問。これなら続けられます。お客様の声は、褒め言葉を集める作業ではありません。次に迷っている人が、自分の悩みを見つけられるように、本人の言葉を残す仕事です。

――案内ページの実績欄を見る目が変わりそうです。ありがとうございました。

新井:こちらこそ、ありがとうございました。

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。

新井一のセミナー日程一覧

\プロのサービスをここから予約・申込みできます/

新井一プロのサービスメニューを見る

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

新井一
専門家

新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

会社を辞めずに始める起業だけを26年支援してきた起業18フォーラム代表。延べ6万人の相談に応じ、著書13冊は台湾・韓国でも翻訳出版。会社員のまま小さく始める実践手順を伝えています。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

稼ぎ力を引き出す起業支援キャリアカウンセラー

新井一プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼