「50代女性がスキルなしで月30万稼げる」は本当か? 起業支援25年のプロが語る正しい準備法
自己都合退職の失業手当は、年齢ではなく期間で見る
――新井さん、今日は「自己都合で会社を辞めたら、失業手当は何日もらえるのか」という相談です。勤続11年の方が、年齢と勤続年数で決まる表と、年数だけで決まる表を見て迷っているそうです。
新井:ここは本当に間違えやすいところです。自己都合で辞める方は、雇用保険では原則として「一般の離職者」に入ります。この表は年齢では変わりません。10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日。まずこの3区分を見ます。
――11年なら120日と考えていいのでしょうか?
新井:雇用保険に入っていた期間が11年なら120日です。ただし、単なる勤続年数ではありません。入社してから最初の時期に雇用保険に入っていなかった、転職を挟んだ、短時間勤務だったなどがあると、実際の被保険者期間は変わります。最後は離職票を持ってハローワークで確認してください。
年齢の欄がある表は、自己都合の人が見る表ではない
――検索すると、年齢ごとに日数が違う表も出てきます。あれは何なのでしょうか?
新井:倒産や解雇などで辞めた方が見る表です。特定受給資格者や一部の特定理由離職者は、年齢と被保険者期間の組み合わせで日数が変わります。同じ11年でも、区分が違えば日数が大きく変わる。ここで「自分は年齢表だ」と思い込むと、準備期間の見通しがずれます。
――自分の都合で辞める場合は、まず一般の離職者かどうかを見るのですね。
新井:はい。やむを得ない事情がある場合は特定理由離職者になることもありますが、自己判断で決めないほうがいいです。退職理由、契約更新の有無、働けない事情があったかで扱いが変わることがあります。制度の言葉は似ていますが、見る表が違えば資金計画も変わります。
勤続年数ではなく、雇用保険に入っていた期間を数える
――「勤めて11年」と「被保険者期間11年」は違うことがあるのですね。
新井:違います。会社に在籍していた期間と、雇用保険に入っていた期間が一致することは多いですが、必ず同じとは限りません。たとえば最初はパートで雇用保険に入っていなかった、途中に空白期間があった、前職の期間を合算できるか分からない。こういう場合は、日数の見込みが変わります。
――起業準備の資金計画にも響きますね。
新井:かなり響きます。120日あると思っていたのに、実際は90日だったら、1カ月分の生活費がずれます。だから、退職後のカレンダーを作る前に、日数の根拠を確認する。ここを曖昧にしたまま「半年で整えよう」と考えると、途中で現金が足りなくなります。
待期7日と給付制限で、受け取り始めも遅れる
――日数だけ分かれば安心、というわけでもなさそうです。
新井:そうです。自己都合退職では、受給資格が決まってから7日間の待期があります。そのあと、離職日が令和7年4月1日以降なら原則1カ月の給付制限があります。古い情報では2カ月と出ていることもあるので、離職日で確認してください。
――給付制限があると、もらえる日数が減るのでしょうか?
新井:減るのではなく、受け取り始めが後ろにずれます。120日分なら120日分ですが、最初に待つ期間がある。しかも失業認定は4週間ごとですから、現金が入るタイミングは想像より遅くなりやすいです。起業準備中の方は、ここを「使える日数」ではなく「入金される時期」で見てください。
受給期間は原則1年、残っていても期限を過ぎると受け取れない
――受け取れる日数が残っていれば、いつでも使えるのでしょうか?
新井:原則として、離職の翌日から1年です。所定給付日数が残っていても、この期間を過ぎると受け取れません。病気、けが、妊娠、出産、育児などで働けない状態が続く場合は延長の制度もありますが、これも手続きが必要です。
――退職してからゆっくり確認するのでは遅い場合があるのですね。
新井:はい。離職票が届いたら、早めに管轄のハローワークで求職の申し込みと確認を済ませる。起業を考えている人ほど、「自分は働くつもりがあるのか」「どの時点から事業として動くのか」も整理しておく必要があります。失業手当は生活費の余裕を作る制度ですが、事業の売上を約束してくれる制度ではありません。
――最後に、退職後に自分の仕事を始めたい方へ、何を最初に確認すべきか教えてください。
新井:まず離職理由の区分、次に雇用保険の被保険者期間、そして待期と給付制限、最後に受給期間の期限です。この4つをカレンダーに落とす。支給が終わる月に手元資金がいくら残っていれば続けられるのか、そこまで数字で見てください。日数が分かると安心しますが、本当に大事なのは、その日数の終わりに何を判断するかですよ。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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