なぜゲームは3時間できるのに、勉強は10分で嫌になるのか?

仁田楓翔

仁田楓翔

「ゲームばかりしている」
保護者面談で最もよく聞く悩みの一つです。

ゲームなら何時間でも続けられるのに、勉強になると10分で
「疲れた」
「休憩する」
「後でやる」
と言い始める。
親からすると不思議です。

「それだけゲームができるなら、その集中力を勉強に使えばいいのに」
そう思ったことがある方も多いのではないでしょうか。

しかし実は、子どもが勉強しない理由は単なる“やる気不足”ではありません。

そこには脳の仕組みが関係しています。

ゲームは3時間。勉強は10分。なぜ?


例えばゲームをしていると、敵を倒す。経験値が増える。レベルが上がる。新しい武器が手に入る。
仲間に褒められる。次の目標が現れる。

子どもは常に「頑張った結果」を見ることができます。

ところが勉強はどうでしょう。

問題を解く。
丸付けをする。
終わる。
もちろん学力は上がっています。

しかし、その変化は見えにくいのです。

脳は「頑張った成果」が見える活動を好みます。
だからゲームは続くのです。

子どもの脳はサボっているわけではない


私は教育現場で多くの子どもたちを見てきました。
その中で感じるのは、勉強しない子ほど怠け者ではないということです。

むしろ、
「どうせできない」
「また間違える」
「怒られる」
そんな経験を積み重ねていることが少なくありません。

人は失敗する場所に向かおうとはしません。
大人でも同じです。
苦手な会議。
怒られる上司。
失敗した仕事。
足が重くなります。
子どもも同じなのです。

ゲームにはあるのに勉強にはないもの


ゲームには必ずあります。
それは「小さな成功体験」です。

最初は弱い敵。
少しずつ強くなる敵。
レベルアップ。
ご褒美。
達成感。

つまり、成功できるように設計されているのです。

一方で勉強はどうでしょう。

学校の授業についていけない。
テストで点が取れない。
宿題が分からない。
成功体験より失敗体験の方が多くなってしまうことがあります。
これでは勉強が嫌いになるのも当然です。

レベル1でラスボスと戦わせるな


私は塾でよくこう考えます。
その子は本当に勉強が嫌いなのだろうか?
実際には、勉強が嫌いなのではなく、難しすぎる問題が嫌いなだけというケースが少なくありません。

ゲームならレベル1から始まります。
いきなりラスボスとは戦いません。

しかし勉強では、基礎が分からない状態で応用問題を解かされることがあります。

漢字が苦手なのに長文読解。
計算が苦手なのに文章題。
これでは勝てるはずがありません。
大人でも無理です。

やる気は結果であって原因ではない


保護者の方から「やる気を出してほしい」という相談をよく受けます。

しかし私は、やる気は原因ではなく結果だと思っています。

できた。
褒められた。
前より伸びた。
だからまたやる。

これが本来の順番です。
成功体験のないところにやる気は生まれません。

「叱る前に負荷を見なさい」


子どもが勉強しないとき、つい叱りたくなるものです。

しかし、その前に一度考えてみてください。

その問題は今のその子にとって適切な難易度でしょうか。

量が多すぎないでしょうか。
成功体験を積める状態でしょうか。

子どもがゲームを続けられるのは、ゲームが面白いからだけではありません。

「できる」を積み重ねられるからです。

勉強も同じです。
子どもを変える最短ルートは、叱ることではありません。

まずは負荷を見直し、小さな成功体験を作ること。
それが、やる気への第一歩なのです。

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仁田楓翔
専門家

仁田楓翔(塾講師)

BesQ

自己肯定感を育て、子どもが自ら学び始める仕組みをつくる教育。小さな成功体験を丁寧に積み重ねることで、「できない」から「できた」に変わる瞬間を設計し、やる気に頼らず成績と意欲を同時に伸ばします。

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