なぜ、忘れ物が多い子に「もっと意識して」は効きにくいのか?

仁田楓翔

仁田楓翔

「また忘れたの?」
「なんで毎回なの?」
「もっと意識しなさい」
子どもの忘れ物に対して、ついこう言ってしまった経験のある保護者の方は少なくないと思います。
もちろん、悪気があるわけではありません。

『ちゃんとしてほしい』
『困らないようになってほしい』

そう願っているからこその言葉です。

しかし実際には、「もっと意識して」が効きにくい子がいます。
それは単なる“やる気不足”ではなく、脳の情報処理の特性が関係している場合があります。

「忘れない」は、実はかなり高度な能力


例えば、
宿題を持って帰る
プリントを提出する
水筒を忘れない
明日の持ち物を準備する

これらは簡単そうに見えます。

しかし脳の中では、
情報を覚える
一時的に保持する
他の刺激に邪魔されない
必要なタイミングで思い出す
行動へ移す
という複数の処理を同時に行っています。

ここで関係してくるのが、ワーキングメモリーです。
これは簡単に言えば、“頭の中のメモ帳”のような機能です。


「覚えていたのに消える」が起きる


忘れ物が多い子の中には
「やろうとは思っていた」
「さっきまで覚えていた」
という子が少なくありません。

例えば、
「帰る時にプリントを出そう」と思っていた。
しかしその直後、友達に話しかけられた
次の予定を考えた、周囲が騒がしかった、別のことに注意が向いた
すると、その情報が頭の中から抜け落ちてしまう。

これはサボりとは少し違います。

頭の中のメモ帳に、新しい情報がどんどん入ってきて、元の情報が押し出されてしまうイメージです。

「意識しなさい」が効きにくい理由


ここで重要なのは、本人も“気をつけよう”とはしていることです。

しかし、「覚えておき続ける」こと自体が難しい場合、
気合いや根性だけでは改善しづらいのです。

むしろ、何度も怒られる
「なんでできないの」と言われる
自信をなくすことで、悪循環になることもあります。

大切なのは、「脳内管理」を減らすこと


ではどうすればよいのでしょうか。
ここで重要なのが、“頭の中だけで管理させない”という考え方です。

例えば、
玄関に張り紙をする
持ち物チェック表を置く
宿題ボックスを作る
ランドセル置き場を固定する
「見るだけで分かる」環境にする
こうした工夫です。

これは甘やかしではありません。
むしろ、“脳の負担を減らして、本来の力を出しやすくする”ための支援です。

大人も同じことをしている


大人も実際には、
スマホの通知
カレンダー
メモ
ToDoリスト
を使っています。
つまり、「忘れない人」なのではなく、“忘れる前提で仕組み化している”のです。

子どもにも、「もっと頑張れ」だけではなく、

“忘れにくい環境”を作ってあげることが重要です。

「何回言っても変わらなかった子」が、張り紙一枚で動けるようになる。

教育現場では、実はよくあることなのです。

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仁田楓翔
専門家

仁田楓翔(塾講師)

BesQ

自己肯定感を育て、子どもが自ら学び始める仕組みをつくる教育。小さな成功体験を丁寧に積み重ねることで、「できない」から「できた」に変わる瞬間を設計し、やる気に頼らず成績と意欲を同時に伸ばします。

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