整骨院・接骨院の不正な保険診療
こんなメールが届きました。
私は今年の春に専門学校を卒業し、今現在、県内の接骨院でインターンをしている者です。私が柔整師になろうと思ったのは、中学や高校の時の部活で痛めた怪我を今お世話になっている接骨院の先生に治してもらったのがきっかけでした。先生の人柄も良く、たくさんの患者さんが来られており、「私もこんな仕事がしたい」と思ったからです。でも、いざ接骨院に研修に入ってみますと、思っていたのと全然違う現実に、驚きと強い失望を覚えています。その失望の原因は、不正な保険診療があまりにも多すぎるし、その不正を私たちインターンに強要してくる事です。
先日、他の整骨院のインターンと話をする機会があったのですが、そこもだいたい同じようでした。そのインターンとの話の中で、「徳島県内にも、保険診療から完全自費診療への鞍替えに成功した先生がいる」と言う事で大畠先生のお名前が挙がりました。そこで、大畠先生にメールを差し上げた次第です。
私が勤めている接骨院では、総患者数の8割以上が本来なら保険診療が認められていない慢性症状の患者で占められています。でも、全て保険診療です。ご存知の通り、負傷原因・負傷年月日・傷病名の捏造や水増しは当たり前のように行われており、従業員や従業員の家族の保険証を使っての架空請求まで行われています。院長からは、「保険の取り扱いが難しくなってきているので、慎重にやるように」と言われます。
他の整骨院・接骨院も似たり寄ったりだとすると、不正請求と療養費詐欺が蔓延する整骨・接骨業界はこの先、どうなるのでしょうか?
私はこのまま、この接骨院で研修を続けて良いのでしょうか?
勝手なメールではございますが、なにとぞ良きアドバイスをお願いいたします。
この若い研修生にとっては、自分の将来に関する事ですから切実な悩みですよね。
現に東京の講習会場で「厚労省の監査」が話題になり、「特に大阪や徳島は大変な事になるだろうね」とささやかれています。
なぜならば、大阪や徳島の不正な保険請求の多さは、業界内では有名な話だからです。
そこで私は、こうアドバイスしました。
『整骨接骨業界のこの先』について
「来年には」と噂されている厚労省の監査が実際にあった場合、不正発覚による処罰で、現在開業している整骨院接骨院の半数が閉院に追い込まれると言われています。
生き残った整骨院接骨院でも、保険診療の厳正化にともない保険診療収入は少なく見積もっても半減するでしょう。
必然的に実費診療を導入する整骨院接骨院が激増し、そうなると技術的に劣る整骨院接骨院は淘汰され、「保険診療をやっとけば儲かる」ような時代は終わりを告げます。
『この接骨院で研修を続けてよいのか』について
施術面につきましては、私がどうこう言う立場にありませんので、ここでは差し控えさせていただきます。
もしも監査があった場合、研修生とはいえ業務担当者であるあなたにも、不正請求(療養費詐欺)の共謀者として処罰がくだる可能性があります。このような汚点は決して喜ばしいものではありませんから、その事はご自身でよ~く考えるべきでしょう。
この度のメールを読んで思ったことは、研修生を雇うような整骨院接骨院の院長は、研修生の将来についてもっと責任を持つべきです。
院の収益を上げるために、研修生に不正請求(療養費詐欺)の方棒を担がせるなんてもってのほかで、それによって若い先生が失望し、将来まで潰してしまう可能性がある事を肝に銘ずるべきです。
私としては、この若い先生の歩む道に、一筋の光明が差す事をただ祈るだけです。