不動産売却のスケジュール
付帯設備表とは
売主様が買主様と売買契約を締結する際、「物件状況報告書」と並ぶ重要な書類が「付帯設備表」です。この書類も、マンション、戸建てを問わず必須の書類となっています。今回は、この付帯設備表についてご説明しましょう。
付属している設備の状況を説明する書面
付帯設備表は、売買契約締結の際、主に建物に付属している設備の状況を細かく説明する書面です。
買主様は内見のときに建物を見ていますが、「ウォシュレットは付いていたかな?」「浴室乾燥機は?」「床下収納付いていたかな?」など細かいところまでは記憶していない場合もあります。
そこで、現状備わっている設備に関して、細かいところまで書面に記載するのが「付帯設備表」になります。
書面では、洋室、和室、キッチン、トイレなど、部屋と場所ごとに、たとえば、エアコンの台数、作り付けの戸棚の有無、ガスコンロは3口なのか、IHなのかなど、付帯設備を漏れなく詳細にチェックしていきます。
そして、「このような状況で引き渡すことができます」と明らかにし、お客様にお知らせするのが付帯設備表です。
マイナス面も包み隠さず明記する
付帯設備表で大事なのは、物件状況報告書と同様にマイナス面やネガティブな事柄も、知るうる限り包み隠さず記載することです。
住まいは何年も住み生活していれば当然不具合や調子の悪いところも出てきます。
たとえば、「ガスコンロの点火にちょっと時間がかかる」「洗面所の水を止めると、しばらく雫が滴る」など、そういった仔細なことも「たいしたことじゃないから、ま、いいか」と放っておかず、この書面できちんとお客様に伝えるべきです。
さもないと、家を引き渡した後に「なんかコンロの火がすぐ点かないんだけど」「洗面所の蛇口がきちんと閉まらない」など、トラブルやクレームの元になってしまいます。
よくあるのが、小さなお子さんやペットがつけてしまった傷や凹みです。「猫が爪を研いでしまいクロスがボロボロ」「子供が遊んでいて穴を開けてしまった」、そういった箇所がありながら、内見の際に買主様が気づかなかったり、体裁が悪いので家具で隠していたり。これを申告せず、そのままにしておくと、後になって発覚した場合、間違いなくトラブルに発展します。
エアコンや照明器具は要注意
それぞれの窓に網戸が付いているか、その中の1枚に破れがあるといったことも付帯設備表に記入します。
さらに大事なのがエアコンや照明などの電気器具について。
契約前に使用できるエアコンは置いていくのか売主が引っ越し先に移設するのかを確認しておきます。照明設備も同様です。
また交渉の段階で買主が古いエアコンは撤去してほしいと要望があったり、逆にエアコンはそのままで置いてくださいと言われる場合もあります。
売主、買主双方と仲介業者が交渉して話も取りまとめその内容を付帯設備表に記載します。
このように、売主様と買主様が事前に合意していれば、エアコンに限らず、例えば室内に取り付けた室内洗濯物干し、庭に置いてある物置なども置いていくことができます。売買契約締結時に「これは置いていく」「これは撤去」とチェックしていきますので、付帯設備表は双方の意思を明文化する重要な書類のひとつと言えるでしょう。
まとめ
付帯設備表は物件状況報告書と同様に、買主であるお客様を守るとともに、売主様を守る書面でもあります。
売買契約時に記入した付帯設備表の内容を買主様が了承していれば、この部分の契約不適合責任は免責になります。
「お客様はここに記載した内容を理解した上で購入しました」ということになるからです。
逆に、記載されていない箇所があり、引き渡し後にクレームが入った場合、契約不適合責任を問われることがあります。後々のトラブルを防ぐために、故障気味な箇所や欠落部分については、正直にありのままを明記することが肝心です。