その痛み、「休ませる」が正解とは限りません ― 理学療法士が考える動くか止まるかの見極め方

前田幸亮

前田幸亮

テーマ:身体作り・コンディショニング

静岡市のリハビリ・コンディショニングラボ|T-performance


「痛いから、動かさない方がいいですよね」
臨床の現場で、本当によく聞かれる質問です。

一方で、
「痛くても動かさないと固まると聞いた」
という声も同じくらい耳にします。

結論からお伝えすると、痛みがあるからといって「すべて安静」でも「とにかく動かす」でもありません。私がこれまで脳卒中やパーキンソン病、術後の方を含め、数多くの痛みと向き合ってきた中で一貫して感じているのは、痛みそのものより「痛みの背景にある身体の状態」を見なければ、答えは出せないということです。

特に痛みは、筋肉や関節だけの問題ではなく、自律神経の緊張状態とも関わっていると感じることが多くあります。緊張が続いている状態では、本来であれば問題のない動きでも、痛みとして感じやすくなることがあります。




痛みには「止めるべき痛み」と「付き合いながら動く痛み」がある



一言で「痛み」といっても、背景はさまざまです。

・ケガや手術直後の炎症による痛み
・姿勢や動作の癖が積み重なった痛み
・長期間動かさなかったことによる痛み
・神経が関係する痛み

同じ「痛い」でも、原因が違えば対応はまったく異なります。ここを疾患名だけで判断してしまうと、必要な対応を見誤ることがあります。




安静が優先されるケース



以下のような場合は、無理に動かすことで悪化するリスクがあります。

・ 転倒や外傷の直後
・ 骨折・脱臼が疑われる場合
・ 関節の急な腫れ
・ 発熱や強い炎症を伴う場合

このような場合は自己判断せず、まず医療機関を受診してください。ここは省略できないラインです。




動かした方が良いケースも少なくありません



臨床で担当してきた方の中には、脳卒中後やパーキンソン病、術後の生活期にある方でも、状態を評価した上で適度に身体を動かすことで、良い変化につながったと感じるケースが数多くありました。


動くことで、
・ 関節の動きが保たれやすくなる
・ 筋力低下を防ぎやすくなる
・ 血流が改善しやすくなる
・ 日常生活の動作がしやすくなる

ことが期待できる場合があります。ただし「どのくらい」「どの動きを」動かすかは、一人ひとりまったく違います。ここを一律に決めることはできません。

脳卒中のリハビリ特設ページはこちらから

パーキンソン病のリハビリ特設ページはこちらから



「痛みの強弱」だけでは判断できない理由



「昨日より痛い」「今日は楽」という変化だけを見ていると、身体の状態を見誤ることがあります。


私が評価の際に確認しているのは、

・ どの動きで痛むか
・ いつから、どんな経過で痛み出したか
・ 動いた後に痛みがどう変化するか
・ 姿勢や歩き方の癖
・ 筋力・柔軟性のバランス
・ 呼吸や身体の緊張状態

です。痛みという「結果」だけでなく、その手前にある身体の使い方や神経系の状態まで整理する。

T-performanceでは、これを「評価→整理→順序設計」という流れで行っています。痛みを抑えることだけを目的にせず、「なぜその痛みが出ているか」まで遡って整理することを大切にしています。




「我慢して動く」も「まったく動かない」も、どちらも注意が必要



運動翌日に強い痛みや腫れが続く場合は、負荷が高すぎるサインかもしれません。逆に、長期間ほとんど動かない状態が続けば、筋力や体力が低下し、日常生活に影響が出ることもあります。

大切なのは、「今の身体に合った運動量」を見つけることです。これは自己判断で見つけるには、実はかなり難易度が高い作業だと感じています。




一人で判断せず、まず整理するところから



「どのくらい動いていいのかわからない」
「この痛みで運動して大丈夫か不安」

そう感じている方は、痛みを我慢して動くか、不安から動かないかの二択に陥りがちです。

T-performanceでは、脳卒中・パーキンソン病・術後の生活期にある方を中心に、まず今の身体を評価し、動いていい範囲を一緒に整理するところから始めています。

「動いていいのか、休むべきか」で迷ったときこそ、一人で抱え込まず、まずは今の痛みの状態や経過を教えてください。そこから一緒に整理していきます。

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前田幸亮
専門家

前田幸亮(理学療法士)

T-performance

理学療法士としての実務経験に加え、フィジカルトレーナーや栄養学の知見を生かし、「動作・姿勢」と「栄養・体内環境」の両面から体づくりを支援。一人一人に合わせたサポートを行っています。

前田幸亮プロは静岡新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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