正解のない時代にキャリアを創造する【第4回】人材版伊藤レポートとは?人的資本経営との関係をわかりやすく解説
会社にとって「良い人材」とは、どんな人でしょうか。
仕事ができる人。
責任感のある人。
会社の方針を理解してくれる人。
周囲と協力できる人。
もちろん、どれも大切なことです。
一方で、社員にとって「働きたい会社」とは、どんな会社でしょうか。
自分の得意なことを生かせる会社。
自分らしく働ける会社。
成長できる会社。
生活とのバランスを取りやすい会社。
ここにも、さまざまな答えがあります。
ここで少し考えてみたいことがあります。
会社が求めるものと、社員が求めるものは、本当にいつも同じなのでしょうか。
会社には会社の事情があります。
お客様の期待に応える必要があります。利益を出さなければ、事業を続けることもできません。
一方、社員にも、それぞれの事情があります。
大切にしたい価値観があります。
得意なこと、苦手なことがあります。
仕事以外にも生活があります。
「会社に合わせる」だけでも、「社員の希望をすべて優先する」だけでも、うまくいかないことがあります。
だからこそ、まずは個人と組織がそれぞれ何を求めているのかを知ることが大切なのではないでしょうか。
例えば、社員が「人と話すことが好き」ということを考えてみます。
会社からすれば、それは単なる本人の好みかもしれません。
しかし、その「好き」が、顧客対応や後輩の育成、新しい営業活動など、会社の仕事の中で生かせる可能性があります。
社員の「好きなこと」と、会社が必要としていること。
一見すると別々に見えるものの間に、接点が見つかることがあります。
私は、キャリアについて考えるとき、個人のニーズと周囲からのニーズの両方を見ることが大切だと考えています。
これは企業においても同じです。
社員の希望だけを見るのでもなく、会社の都合だけを見るのでもない。
その両方を見ながら、「この人と、この会社だからこそできること」を探していく。
人材を活かすということは、会社にとって都合のよい人材をつくることではありません。
一人ひとりの持っているものと、組織が必要としているものを、どう結びつけるか。
その接点を一緒に考えることも、人と組織を支える大切な仕事だと考えています。



