正解のない時代にキャリアを創造する【第4回】人材版伊藤レポートとは?人的資本経営との関係をわかりやすく解説
「できれば、長く働いてもらいたい」
これは、多くの経営者が考えていることではないでしょうか。
人を採用することは簡単ではありません。時間も費用もかかります。入社した人が仕事を覚え、会社の力になってくれることを期待するのは当然です。
それでも、人が辞めることがあります。
その理由を考えるとき、「給与が低い」「人間関係が悪い」といった目に見えやすい理由だけではなく、もう少し手前にあるものにも目を向ける必要があるかもしれません。
例えば、
「この仕事を続けていて、自分はどうなっていくのだろう」
「自分のやりたいことと、今の仕事は合っているのだろうか」
「この会社で、自分は成長できるのだろうか」
そんなことを考え始めることがあります。
本人の中で仕事とのズレが少しずつ大きくなっていても、会社からは見えないことがあります。
そして、ある日突然「辞めたい」と言われる。
経営者からすると「そんなことを考えていたとは知らなかった」ということになるかもしれません。
しかし、本人にとっては突然ではなく、ずっと前から考えていたことだったという場合もあります。
だからこそ、人が辞めることを防ぐという発想だけではなく、社員が仕事やこれからの働き方について考えたときに、早い段階で話せる機会をつくることが大切なのだと思います。
キャリアについて話すことは、転職を勧めることではありません。
今の仕事を続けるのか。
今の会社でどんな役割を担いたいのか。
どんな能力を身につけたいのか。
何にやりがいを感じているのか。
そうしたことを本人が整理することも、キャリアを考えるということです。
社員が自分の仕事について考えることは、会社にとって必ずしもマイナスではありません。
むしろ、自分の仕事を考え、自分の役割を考え、その会社でどう働きたいのかを考えることが、仕事への主体性につながることもあります。
「人が辞めない会社」を目指すだけではなく、
「ここで働くことについて、社員が考えられる会社」
を目指す。
人材定着を考えるときには、そんな視点も大切なのではないでしょうか。



