正解のない時代にキャリアを創造する【第4回】人材版伊藤レポートとは?人的資本経営との関係をわかりやすく解説
「自分に向いている仕事が分からない」
「今の仕事が自分に合っているのか分からない」
「もっと自分に合った仕事があるのではないか」
仕事について考えるとき、こんな悩みを持つ人は少なくありません。
特に転職や就職を考えると、「自分に向いている仕事を見つけたい」と思うことがあります。
では、キャリア相談では、どのようにして「自分に向いている仕事」を考えていくのでしょうか。
「向いている仕事」は簡単には決められない
「あなたにはこの仕事が向いています」
そんな答えがすぐに分かれば、仕事選びはとても楽になるでしょう。
しかし、実際の仕事選びはそれほど単純ではありません。
同じ仕事でも、職場の環境や一緒に働く人によって、感じ方は変わります。
また、最初は苦手だと思っていた仕事が、経験を積むことで得意になることもあります。
反対に、「得意なこと」だからといって、必ずしも「やりたい仕事」とは限りません。
そのため、キャリア相談では、一つの適職を当てることよりも、**自分がどのような仕事や環境で力を発揮しやすいのかを考えること**を大切にします。
これまでの経験を振り返ってみる
自分に合う仕事を考えるとき、まず手がかりになるのが、これまでの経験です。
例えば、
- どんな仕事をしているときに時間を忘れて取り組めたか
- 周囲からどんなことを評価されたか
- どんな仕事は苦にならなかったか
- どんな仕事にストレスを感じたか
- これまで仕事でどんなことを工夫してきたか
- どんな場面で達成感を感じたか
こうしたことを振り返ると、自分では意識していなかった特徴が見えてくることがあります。
「人と話すことが得意」だけではなく、
「相手の話を聞いて整理することが得意」
「一人で集中して作業する方が力を発揮できる」
「新しいことを考えるのが好き」
「決められた手順を正確に進めることが得意」
など、より具体的な特徴が見えてくることもあります。
「好き」と「得意」が同じとは限りません
仕事を考えるときには、「好きなことを仕事にしたい」と考えることがあります。
もちろん、好きなことは大切な手がかりです。
しかし、好きだからといって仕事として向いているとは限りません。
反対に、自分では特に好きだと思っていなかったことが、周囲から高く評価され、自分の強みになっていることもあります。
だからこそ、
「好きなこと」
「得意なこと」
「大切にしたいこと」
「周囲から求められていること」
など、いくつかの視点から考えてみることが大切です。
「向いている仕事」だけを探さなくてもいい
もう一つ大切なのは、「自分にぴったりの仕事を一つ見つけなければならない」と考えすぎないことです。
仕事には、さまざまな役割があります。
例えば、人と話すことが好きな人でも、営業、接客、教育、相談支援、採用など、活躍できる場所は一つではありません。
また、一つの仕事の中にもさまざまな業務があります。
「自分は何の仕事に向いているのか」だけではなく、
「自分のどんな特徴を、どのような場面で生かせるだろうか」
と考えてみると、選択肢が広がります。
キャリア相談では「自分を知る」ことから始めます
キャリア相談では、適性検査などを活用することもあります。
ただし、検査結果だけで仕事を決めるわけではありません。
これまでの経験や、仕事をしてきたときの感じ方、周囲との関わり方、これから大切にしたいことなどを一緒に振り返りながら、自分自身について考えていきます。
一人では「たいした経験ではない」と思っていたことが、話してみると重要な経験だったと気づくこともあります。
また、これまでの仕事を振り返ることで、「自分はこういう場面で力を発揮してきたんだ」と分かることもあります。
仕事を選ぶことは、自分のこれからを考えること
仕事を選ぶということは、単に職業名を選ぶことではありません。
どんな人と働きたいのか。
どのような環境で働きたいのか。
仕事と生活をどう組み合わせたいのか。
何を大切にして働きたいのか。
これまでの経験をどう生かしたいのか。
こうしたことを考えながら、自分にとっての働き方を探していくことになります。
だからこそ、「自分に向いている仕事が分からない」という悩みは、単なる職業選択の問題ではなく、これからどのように働き、どのように生きていきたいのかを考えるきっかけ
にもなります。
「向いている仕事」を一緒に探すのではなく、「自分」を一緒に整理する
キャリア相談で大切にしているのは、相談者に「あなたはこの仕事です」と答えを与えることではありません。
これまでの経験を振り返り、自分の特徴や大切にしたいことを整理する。
そして、そこから「これからどんな可能性があるのか」を一緒に考える。
その過程を通じて、自分自身で仕事や働き方を選べるようになることを支援します。
「自分に向いている仕事が分からない」というときは、いきなり答えを探すのではなく、まず自分自身を振り返ってみる。
そこから、思いがけない仕事や働き方が見えてくることがあります。
キャリア相談は、そのための一つの方法です。



