正解のない時代にキャリアを創造する【第5回】 中小企業の人手不足と「人材版伊藤レポート」

前回のコラムでは、「好き嫌い」は単なるわがままではなく、自分らしいキャリアを考えるための大切な視点かもしれない、というお話をしました。
では、その「好き嫌い」はどこから生まれるのでしょうか。
同じ会社で働いていても、人によってやりがいを感じる仕事が違うのはなぜなのでしょうか。
そのヒントになる考え方が、「キャリア・アンカー」という概念です。
人には「譲れない価値観」がある
キャリア・アンカーは、アメリカの組織心理学者エドガー・シャインが提唱した考え方です。
アンカーとは、船のいかりのこと。
船が波に流されないように支える役割があります。
同じように、人にも仕事や人生の選択をするとき、「これだけは大切にしたい」という価値観があります。
それがキャリア・アンカーです。
例えば、
- 「専門性を高めたい。」
- 「人を支える仕事がしたい。」
- 「新しいことに挑戦したい。」
- 「安定した生活を大切にしたい。」
人によって、大切にしたいものは違います。
どれが正解ということではありません。
だからこそ、「あの人には合う働き方」が、自分にも合うとは限らないのです。
好きなことは、人によって違って当たり前
キャリアに関する相談を受けていると
「自分は何が向いているのか分からない。」
という声を耳にすることがあります。
しかし、お話を伺っていると、
「人の相談に乗ることが好き。」
「一人で集中して作業する時間が好き。」
「新しい企画を考えることが楽しい。」
など、その人らしい特徴が少しずつ見えてくることがあります。
こうした「好き」は、人と比べるものではありません。
その人だけが持っている、大切な価値観です。
正解を探すのではなく、自分を知る
キャリア・アンカーは、「あなたにはこの仕事が向いています」と答えを教えてくれるものではありません。
大切なのは、自分が何を大事にしているのかを知ることです。
転職や昇進、異動など、人生にはさまざまな選択があります。
そんなとき、自分の価値観を理解している人は、「自分は何を大切にしたいのか」という視点から考えることができます。
あなたが大切にしたいものは何ですか
仕事には、責任が伴います。
組織からの期待もあります。
だから、「何でも好きなことだけを仕事にしましょう」という話ではありません。
それでも、自分が何にやりがいを感じ、何を大切にしたいのかを知ることは、自分らしいキャリアを築くための大切な第一歩です。
一度、ご自身に問いかけてみてください。
「私は、どんな仕事をしているときに、時間を忘れるほど夢中になっているだろう。」
組織の中で働いていると、実は自分自身が望んでいることに対して、意識を向けにくくなってしまいます。
しかし自らの心の声の中に、あなたらしいキャリアのヒントが隠れているかもしれません。
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