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家族信託の活用で空き家問題を解消!

藪﨑秀實

藪﨑秀實

テーマ:家族信託のすすめ

今回は空き家が生まれてしまう理由やリスク、そして家族信託を活用することで空き家問題を解消する方法についてご紹介します。

空き家が生まれてしまう原因とは?

総務省が5年ごとに行っている住宅・土地統計調査(平成25年)によると、平成25年時点で空き家などの居住世帯のいない住宅は853万戸となっています。このなかで昼間だけ使用している、建築中を除く完全な空き家は820万戸で、平成20年の63万戸から8.3%も増加しています。

少子高齢化社会の日本において、空き家の放置は社会問題の一つとしてニュースでもよく取り上げられていますが、空き家を放置しておくことでどういったリスクがあるのでしょう。

毎年、増え続けている空き家。具体的にはどういった理由があるのでしょう。公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会が毎年行っている「土地・住宅に関する消費者アンケート調査ウェブアンケート調査(2017年)」によると、空き家になった主な理由は次の通りです。

1.借り手・買い手がつかない 32.6%
2.相続したが入居していない 27.2%
3.取り壊す予定がある 19.6%
4.税制上の理由で取り壊さない 13.8%
5.将来、自身で居住したい 13.4%

この結果を見る限り、冒頭でも触れたように少子高齢化が進んでいることもあり、新たな借り手・買い手が見つからないことが最大の理由となっています。

次の「相続したが入居していない」に関しては、例えば相続者はすでに別の地域で生活基盤ができてしまっているため、相続はしたものの、そこに帰ることができないといったことが考えられます。

3位の「取り壊す予定がある」、5位の「将来、自身で居住したい」に関しては、将来的には処分もしくは居住する予定があるものの、現状はさまざまな事情で空き家にしているということになります。

4位の「税制上の理由で取り壊さない」に関しては、建物や土地の広さによっても変わってきますが、更地にしてしまうことでかえって固定資産税が高くなってしまう場合があることによって、空き家にしたまま放置しているということです。つまり税金を安く抑えるために空き家を放置しているということですから、将来的に居住する可能性はほぼないと考えてよいでしょう。

空き家を放置することで発生するリスクとは?

前項で空き家が増えている理由について見てきましたが、事情があるにせよ空き家を空き家のままで放置しておくことで、さまざまなリスクが発生します。

具体的には次のようなことが考えられます。

【特定空き家に指定されてしまう】
特定空き家とは、2015年5月に施行された「空家等対策特別措置法」で、そのまま放置することで倒壊や保安上危険となる恐れのある状態、衛生上有害となる恐れのある状態、適切な管理がされていないことで著しく景観を損なっている状態、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切と認められた空き家を指します。

具体的には上記のような状態にあると行政が判断した際に、立ち入り調査を行いその結果、特定空き家に指定されると、住宅用地の特例がなくなり、固定資産税や都市計画税が大幅に増額さえることになってしまいます。

さらに特定空き家に指定されても改善が見られなければ、罰金や行政執行によるごみ処分、解体工事をすべて所有者負担で行われることになります。

【資産価値の低下】
特定空き家に指定されるまでではないとしても、建物は放置しておけば居住しているときの何倍もの速さで劣化が進んでいきます。その結果、不動産の資産価値が低下し、仮に売却できたとしても大きな損失をすることになります。

空き家対策として家族信託をすすめる理由

所有している不動産を空き家のまま放置しておくと、さまざまなリスクやトラブルが発生する可能性があります。

しかし、問題になることがわかっていながらも、前述した理由によって空き家のままのせざるを得ないケースも少なくありません。

空き家のリスクを回避する方法としておすすめしたいのが家族信託です。

空き家が生まれてしまう理由として、「借り手・買い手が見つからないこと」が最大の理由ですが、これは逆にいえば借り手、買い手がいるタイミングで適切な対応ができなかったからともいえます。

通常、親が高齢になってしまい老人ホームや介護施設に入居したとしても、生きている間は、長らく住み続けた住居を売却することに難色を示すケースも少なくないでしょう。

しかし、家は時間がたてばたつほど劣化が進んでいきます。さらに仮に親が認知症になれば判断能力がなくなり、誰も住んでいない住居であっても、売却することもできなくなります。

こうしたリスクを回避する方法が家族信託です。親に判断能力がある間は、家族が親の財産を管理し、判断能力を失った際には子の判断で売却が可能になります。こうすることで万が一のトラブルを避けられますし、将来的に売却のタイミングを逸し、空き家のまま放置するリスクも回避できます。

もし現在、親がいなくなったら空き家になってしまう恐れのある状況にいるのであれば、家族信託を選択肢の一つとして、専門家に相談されてみてはいかがでしょう。

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藪﨑秀實
専門家

藪﨑秀實(宅地建物取引士)

株式会社 あいしん不動産

不動産を売りたい人、買いたい人の思いをくみとり、より良い提案をしています。昨今問題になっている空き家のこと、新しい相続の形「家族信託」などの相談にも、専門家などと連携して相談に応じています。

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