コラム
自治体による空き家有効活用の仕組み、空き家バンクとは
2017年12月5日
空き家の増加は人口減、税収の減少、ひいてはその集落、その自治体の存続をゆるがす問題につながります。
この問題を解決するために、地方自治体は単に空き家の解体を進めるだけでなく、活用できる空き家を有効活用することによって、人口の増加につなげ、地域活性化を図る取組みを行っています。
そのひとつが空き家バンクです。空き家バンクの取組みは、全国に広がっています。
空き家バンクのしくみ
空き家バンクは、空き家の所有者と利用者に、マッチングの機会を提供する制度です。
地方自治体(または委託を受けた団体)は、ホームページや広報誌などを利用して、空き家の情報を募ります。
空き家を売りたい、または貸したいという所有者がいれば、空き家バンクに登録してもらい情報を発信します。さらに空き家を探している利用者にも登録をしてもらうことで、マッチングさせていきます。
しかし、空き家バンクは契約そのものには関知しないのが一般的です。当事者同士で直接売買契約、賃貸契約を締結するか、自治体と提携している宅建業者や不動産会社が間に入る場合もあります。
空き家バンクが生まれた背景
空き家バンクのもともとの狙いは、過疎対策、子育て世代の定住、農林業従事者の増加などにつなげることです。
過疎化が進んでいる地方の自治体が、若者の移住、定住を促進するために空き家の紹介を始めました。市場性のない物件を格安で、自治体自らが扱うことによって、空き家対策と過疎対策を同時に行いたい考えです。
この取組みは国もバックアップしており、「ニッポン移住・交流ナビ」「全国移住ナビ」といったサイトにおいて、全国の空き家バンクの情報が集約されています。
空き家バンクの利用状況
空き家バンクは、その9割以上が平成17年以降に開設されています。
一般社団法人・交流推進機構の調査によると、平成26年1月時点で全国の自治体の6割以上が空き家バンクを開設しており、市町村でいえば、全国3200のうち約12%にあたる374市町村が開設しているということです。
しかし、利用率はまだまだ低く、空き家バンクの8割が登録件数20件未満で、有名無実化している空き家バンクも少なくないようです。全国に空き家は820万戸あり、まだまだ増える見込みですので、空き家バンクが十分活用されているとはいえない状況で、さらなるサービス内容の向上が求められています。
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