空き家問題のための「空き家等対策特別措置法」ってどんな法律?
新聞やテレビのニュースでも問題になっているように、いま日本には空き家が増え続けています。その数は5年ごとに総務省が実施している、住宅・土地統計調査に現れています。
2008年の調査では757万戸で全住宅戸数に対する空き家の比率は13.1%でしたが、2015年の調査結果は820万戸と過去最高となり、全体の13.5%を占めるようになりました。
空き家はこれからも増え続ける見込みで、2023年には空き家率は20%を超えると予想されています。このように空き家が増える背景にはどのような要因があるのでしょうか。
新築住宅の需要が大きい
近年、核家族化や単身世帯の増加によって世帯数は増加しています。世帯数が増えているにもかかわらず、空き家は増えています。
これは、世帯数が増える以上に、住宅が増えているということを物語っています。増加した世帯が取得するのは中古住宅よりも新築住宅のほうが多いです。日本では住宅取得件数に占める新築住宅の割合が8割程度と非常に高くなっています。
「いつかは自分の家を建てたい」「家を買うなら、誰も住んだことのない新しい家がほしい」など、新築への憧れもありますし、政府の新築住宅に対する住宅取得優遇策もあります。
一方中古住宅の場合、需要があるのは人気のエリアに建つ築浅の物件です。年数の経った中古住宅は耐震性に不安があったり、設備が古く適切でなかったり、リフォーム費用がかかる場合もあって選ばれないことが多くなっています。
空き家が解体されない
住宅が増える一方で、空き家が解体されないことにも問題があります。なぜ解体が進まないのかといえば、老朽化して活用できない空き家であっても、建物が建っている限りは1戸あたり200㎡以内の敷地は、小規模住宅用地として課税標準が六分の一に、また都市計画税が三分の一になる特例があるためです。
空き家の所有者にとっては、空き家を解体撤去すればその費用がかかるのに加えて、固定資産税がはねあがるという事態になります。家の状態が良ければ、賃貸に出したり、売却したりすることもできますが、老朽化して危険な状態となってしまったら、跡地利用が決まるまで放置しておくこととなるのでしょう。
これが空き家の解体が進まない理由であると思われます。
相続した空き家は対応に時間がかかる
親が亡くなったからといって、すぐに家を手放すことができる人はそういないと思われます。長年暮らしてきた実家ですので、愛着も深いため、将来活用する予定がなくても売却に消極的になるケースがあります。
また相続人が複数の場合、売るにしても貸すにしても全員が合意しなければ動けません。また、相続人の居場所がわからない、認知症で意思表示ができないなどの場合もあります。さまざまな事情で、空き家への対応にも時間がかかってしまう場合があります。
売りたくても売れない
いつでも売れる体制が整っていても、少子高齢化、首都圏への人口の集中などが原因で、地方の空き家は買い手がつかなくなっています。
日本の人口は減少しはじめており、やがて世帯数も減少に転じるといわれています。それだけ住宅の需要が減少するということで、新築住宅が増加していくことを考えれば、空き家はますます増えていくものと思われます。