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チームビルディングで大切なことが分かった気がする

平野康代

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テーマ:人材

 カテゴリー「人材」は、人材育成・開発や自己啓発等、人の成長や能力発揮等に関する話題を取り上げます。人材育成で重要とされる要素のひとつは明確な目標です。会社が求める人材や自分がなりたい姿等が明確でなければ、何が課題なのかも分かりませんし、課題が分からなければ、どのような方法でその課題を克服して良いかも分かりません。その上、結果が出るまでに時間が掛かってしまうというのも、人材育成が難しいと言われる理由のひとつかも知れません。人の成長や能力発揮等に関して問題意識のある方の参考になれば良いなと思っています。

チームビルディング

 最近、チームビルディングは重要だという話をよく耳にするようになりました。世の中の変化のスピードが早いこと、想像もしていないことが起きること、多様性の尊重、働き方改革や生産性向上の必要性の認識など、背景はいくつも挙げられますが、要するにこれまでのやり方では対応しきれないのではないかという危機感が根底にあるのだと思っています。
 念のためにチームビルディングとは何かをネットから拾ってみると、次のような説明がありました。『チームビルディングとは、各自のスキルや能力、経験を最大限に発揮し、目標を達成できるチームを作り上げていくための取り組みを指す。』別の説明では『チームビルディングとは、ただ人を寄せ集めることではありません。さまざまな能力や、経験を持つメンバーが目的達成に向け、それぞれが主体的に取り組んだり、能力を発揮できるような組織を構築したりすることです。』何となく分かったような気がします。教育関連企業は、チームビルディングに関連する様々な研修を用意し、チームビルディングに価値を感じる企業や人に提供しているようです。

チームビルディング研修の例

 チームビルディング研修には、色々とタイプがあるそうです。ゲーム形式、アクティビティ形式、合宿形式、知識・ノウハウ形式等、様々です。
 ゲーム形式では、研修という堅苦しさを排除し、参加者の多くが初体験のゲームを夢中で楽しむ中で、お互いのことを知り、仲良くなり、チームワークを芽生えさせることを目指しているそうです。
 アクティビティ形式は、参加者同士が一緒に身体を動かしながら進める研修だそうです。一見、遊んでいるように見えるそうですが、チームで同じゴールを目指して試行錯誤することは、ビジネスにおいても共通点が多くあり、誰がリーダーシップをとるのか、意見が違うときにはどのような行動をとるべきかなど、日々の業務においても活かせる行動が自然と培われていくものだそうです。
 合宿形式では、普段の仕事場とは異なる宿泊地で、理想のチーム像やこれから自分達が目指したいことなどをワークショップ形式で明確化するというパターンが多いそうです。
 知識・ノウハウ形式は、他の形式と異なり、座学で学ぶ形式だそうです。チームビルディングで大切な考え方やコミュニケーションスキルについて学問的に学び、ロールプレイング等も行うことがあるそうですが、研修を受けるだけではチームビルディングはできないという欠点はありながら、体系的にチームビルディングについて学べるので、応用が利くというメリットがあるそうです。他の組織に異動したり、チームが変わったとしても活かせるノウハウを得ることができ、知識のレベルアップになるようです。

WBC、夏の甲子園とアレ

 今年の3月に開幕したWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の事は、皆さんも覚えておられることと思います。日本代表は見事に決勝に進出しました。決勝の相手はメジャーリーガーを擁するアメリカでした。ところで、WBCでの大谷選手の言葉で有名で感動的なのが、決勝を前にチームメートに語った「きょう1日だけは、憧れるのはやめましょう」という言葉です。試合前には両チームが交代で練習をするのですが、アメリカチームの練習の際、日本代表選手の多くはアメリカチームの練習を見に行き、写真を撮ったりしていたそうです。 何かを感じた大谷選手は例の言葉を発します。出場チーム中で唯一、全選手がメジャーリーガー、スター選手がずらりと揃ったアメリカに対して「憧れてしまったら超えられない」ときっぱり言い切りました。この言葉で日本代表のメンバーが引き締まったそうです。試合は接戦となりましたが、日本代表リードで迎えた最終回にクローザーとして登板した大谷投手が、あと一人で優勝という場面で迎えたのは、メジャーリーグを代表する選手の一人であるマイク・トラウトでした。彼は、オールスターゲーム選出11回、MVP3回という輝かしい実績を持つ強打者です。日本人屈指の投手である大谷投手とマイク・トラウトがクライマックスで対決するという漫画のような場面は誰が想像したでしょうか(栗山監督は想像というよりカラーのイメージで描いておられたかも知れません)。今でも当時の興奮が思い出されます。
 今年の全国高等学校野球選手権大会(通称夏の甲子園)の決勝は、ベンチ入り5投手全員が140キロ超という強力投手陣を擁し、連覇を目指した仙台育英学園高等学校と”髪型自由”、”長時間練習なし”など、従来の高校球児のイメージとは一線を画したチームであった慶應義塾高校の対決でした。流れを掴んだ慶応が仙台育英を下し、107年ぶりの優勝を果たしました。ちなみに今年の夏の甲子園は105回大会なのですが、107年ぶりなのは戦争のために4年間中断したからだそうです。
 先日、阪神タイガースが18年ぶりにセ・リーグ優勝を決めました。岡田監督が若手の頃から育成した選手が中心となって手にした優勝は、喜びひとしおだと思います。"アレ"という言葉は脳科学的に言うと、結果重視ではなくプロセス重視とすることを促し、楽しみながら目標に到達することができたのだと脳科学者が分析していました。
 3つのチームを例示しましたが、どれも目標を達成したチームです。野球の話ばかりなのは、私が自称”野球バカ”だからなのですが、チームビルディングという側面から考えると、参考になる部分が多いと思っています。

”野球バカ”による野球解説

 野球では、攻撃の際に9人が順番に打席に立ちます。1番から9番まで、それぞれ役割があります。例えば1番バッターは、上位打線の中でも特に出塁することが求められます。ヒットを打つ能力だけでなく、選球眼が良くフォアボールでの出塁も期待されます。内野安打での出塁可能性を高めたり、次の塁も狙いたいので、走力も求められます。一方、守備にもそれぞれ役割があります。例えばショート(二塁と三塁の間にいる)の守備範囲は、通常の守備位置周辺はもちろん、センター前からレフト前までと非常に広いです。また、ダブルプレーや中継プレーなどの連携プレーの高い精度や、盗塁・牽制に対してのベースカバーなど様々な役割を求められ、その役割の多さは全ポジションの中でもトップクラスです。このように攻撃時も守備時も選手9人の役割が明確です。もちろんフィールドでプレイしている9人だけではなく、ベンチにいる控え選手の役割もあります。
 さて、自分に与えられた役割を果たせば良いかというとそうではなく、チームプレイが必要になります。例えば、優れたショートで普通の選手なら捕れないようなゴロを捕球できたとしても、ファースト(1塁手)が送球を捕球してくれなければアウトにできません。ショートはファーストが捕りやすい球を投げようと努力しますし、ファーストはショートからの送球姿勢や癖を把握し、多少の悪送球でも捕球しようと努力します。この努力の裏にはコミュニケーションがあります。ショートはどんな球を送球すればファーストは捕球しやすいか、ファーストはどのあたりに構えるとショートが送球しやすいか、そもそも相手がどのような役割を担っているのか等を話し合います。話し合う目的は、より高いレベルで自分の役割を果たし、チームの目標達成に近づくためです。野球の練習を見ていると、結構キツイ言葉が飛び交っています。しかし、努力の末に技術が向上し、良いプレイが出たときには、とても大きな声で褒め称えています。私は、このような場面がとても好きです。周囲は一生懸命努力しているのを知っていて、その努力が実を結び、それを周囲が自分の事のように喜んでいるからです。

私が考えるチームビルディングの要点

 WBC日本代表の目標はとても明確です。優勝して世界一になることです。代表選手は自分の役割が分かっていますし、目標達成のために自分に期待されているであろう役割を自分で考え、努力によって期待に応えようとします。それはプレイ外のことにも及んでいるようです。大会期間中に強くなるという話はよく耳にするのですが、それは目標がより明確に腹落ちし、チームの課題が共有され、コミュニケーションが深まり、自分が果たすべき役割がより具体的に、より明確になるからだと思います。
 チームビルディングの研修メニュー等を見ていると、コミュニケーション能力が重要だと述べられています。例えば「SNSによるコミュニケーションツールを導入したところ、情報共有だけでなくコミュニケーションの活性化も進みました。社員同士が打ち解けられるようになり、チームの機能性も高まっています。」のような話です。コミュニケーションが活性化し、チームのメンバーが仲良く仕事を進めることは大切なことではありますが、ヌルいチームであってはならないと思います。コミュニケーション能力の文脈で言われているのは、心理的安全性を高めるということです。高い心理的安全性を持ったチームは、「地位や経験に関わらず、誰もが率直な意見や素朴な疑問を言うことができる組織・チーム」です。また、心理的安全性が高いチームは“学習するチーム”になると言われています。
 ところで、「眠れる村神様」は不振に喘いでいましたが、栗山監督は4番を任せ続けます。しかし、最終的には打順を下げる決断をしました。村上選手に対しては、チームメイトがあらゆる叱咤激励やメンタル的なサポート等、様々な対応が行われたと想像します。普段は各チームの中心的なプレイヤー達が集まっているわけですから、村上選手の苦悩は自分の事のように理解できていたはずです。栗山監督は、打順を下げることによって村上選手に怒りを求めていたそうです。村上選手は、準決勝の9回裏に1点リードされている状況で、ノーアウト、ランナー1、2塁で打席に入りました。実は、村上選手はこの試合も苦しんでいました。ここまでの4打席、全て走者を置いて打席に立ちましたが、無安打で3三振を喫していました。この状況では、送りバントという選択肢が濃厚でしたが、栗山監督は村上選手を信頼して任せます。この時は恐らく、栗山監督の思いをチームで理解し、チーム全体で村上選手を信頼し、そしてなにより村上選手本人が監督やチームの思いを受け止め、自分を信じていたのだと思います。その結果、サヨナラツーベースヒットが生まれます。
 このように私が考えるチームビルディングの要点は、明確な目標、明確な役割、高い心理的安全性の実現とお互いを信じる力ではないかと思っています。また、チームメンバー各々が、期待されている役割を果たすことでチーム目標達成に寄与することを実感できることは、チーム成長の最大のモチベーションではないかとも思います。

まとめ

 この話を考えている際、仮に家族をチームとして捉えたらどうなるかを想像してみました。役割は基本的に明確ですし、お互いの役割を果たすためにサポートしたり、ムダな負荷が掛からないような配慮をしたりしています。例えば洗濯すべきモノは決められた場所に置くというような類です。高い心理的安全性も担保されています。お互いに言いたいことを言って、それを解決に向けて整理しているように思います。引っかかったのは目標設定です。目標というと少し馴染まない感じがしますが、目指す方向でも良いかも知れません。家族の目標ってなんだろう。考えてみる価値はありそうな気がしています。

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平野康代
専門家

平野康代(DXコンサルタント)

株式会社テクノプロジェクト

IT業界での約30年のキャリアをもとに、中小企業のDX推進をサポート。企業に応じた業務変革を導くため課題抽出からシステム導入、稼働まで伴走します。あわせてデジタル人材を育成し、企業の自走力を高めます。

平野康代プロは山陰中央新報社が厳正なる審査をした登録専門家です

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