名曲にふれさせたい
子どもの「しつけ」とは──本当の意味での“自律”を育むために
「しつけ」とは、いったい何でしょうか。
私が考える「しつけ」とは、
親や先生がそばにいなくても、子ども自身が“どうあるべきか”を判断し、行動できる力を育てること。
これが本質だと思っています。
つまり、
・「親に言われたからやる」
・「先生に見られているからやる」
・「叱られるからやる」
という行動は、しつけとは根本的に異なります。
一見“言うことを聞く良い子”のように見えるかもしれませんが、
それは**「人の目があるかないか」で判断する、他人軸の生き方**です。
たとえば、
・大人がいないところではルールを破ってしまう
・注意する人がいなければサボってしまう
これは、
「他人にどう思われるか」だけを基準に行動している状態です。
こうした状態が長く続くと、“自分で考えて行動する力”が育ちません。
しつけとは、本来、
・「自分がいいと思うからやる」
・「これはよくないと感じるからやらない」
というように、自分自身の価値観や判断基準に基づいた行動ができるように育てること。
つまり、自律の力を育む営みです。
昔から「三つ子の魂 百まで」と言われます。
この言葉の背景には、幼い頃に身につけた価値観や行動の型が、
その人の一生を左右するほど深く根づくという意味があります。
たとえば、
「あのおじさんに叱られるから静かにしようね」
という声かけは一見マナー教育のようですが、
実は**「他人がどう見るかで行動しなさい」という他人軸の生き方**を
わざわざ教えてしまっているのです。
子どもが「見られているから行動する」のではなく、
「自分で良いと思ったから行動できる」ようになるために、
私たち大人はどう関わっていくか。
しつけを通して育てたいのは、
**“人から評価されるため”ではなく、“自分らしく誠実に生きる力”**なのです。



