「冷えは万病の元」と言うけれど、そもそも「冷え」って何?

山路美晴

山路美晴

テーマ:東洋医学豆知識

【冷えって何?の話】



先日から急に寒くなってきたせいか、体調を崩すワンニャンが増えているようです。

人間の方はと言うと、昨年から新型コロナウイルスのおかげ(?)か、以前より慎重な暮らしをしているので、風邪などをひく人は減っているようですね。

「冷えは体に悪い」と言いますが、具体的にはどういうことかと言うと、

  • 寒さに適応して体温を適切に上げることができない
  • 血流が悪くなる
  • 筋肉が縮こまる
  • 結果、呼吸も小さくなり内臓の働きなども悪くなる


という状態で、これもやはり自律神経の働きが鈍ることで起きますね。


免疫力の話


よく、「免疫力アップ」という言い方をしますが、これは別に特定の病原体(ウイルスや細菌など)に対する抗体反応が高まることではなく、
いわゆる「自然免疫」と呼ばれるものの働きが活発になることを指します。

前者の免疫は指名手配犯をマークする刑事みたいなもので、顔写真が合致する病原体を見つけると、特別な手錠を持って捕まえに行きます。

後者の自然免疫は、街の交番のようなもので、見慣れない病原体を見つけると
「君、ちょっと」と職務質問し、街の奥に入れないという働きをします。

健康な体はこの「街の交番」が元気に働いているのでちょっとのことでは病原体を体に招き入れたりしません。

そして、街の交番システムを管理するのも自律神経の働きなので、自律神経がうまく働かないと自然免疫の力も落ちてしまうんですね。

冷えの話に戻ると、気候や気圧の変化に自律神経がついていけないと体温や脈拍の調節がうまくいかず、体が冷えてしまいます。

いつもお話ししてる通り、冷えを手っ取り早く解消するのは熱ですから、人間ならお風呂。
ペットにはお灸が効きます。

ただ、これも忘れられがちなんですが、養生は「食べる、休む、運動」がセットなので、それをさぼって温めだけしてもダメなんですよ〜。


子供は自然免疫が強い


以前読んだ医学ニュースのトピックに、
「小児が新型コロナウイルスにあまり感染しないのは大人よりも自然免疫が活発だから」
という研究がありました。

ウイルスが最初に侵入してきたときに働くあるサイトカインの活動が成人よりも活発なのだそうです。

コロナウイルスは本来はそんなに強いウイルスではないので、自然免疫で十分防御が可能です。

新型コロナウイルスのワクチンについて意見するつもりはありませんが、まずは自分の体の自然免疫を信じて高めてやる必要があると私は思います。

(この記事は2020年11月のメルマガ記事です。メルマガスタンドの移行に伴い一部変更してこちらに投稿しました。)


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山路美晴
専門家

山路美晴(獣医師)

滋賀ペット治療院

鍼灸・整体など東洋医学に基づく診療で、動物本来が持つ“自分で治ろうとする力”を引き出す。ローラー鍼などの「刺さない鍼」やお灸を用いて、家庭でペットのケアを行う講座を各地で開催している。

山路美晴プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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