【中国語文法&ドリル】中国語の補語について――その5 動量補語、時量補語と数量補語(2)時量補語
以前にアップロートした「単純方向補語」に続き、今回は「複合方向補語」について勉強します。「複合動詞補語」は、動詞の後ろに移動動詞「上、下、进、出、回、过」などが続き、さらに「来、去」が付くもの。例えば「跑过去」「走回来」。または、動詞の後ろに「起来」が続くものがあります。例えば「站起来」。
1.動詞+「上、下、进、出、回、过」+「来、去」または動詞+「起来」の複合方向補語の例文を見て、理解しましょう。
①学生们都走进来了。→生徒たちはもうみんな中に入ってきました。
「走」は述語動詞、「进来」は複合方向動詞です。
②车开过来了吗?→車はもう来ていますか。
「开」は述語動詞、「过来」は複合方向補語です。
③小李买回来很多水果。→李さんはたくさんの果物を買ってきました。
「买」は述語動詞、「回来」は複合方向補語です。
2.目的語が場所の場合は、「来、去」は場所の後ろに置きます。例文を見て理解しましょう。頭に×印のある表現は誤りです。
①孩子们跑进公园里来了。→子どもたちは走って公園に入ってきました。
「跑」は述語動詞、「进、来」は複合方向補語、「公园里」は目的語です。
×孩子们跑进来公园里了。
②他当天就飞回札(zhá)幌(huǎng)去了。→彼は当日飛行機で札幌へ帰っていきました。
「飞」は述語動詞、「回、去」は複合方向補語、「札(zhá)幌(huǎng)」は目的語です。
×他当天就飞回去札(zhá)幌(huǎng)了。
③他们跑上山去了。→彼らは走って山に登っていきました。
「跑」は述語動詞、「上、去」は複合方向補語、「山」は目的語です。
×他们跑上去山了。
3.本来の機能とは異なる用法もあります。一例を見てみましょう。
来:
看来 →見たところ
说来 →話し出すと
起来:
收拾起来 →(集中して一カ所を)片付ける
想起来 →思い出す
说起来 →話し出す、話してみると
笑起来 →笑い出す
下去:
说下去 →話し続ける
走下去 →歩き続ける
4.上記1~3を踏まえた上で、多くの例文を見て複合方向補語への理解を深めましょう。
①张老师还没走进教室来,就闻到了盛开的龙(lóng)血(xuè)树(shù)的香味儿。
→張先生は教室に入ってくる前に、満開の幸福の木の香りを感じました。
②正在看油管儿的小丽突然笑起来,周围的人都不知道是怎么回事儿。
→ユーチューブを見ている麗さんが急に笑い出しましたが、周りの人達にはどういうことなのかわかりません。
③他从王老师那里借回来一大堆资料和参考书。
→彼は王先生のところからたくさんの資料と参考書を借りてきました。
④千(qiān)寻(xún)终于想起来“白”就是当年救自己的那条小白龙。
→白が当時自分を救ったあの白い竜であることを、千尋はようやく思い出しました。
⑤你走过小桥来以后,就会看到大树下的那家小茶馆儿了。
→小さい橋を渡ると、すぐに大きい樹の下のこじんまりした茶屋が見えるでしょう。
⑥高桥停下来,想了想后,又继续介绍下去了。
→高橋さんは止まって、ちょっと考えた後、また続けて紹介していきました。
⑦他不像是说谎,看起来他真的不知道。
→彼は嘘をついているようには見えません。本当に知らない様子です。
⑧小蜗牛爬上葡萄树去,是想吃成熟了的葡萄吧。
→小さなカタツムリが葡萄の木を登っていきます。きっと熟れた葡萄を食べたいのでしょう。
⑨爸爸怎么也收拾不起来这纷乱的思绪,继续工作下去。
→お父さんは、どうしても、混乱する思考をまとめて仕事を進めていくことができません。
⑩孩子们跑上船来,小船随即左右晃(huàng)动(dòng)起来,溅(jiàn)起来一朵朵浪花。
→子どもたちが走って舟に乗り込むと、小舟は揺れ始め、幾重もの波を立てました。
日本語校正 イラスト 根本 陽子