ベテランから若手まで それぞれ活躍できる働き方へ
今回のテーマは「効率」と「効果(有効性)」です。榊原清則著『経営学入門[上](第2版)』(日経文庫、2013)には次のような記述があります。
企業の存続・成長の条件は二つあって、その第一は、社会的ニーズの高い財・サービスを提供できるかどうかであり、第二は、財・サービスの提供に際してそれに要する費用を上回る収入を獲得できるかです。第一は組織の有効性(effectiveness)にかかわる条件であり、第二は組織の効率性(efficiency)にかかわる条件です。
(中略)
有効性を上げるためには、おもに組織と環境との間の関係のあり方を変化させる努力が必要です。それに対して、効率性を挙げるためには、おもに組織の内部構造や業務の進め方を変える努力が必要です。前者を組織の外的努力、後者を組織の内的努力とそれぞれ呼ぶならば、組織が存続するためには、外的努力も内的努力も共に必要です。なぜなら、有効性と効率性は両方とも高くなければならないからです。しかしながら、マネジメントの努力は往々にして効率性に集中し、無駄の排除に注意が注がれる半面、有効性の考察は背後に後退する傾向があります。無駄を取り除く努力、すなわち効率を上げる努力は、身近で、着手しやすく、成果もすぐに出て、しかもそれがよく見えるからではないでしょうか。
この指摘は極めて大切です。
短期的に利益を拡大しようと考えるならば、コスト削減を優先します。“不要不急”だと思われる経費はもちろんですが、「将来の成長には必要な投資なんだけどなぁ…」と思われるものもやめてしまいます。こうした施策は、大きな改革は必要ないので抵抗も比較的少ない。そして売上高は急には減少しないため、一時的に利益は増えるのです。しかし、将来の種まきをしない訳なので、今の経営者がいなくなった後は「その時に考えてね。」となる訳です。
次回はこの問題を百貨店個人営業部門の実例で考えてみたいと思います。