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QBハウスの戦略をボックス&アローで表現してみる

鈴木一正

鈴木一正

テーマ:働き方改革

みなさんの最寄りの駅近くにもQBハウスはありますか? 
戦略の因果関係を図表化してみるといろいろと分かることがある…ということを気づいたのが、このQBハウスの事例でした。ビジネススクールの講義で示されたものでした。

QBハウスの因果モデル

QBハウスは、「10分カットで1,000円」という驚くべきサービスで理容業界を一変させてしまいました。QBハウスが近隣に出来る前は地元の理容室に通っていました。1回4,000円でした。子供の頃から特に他に変える理由もないので通っていたのです。しかし、近くの商業施設にQBハウスが出来たこともあったと思うのですが、その理容室も徐々にお客様が減っていき、結局閉店することになりました。その理容室の店主は「引っ越して、高齢者施設の出張理容をやることにした」と言っていました。

さて、QBハウスの戦略の因果です。低価格で多くの顧客を獲得し、短時間のカットで顧客の回転数を高め、1時間当たりの客単価を引き上げ、結果として利益の拡大に結び付ける。コスト面では、洗髪なしで水回りの施設が不要で狭いスペースでも出店できるため駅近くでも低家賃で借りられることで利益にも貢献できる。利益の拡大によって理容師・美容師の収入が安定することで、優秀な人材の獲得が容易になり、結果としてサービスの質向上につながる…という高循環が実現したのです。理容・美容業界の友人に聞くと、様々な理由で離職した理容師・美容師の有資格者で仕事に就いていない人が結構いらっしゃる。育児や介護などでフルタイマーは無理だけど、パートタイマーなら仕事ができる人は結構いるということでした。(もちろんQBハウスが成長することで廃業せざるを得なくなった理容室で働いていた方もいらっしゃると思います。)

但し、このQBハウスは海外へも進出しているのですが、現地ではあまり上手く行っていないとのことです。その理由としては、このビジネスモデルが成功していると見て多くの模倣企業が乱立したこと、理容師・美容師の方が固定客を作って独立してしまうことなどがあったそうです。戦略というのはその土地の文化や習慣などとの相性もあるということです。

この戦略の因果モデルを表す「ボックス&アロー」(つまり、箱と矢印)は理想的な姿を描き、その実現のために働き方を考えたり、因果の矢印が機能していない現状の理由を探るためにも有効です。ぜひ、一度ご自身の会社の戦略を描いてみてください。いろいろな気づきがあると思います。

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鈴木一正
専門家

鈴木一正(経営コンサルタント)

合同会社スズセイ

百貨店個人営業(外商)での経験をもとに、BtoC企業のお得意さまづくりをサポート。訪問や電話などアナログな接点づくりを大切にする顧客戦略の設計図を描き、お客さま本位の働き方改革を実現します。

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