催事中心の働き方を脱却しないと外商の売上は伸びません
2024年4月に建設業や運送業、医師などに猶予されてきた労働時間の上限規制が適用になります。いわゆる「2024年問題」です。中小企業は既に2020年4月から適用されているので、直接の影響はほぼないかな、と思っている経営者の方々も少なくないでしょう。もちろん、商品の調達、配送に支障を来す恐れがあったり、運賃の引き上げがあったりなど、間接的な影響は想定される訳ですが。
「2024年」問題に注目が集まるなかで、ぜひ御社の働き方も見直してみませんか?というのが今回のテーマです。
私も百貨店に入社し、最初に配属されたのが食品部のお米売場でした。ほぼ毎日のように10kgと2kg×10袋が数十~百袋の納品、倉庫への収納をしなければなりません。またお客様への配送もありました。店頭商品の陳列、閉店後の片付けなど、恒常的なサービス残業が当たり前でした。その後、サービス残業は改善されたのですが…。
個人営業部門の時間管理はちょっと変わっていました。変わっていたというよりも今風で、定時出勤、定時退出が徹底されていたのです。“されていた”というよりも、自然とそうなっているのでした。なぜならば、仕事が明確だからだったのです。出勤して担当顧客への電話アプローチやご自宅訪問、サンクスレターの作成など、1日の仕事が決まっている。マネジメントする側も仕事がハッキリしているので指導がしやすい。なので、決まった仕事が終われば自ずと帰る。経営として定めた仕事を着実に実践すれば、必ず売上は付いてくる。逆に言えば、売上のために実践しなければならない仕事を試行錯誤の中で見出し、適宜修正を加えて実践してきた結果なのでした。実際に業績も大きく向上し、処遇も良くなっていきました。
百貨店の仕事の中で、“花形”と言えば店頭なのです。営業部門というのは、どちらかと言えば、店頭を中心としたラインには残れなかったメンバーであり、売上を作るために朝から夜まで労働時間なんて関係なく働いている、厳しい職場のように思われがちです。しかし、この職場は違ったのです。転入してきたメンバーは、最初は「営業部門なんて嫌だ」と思っていたのですが、働き始めてみるとなんと「仕事は明確で、評価基準もハッキリしている。頑張れば処遇も改善される。さらに労働時間管理もバッチリ。」です。なので、「他の部門へ行きたくない!」というメンバーばかり。会社を卒業する時には、「会社人生の最後をこの職場で迎えられて良かったです。」とのコメントが多くの方から寄せられたのです。
出来すぎた話のように聞こえるかも知れませんが、会社の中で昇進昇格をしたり、処遇が良くなったりということももちろん“働きがい”なのですが、仕事が明確であることがいかにやりがいにつながることなのかを実感することが、私は出来ました。
その後、私の所属した職場は、個人売上を強く求めるようになり、その実現方法を委ねる働き方になってしまいました。結果として、勤務時間もフレックスタイム制度が導入され、働き方のマネジメントは難しくなり、“働きがい”は…。
今年は「働き方改革」の年です。売上高=顧客数×買上頻度×1客点数×1点単価の諸指標を改善するための、活動を整理して、その活動を行動基準にして、明確になった働き方をマネジメントし、評価する仕組みを組み立てることは、時間管理の精度を高めていくためにも有効な取り組みだと思います。ぜひ、一度ご検討ください。