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売上向上のために(その6)~買上頻度~

鈴木一正

鈴木一正

テーマ:顧客戦略

売上高の方程式
④’売上高=(既存顧客+新規顧客)×買上頻度×1客点数×1点単価
今回は「買上頻度」を取り上げます。

買上頻度はとっても重要な要素です。現在、ある小売業のID-POSデータを分析しているのですが、最上位のお客様は毎日のように買い物に来ている。上位10%以下になると週に1回程度。買い物に行く時には目的とする商品があると思いますが、ついつい他のものも買ってしまう。いわゆる衝動購買ですね。実は衝動購買の方が金額も大きいし、計画購買よりも衝動購買の瞬間の方が満足度も高くなっているという研究もあるそうです。

百貨店個人営業部門時代、低稼働顧客を集約し、営業に携わったことのないメンバーで活動してきたことは既に触れました。低稼働ですので、最近はほとんど来店していないお客様です。つまり年間買上頻度が数回です。まず、取り組んだのはご自宅訪問と電話アプローチです。商品の売り込みのための営業活動ではありません。コミュニケーションのための接点活動です。店舗では月1回のお得意様ご招待会(以下、特招会)を開催していました。これがとても役に立ちました。特招会はお得意様向けに様々な商品をご用意していることはもちろんなのですが、様々なイベントも開催している。百貨店ですから外国展だったり、物産展だったり、文化展だったりと買い物をしなくとも楽しめます。こうしたイベントの案内などは、お客様からの抵抗も少ない。結構聞いてくれるのです。定期的に話が出来るようになると、お客様のことをいろいろ知ることが出来る。お客様のことが分かるとお客様の関心事を踏まえた情報発信が出来るようになる。

今はデジタル時代なので、個人営業部門もメールやLINEを使ってお客様とコミュニケーションをとっているようなのですが、どれだけ中身を読んでいるでしょうか? 私も仕事上、様々な組織や個人から毎日数百件のメールが届きますが、そのまま読まずに捨てます。もちろん、捨てる前に発信者を確認し、知り合いの方などは必ずピックアップしています。お客様も同じだと思うのです、毎日のように膨大な情報を受け取っているのですが、その99%は読まれずに捨てられている。LINEも「既読付けておかないと後が面倒だ…」と開封はするけど、ほとんど読まない。ちゃんと読んでくれるのは、発信者(担当者)との信頼関係が醸成されている場合だけでしょう。売り込みばかりする営業担当では信頼関係はできない。“売り込まない”活動を継続的に実施しているからこそ、“どうせ買うならばあなたから買いたい”と思って頂けるのです。お客様はいろいろなチャネルから商品を購入している。自社だけではない。だけど、「あれを買おうかな…」と思った時に、まず最初に担当者の顔が浮かぶようになれば、お買い物は自ずと自社に寄ってくるのです。いわゆるウォレットシェアです。ウォレットシェアが高まって継続することでお客様のライフタイムバリューが高まるのです。

特招会をキッカケにして取り組んだことを申し上げましたが、その後には旬の食品などもキッカケに出来ることも分かりました。また、既にお買い物を頂いた商品の使い心地、美味しかったかどうか…こういったことでもキッカケになります。さらに言えば、地震があった、台風が来た、こうした天変地異の時には必ずお客様に電話していました。「昨日の大雨、被害はなかったですか?」 

“売り込まない”活動が来店頻度を高める。急がば回れなんです。

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鈴木一正
専門家

鈴木一正(経営コンサルタント)

合同会社スズセイ

百貨店個人営業(外商)での経験をもとに、BtoC企業のお得意さまづくりをサポート。訪問や電話などアナログな接点づくりを大切にする顧客戦略の設計図を描き、お客さま本位の働き方改革を実現します。

鈴木一正プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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