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売上向上のために(その4)~既存顧客〈前編〉

鈴木一正

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テーマ:顧客戦略

売上高の方程式④’ (既存顧客+新規顧客)×買上頻度×1客点数×1点単価について、今回は「既存顧客」です。

勤務していた百貨店個人営業部門で、私は低稼働顧客の活性化を担当するチームのマネジャーを担当していました。低稼働顧客というのは私が作った言葉なのですが、部内の受け止め方は“買わないお客様”です。中元歳暮しか買わない、時々の食品購入しかない、ここ数年買い物がない…、様々なお客様がいらっしゃいました。個人業績を負った営業担当としては買わないお客様よりも買ってくれるお客様を優先するのはやむを得ないことであり、結果としては買わないお客様に対しては自宅訪問もしない、DMも送らない、電話もしない、と徐々に接点がなくなります。結果として、営業担当から会ったことはもちろん、話もしたこともないお客様になるわけです。そのうち、営業担当が人事異動で転出し、担当が交替するとますますどんな方かも分からないお客様になっていくわけです。そんなお客様ともう一度関係を構築していこうというのが私のミッションでした。一緒に働くメンバーは、他部門から異動してきた営業活動には携わったことのない人たち。素人マネジャーに素人担当者のチームです。

まずやらなければならなかったのは担当顧客の確保です。既存の担当から低稼働顧客を譲り受けていく訳です。これも大変でした。既存担当からすると“買わないお客様”であり、接点活動をしていないにも関わらず、「このお客様は我々のチームで担当させてください!」とお願いしても良い顔をしない。つまり、「もしかしたら買ってくれるかも知れない。自分が担当していても手間は掛からないのだから今のままで良い」という反応ばかりでした。それでも何とかお願いして集めた顧客をエリアごとに振り分けました。

最初は自宅訪問。ご挨拶まわりです。数年間も自宅訪問していないわけですから、インターフォンを押しても居留守だったり、反応があったとしても表には出て来て頂けなかったり、こんなことばかり。電話アプローチをしても留守電だったり、出て頂けたと思って「三越の…」とご挨拶をするといきなり切られたり…そんなことの繰り返しでした。それでも半年くらい続けていると、訪問時に顔を出してくれるようになったり、いつも留守番電話だったのに電話口に出てくれるようになったり、来店した際に売場などから呼んでくれたり…と変化が見られるようになったのです。さらにお客様とお話しをするようになるといろいろなことが分かってきました。“今買っていないお客様”は、“これからも買わないお客様”ではない。これが実感です。アプローチしてみたら、一時的に海外転勤になっていた、長期で療養していた、家族の介護で買い物に行けなかった、前任の担当者とトラブルがあって他社で買い物していた…などなど、買わない理由が沢山できてました。中には、某百貨店のVIP顧客であり、来店すると店長が必ず挨拶に出て来る、そんなお客様も複数いることが分かったのです。そして、こうした接点活動を続けているとお客様のことをよくわかるようになり、お客様も営業担当を覚えてくれるようになり、信頼関係が深まってお買い物が増えていく、好循環が始まったのです。

一口で「既存顧客」と呼ばれますが、恐らく多くの企業で営業担当の個人的は判断で“よく買って頂けるお客様”と“買わないお客様”に分けて効率的な営業をしていると思います。少なくとも私が関わった企業ではそうでした。しかし、こうした効率的な営業を続けていると売上高は徐々に低下していきます。

次回はこのあたりをさらに触れていきます。

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鈴木一正
専門家

鈴木一正(経営コンサルタント)

合同会社スズセイ

百貨店個人営業(外商)での経験をもとに、BtoC企業のお得意さまづくりをサポート。訪問や電話などアナログな接点づくりを大切にする顧客戦略の設計図を描き、お客さま本位の働き方改革を実現します。

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