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あるメンバーの『営業日報』より~「タンスの中まで知る」伝説のONE TO ONEマーケティング~(その1)

鈴木一正

鈴木一正

テーマ:顧客戦略

拙著『「タンスの中まで知る」伝説のONE TO ONE マーケティング~日本橋三越における帳場制度とお得意様営業~』(東京図書出版、2018年)より抜粋します。

2015年4月、電話アプローチのためのチームが設置されました。集められたメンバーは営業の仕事は初めてといったメンバーばかり。チームの目的は、売上が伸び悩むお客様に積極的に働き掛け活性化を図ることです。お会いしたことはもちろん、お話をしたこともない、さらに最近はほとんど三越側からはアプローチしていないお客様です。「電話したら怒られてしまうのでは…」といった不安も感じつつ、アプローチは始まりました。その担い手であったメンバーの『営業日報』は貴重な資料であり、取り組みの進捗を表すものです。あるメンバーの『営業日報』から一部取り上げます

5/1:今日から電話アプローチ開始。特別ご招待会のご案内を兼ねて「旅行券」のご案内を実施。永らく三越からの連絡がなかったお客様が多い模様。「日本橋三越の…」と言った途端に切られること数回。心が折れそうです。こんなの意味があるのでしょうか?

5/2:今日も、いきなり切られること3回。「旅行券」のアプローチを実施。「そういうものに興味がない。」とのこと。(涙)

5/10:「最近は食料品しか買わないけど、三越を愛している客もいるのよ。呉服とか美術だけが三越じゃないでしょ。」と言われた。怒っているのだろうか?

5/13:本日より特別ご招待会(以下、特招会)。しかし、当然ですが、担当者の案内状も出来ていないので、お客様とのご挨拶も出来ない。呼ばれることもない。ひたすら受付の仕事。

5/20:「旅行券」のアプローチを再開。「旅行券には興味がない。バス旅行を案内してよ!」とのこと。バス旅行の案内を郵送した。

5/23:「旅行券」のアプローチ。興味があるが、DMは捨ててしまった。もう一度送って欲しい。

6/1:今まで2回の電話アプローチで電話が通じなかった方、直接お話ができなかった方に電話してみたが、今回も電話が通じない方が多かった。

6/2:今まで2回の電話アプローチで電話が通じなかった方、直接お話ができなかった方に電話してみたが、今回も電話が通じない方が多かった。今のアプローチの中では「この電話は使われておりません」というのが3件もあった。

6/5:電話を掛けるとお勤め先に繋がることが何度かあった。今日は話をきちんと聞いて下さる方が少なかった。但し、お中元のアプローチの反応はとても良かった。

6/7:電話アプローチの際、名乗ると「担当者挨拶の葉書を頂戴していた…」との反応があり、特招会でご挨拶できたお客様も何人かいらっしゃいました。

6/8:今日のアプローチでは、説明を聞き流す方が多かった印象ですが、その中でも何人かは担当者挨拶の葉書を覚えて下さっており、人それぞれだなぁと思いました。

6/11:特招会 受付から呼んでくれたので、担当のお客様とご挨拶することができました。サンクスレターも初めて書くことができました。

6/12:特別ご招待会 今日もお客様一人とご挨拶できました。

6/29:今までの電話アプローチで通じていなかった方を中心に電話を掛けていますが、3回目にして初めて通じた方が何名かいらっしゃって、直接お話をすることができて嬉しく思いました。「特招会って何ですか?」と聞かれ、お土産があることを伝え、「挨拶をさせて頂きたいので受付で呼んで欲しい」旨、伝えたので、ご来店頂けると良いなと思っています。

7/2:今日は特別ご招待会の電話アプローチで繋がった方と留守番電話であった方に架電したので、繋がる方が多かった。

7/5:今日の電話アプローチでは「わざわざありがとう」と言って下さる方が多かった。また、「電話なんて今まで年に1回ほどしかなかった。」とおっしゃる方もいらっしゃいました。

7/22:はちみつのアプローチを実施。あまりご来店頂いてない方に何名か電話したが、「休業日の案内」と話すと聞いてくれたが、はちみつの案内は難しかった。

7/30:今日のアプローチは、優しく話を聞いて下さる方が多かったので、「暑い日が続きますので、ご自愛下さい。」という最後の挨拶をスムースに言うことができた。また、それについても反応が良く、ご案内しているこちらも気持ち良くなれた。

8/2:特招会の案内をしましたが、「暑い時期なのでちょっと…」とおっしゃる方が2名。「暑いですね。」という話をいろいろな方としました。ご案内内容以外にお話する余裕が出て来ました。

8/3:「いつもお電話ありがとう」と言ってくださる等、少しずつ名前を覚えて頂けているようです。いつも、特招会のご案内の電話をしても留守番電話になっていた方もようやく繋がりました。こちらが名乗るとすぐに特招会の案内だと分かったようで、ずっと留守番電話を残し続けた甲斐があると感じた。

8/4:特招会のアプローチの中で「暑いので気をつけてね」とお客様の方から言って下さるケースが何件かありました。

8/5:今日も、今まで通じなかった方とお話ができるケースが何件かありました。名前を覚えて頂いているケースも多くなりました。

8/10:特招会アプローチにて8月の店舗休業日のご案内をしたところ、「店舗休業日を知らず、空振りしたこともありました。今までこういったお電話無かったですよね。」

8/13:特招会当日。お客様来店が5人同じ時間に重なり、2人としかご挨拶できませんでした。

8/14:今日、特招会でご挨拶させて頂いた方は総て電話アプローチの際に留守番電話だったり、家族の方が出られたりという方だったので、直接お話をするのは今日が初めてでした。私の存在をご存じの方もいればご存じでない方もいらっしゃったので、ご挨拶できて良かったです。

8/15:●●ホテルでファッションバザールの帰りに立ち寄った方が多かった。大きな荷物をお持ちの方が多く、そこから話を膨らませることができて良かったです。

8/16:特招会受付。お電話で話した際に「特招会は行けないけど、いつかお会いしたい。」とおっしゃっていたお客様がご来店になりました。葉書は持ってなかったけど、私の名前を覚えていらっしゃいました。「いつもお電話を頂戴するので寄ってみたの。」と言って頂くことができ、電話をこまめにした甲斐がありました。

9/18:特招会。16時時点で17名の方とご挨拶。名前で以前ご挨拶したことがある方が1名。気が付かず再び名刺を渡してしまった方が2人。お客様の顔を覚えることはとても難しいです。

9/20:特招会。受付で担当のお客様からお弁当350個の注文を承る。いつも留守番電話でしかも30秒しかコメントを入れられない方。きちんと名前を覚えていて下さった。

9/29:おせちのアプローチを実施。お正月の過ごし方を教えて下さる方もいて、そのお客様について知る良いキッカケとなった。

(つづく)

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鈴木一正
専門家

鈴木一正(経営コンサルタント)

合同会社スズセイ

百貨店個人営業(外商)での経験をもとに、BtoC企業のお得意さまづくりをサポート。訪問や電話などアナログな接点づくりを大切にする顧客戦略の設計図を描き、お客さま本位の働き方改革を実現します。

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