マナーだけではない「ながらスマホ」の危険
犯罪の発生メカニズムと防犯対策
世間を賑わす犯罪が増加傾向にあります。犯罪には、殺人、誘拐、詐欺、空き巣、暴力行為など様々な種類がありますが、みなさんにとって身近な犯罪とはなんでしょうか。年配者には「振り込め詐欺」、子どものいるご家庭では「誘拐(連れ去り)」と、立場によって異なるでしょう。そして、その対策も各々に分かれ、解りずらくなっているのが現状です。
では、犯罪を種類によって分類せず、大きな括りとして考えてください。犯罪の発生メカニズムには、3つの要素があり、いづれか1つが欠ければ、犯罪は発生しません。つまり、3要素のうち1つを取り除くことが、防犯対策です。
日常活動理論 /Routine Activity Theor
日常活動理論とは、「動機づけられた犯行者」「適当な標的」「有能な監視者の欠如」という3要素が重なり合うとき、犯罪が発生することを主張した、状況的犯罪予防を支える主要な理論の一つです。(1970年代終わりに、アメリカの犯罪学者マーカス・フェルソンとローレンス・コーエンによって主張)
年配者に興味が集まる「振り込め詐欺」に当てはめてみると、詐欺グループが「動機づけられた犯行者」、ひとり暮らしなどの年配者が「適当な標的」、相談相手の不在が「有能な監視者の欠如」になります。詐欺グループと年配者、相談相手の不在が3要素となって「振り込め詐欺」が成立します。そして、防犯対策として取り除ける要素は「相談相手の不在」です。つまり、親族の失敗(詐欺グループの主な手口)なども相談できる「密接な関係者」の存在が「振り込め詐欺」を防止します。
防犯対策とは、犯罪者や標的を取り除くことではなく、機会(有能な監視者の欠如)を与えない施策です。
全ての犯罪行為に活かす
2014年(平成26年)は、子どもの連れ去り事件が100件を超え、報道も増加したことから不安が増した年でもありました。では、子どもの連れ去り事件に日常活動理論を当てはめてみます。
子どもに異常な関心を持つ人物が「動機づけられた犯行者」で、子どもが「適当な標的」、ひとりになった時が「有能な監視者の欠如」になります。防犯対策は、子どもをひとりにしないことです。現代社会では、非常に難しい対策なのかも知れません。全国の自治体では、通学路へ防犯カメラを設置することが、相次いで決定しています。また、子どもをひとりにしない方法は、親が付き添うだけではないことに気づいてください。親子で共通の知人を増やす。親同士やご近所同士の遠慮や無関心を減らす。防犯ボランティアなどへの参加や依頼なども挙げられます。
この他にも、空き巣や忍び込みと言った住宅への侵入犯罪、車やバイク・自転車等の乗り物盗、ひったくりや路上強盗など街頭犯罪にも当てはめることが出来ます。
防犯対策は、諦める前に犯罪をシンプルに捉え、多角的な視野で見つけ出すことが大切です。また、一人で…や家族だけで…という発想は、極力避けてください。少人数での情報収集や解釈、判断には偏りが多く見られます。偏った解釈や判断は、被害を拡大させる傾向が見られますので、注意が必要です。