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神田正範

犯罪に詳しく防犯を多角的に解説する対話型セミナー講師

神田正範(かんだまさのり)

犯罪予防研究所

コラム

マナーだけではない「ながらスマホ」の危険

生活の防犯

2015年3月6日 / 2015年3月9日更新


スマートホン普及に伴う新たな危険

近年、スマートホンの普及が急速に上昇しています。総務省が発表した通信利用動向調査では、スマートホンが追加された平成22年の世帯保有率は9.7%と僅かでしたが、3年後の25年では62.6%と6倍以上に上昇しています。そして、保有率の上昇と共に懸念されるのが、操作中の事故や事件です。東京消防庁の発表では、歩きながら、自転車に乗りながらの携帯電話やスマートホン等に係る事故により救急搬送された人が、平成25年に36人となり、歩きながらが最も多い事故の発生状況です。また、大阪府警や京都府警の調べでは、性犯罪被害者の約20%がスマートホンなど携帯端末の利用中であったことが判りました。

危険なのは「スマホ」ではなく「…ながら」

このような状況を鑑み、NTTドコモをはじめとする通信各社やACジャパンでは、マナーを重視した「歩きスホの危険」を唱えています。また、緊急搬送された事故の理由として、「電柱や自動ドアにぶつかった」「柵のチェーンに引っかかり転倒した」「階段や駅のホームから転落した」「自転車走行中に電柱や停車中の自動車に衝突した」「歩行者と接触した」などが挙げられています。共通しているのは、気づくのが遅れ、咄嗟の回避行動が取れていない事が窺えます。自転車の「ながらスマホ」では、事故の加害者となり高額の賠償金を支払うだけではなく、重い十字架を背負う人生になってしまった事例も報道されています。

「ながらスマホ」は、大阪府警や京都府警の調べで明らかになった性犯罪の被害だけではなく、ひったくり、路上強盗、置き引きなど街頭犯罪でも標的になりやすい行為です。犯罪者にとっては、スマホなど携帯端末の利用が周囲への注意力が散漫になっている証拠となり、近づきやすく、犯行の容易さを表しています。また、その場での犯行だけではなく、連れ去りの危険もあります。そして、「ながら」の危険は、スマホに限ったことではないことに、気づいてください。雑誌や新聞、地図、おしゃべりなど、犯罪のターゲットになりやすい行為は、「ながら」そのものにあります。

接触された被害や犯罪者に襲われた被害は、悔やみきれない傷として、生涯残る事を忘れてはなりません。

使いこなすことが危険を回避する手段

年々増加するスマホの普及は若年層を中心に進み、20代の普及率は80%と高く、年代を追うごとに低下(大和総研調べ)していきます。しかし、緊急搬送された人は40代が最も多く、次いで20代という結果でした。普及率の高い20代の事故は当然の結果と考えられますが、普及率の少ない40代の事故は、単なる不注意とは考えにくいものです。運動能力や反射能力の低下が考えられ、意識と能力の差に気づいていない可能性も否めません。大きな事故に発展する可能性を秘めた「…ながら」です。マナーと共に見直すべき行動です。

昨今、「道端に立ち止って」「自転車を降りて」スマホを操作する光景を目にする事が増え、「ながらスマホ」の危険性が浸透している事を実感できます。しかし、この行為が犯罪者に犯行の機会を与えていることに、お気づきください。夜間、人通りの少ない道端では、犯行が発見されにくい、数少ない街灯の下では、標的を物色しやすいなどの理由から、犯罪を企む者にとっては格好の場所になっています。屋外でスマホに夢中になる事は、犯罪者の接近を容易にし、昼間は安全な場所であっても、日没と共に、犯罪被害の危険度が増していきます。事故だけではなく、犯罪にも目を向ける必要があり、「周りに誰もいないから大丈夫」「明るいから大丈夫」など、経験の少ない若い世代だからこそ、気づきにくい危険を共有する必要があります。

スマホはガラ携と呼ばれる携帯電話と違い、高速通信機能付きPCがポケットサイズになったものと同じです。使いこなせれば有益であり、普及すれば多方面に渡って有望なアイテムとなるでしょう。その為には、事故や犯罪など様々な危険を予測し、安全に使いこなす事が何よりも重要です。

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